2011年4月24日(日)14:00 開演 @ ザ・シンフォニーホール
指揮 : 下野 竜也 / 独奏 : 金子 三勇士 (ピアノ) / 管弦楽 : 京都市交響楽団
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● リスト : ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調
今年は、ハンガリーの生んだ大作曲家であり、名ピアニストであるリストの生誕200年。
この曲の初演は、なんとピアノ独奏がリストさんご本人で、指揮があのベルリオーズ!
ピアノの金子三勇士さんはお父さんが日本人で、お母さんがハンガリーの方なのだそうです。
プロフィールを読むと、わずか6歳の頃に単身でハンガリーに渡り、研鑚を積まれています。
どこか「エエとこのお坊っちゃん」を思わせる風貌の下には、リストと同じ民族的DNAが!
そして、自立した逞しい精神が創りだす音楽は、骨太でスケールの大きさを感じさせます。
楽章ごとに区切って演奏されるとばかり思っていたら、ノンストップでフィナーレへと突入!
火花が飛び散る、スリリングなカー・チェイスを思わせるような協奏曲は迫力満点でした。
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● マーラー : 交響曲第5番 嬰ハ短調
内包するエネルギーの質・量ともに、ちょっとハンパじゃない大曲。 演奏時間も70分超。
家でボーっと聴いていると、第2・3楽章で気を失い、気が付けば終楽章ということも!?
「集中力・緊張感がどこまでもつか?」という心配をよそに、初めて全曲通して聴けました。
様々な曲想をもった音楽が、「これでもか、これでもか」というように湧き上がってきます。
厚みのある弦楽アンサンブルを切り裂くように、打楽器が連打され、雄々しく咆哮する金管。
優しく、哀しく、或いは軽妙に彩りを添える木管。 凄みさえ感じさせる高い燃焼度でした。
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少しだけ欲を言えば、弦楽合奏とハープのみで演奏される「第4楽章」がやや物足りないか?
フル・オーケストラの強奏と対比すると、「静謐の美」という印象までは届かなかった…。
チラシには、「薩摩と京都の志士たちが、音楽で天下取りを!」というコメントがありました。
「維新」とは言わないまでも、「勢い」に加速度がつき、真の「実力」が伴ってきた実感が!
正々堂々と真っ向勝負を挑んだ下野さんと、その信頼・期待に見事に応えた京響の皆さん。
この日の「誇らしい」演奏に対して、心からの敬意と賞賛を送りたいと思います。 プラボー!