まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 大阪特別公演

2011-04-25 19:57:11 | kyokyo

2011年4月24日(日)14:00 開演 @ ザ・シンフォニーホール
指揮 : 下野 竜也 / 独奏 : 金子 三勇士 (ピアノ) / 管弦楽 : 京都市交響楽団

            *  *  *  *  *

● リスト : ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調
今年は、ハンガリーの生んだ大作曲家であり、名ピアニストであるリストの生誕200年。
この曲の初演は、なんとピアノ独奏がリストさんご本人で、指揮があのベルリオーズ!

ピアノの金子三勇士さんはお父さんが日本人で、お母さんがハンガリーの方なのだそうです。
プロフィールを読むと、わずか6歳の頃に単身でハンガリーに渡り、研鑚を積まれています。

どこか「エエとこのお坊っちゃん」を思わせる風貌の下には、リストと同じ民族的DNAが!
そして、自立した逞しい精神が創りだす音楽は、骨太でスケールの大きさを感じさせます。

楽章ごとに区切って演奏されるとばかり思っていたら、ノンストップでフィナーレへと突入!
火花が飛び散る、スリリングなカー・チェイスを思わせるような協奏曲は迫力満点でした。

            *  *  *  *  *

● マーラー : 交響曲第5番 嬰ハ短調
内包するエネルギーの質・量ともに、ちょっとハンパじゃない大曲。 演奏時間も70分超。
家でボーっと聴いていると、第2・3楽章で気を失い、気が付けば終楽章ということも!?

「集中力・緊張感がどこまでもつか?」という心配をよそに、初めて全曲通して聴けました。
様々な曲想をもった音楽が、「これでもか、これでもか」というように湧き上がってきます。

厚みのある弦楽アンサンブルを切り裂くように、打楽器が連打され、雄々しく咆哮する金管。
優しく、哀しく、或いは軽妙に彩りを添える木管。 凄みさえ感じさせる高い燃焼度でした。

            *  *  *  *  * 

少しだけ欲を言えば、弦楽合奏とハープのみで演奏される「第4楽章」がやや物足りないか?
フル・オーケストラの強奏と対比すると、「静謐の美」という印象までは届かなかった…。

チラシには、「薩摩と京都の志士たちが、音楽で天下取りを!」というコメントがありました。
「維新」とは言わないまでも、「勢い」に加速度がつき、真の「実力」が伴ってきた実感が!

正々堂々と真っ向勝負を挑んだ下野さんと、その信頼・期待に見事に応えた京響の皆さん。
この日の「誇らしい」演奏に対して、心からの敬意と賞賛を送りたいと思います。 プラボー!

Shimono 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大阪フィルハーモニー交響楽団 京都特別演奏会

2011-04-20 17:44:16 | concert

2011年4月19日(火)19:00開演 @ 京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 大植 英次 / ピアノ : 小曽根 真 / 管弦楽 : 大阪フィルハーモニー交響楽団

            *  *  *  *  *

● モーツァルト : ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 「ジュノム」 K.271
恋愛感情があったかどうか?ですが、フランス人ピアニストのジュノム嬢に捧げられた曲。
自作のカデンツの部分もたっぷりとってある、みずみずしい爽快感あふれるコンチェルト。

小曽根さんの「ジュノム」を聴くのは、昨年の「ラ・フォル・ジュルネ」に引き続いて二回目。
前回にも増して、ピアノ独奏部分の自由度・即興性の度合いが、さらに広がった感じです。

以前、「クラシックの安易なジャズ化はしたくない!」という話をされていた小曽根さん。
クラシック、ジャズの双方に敬意を払いつつ、聴衆を魅了していく技量は「さすが!」です。

            *  *  *  *  *

● マーラー : 交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
今宵メイン・ステージは、前々日に京響がびわ湖ホールで演奏したのと同じ曲になりました。
アウェーの地に乗り込んで、敢えて(?)同じ曲目で勝負! さすがは大フィル、恐るべし!

というわけで、優劣とか嗜好は別にして、大変な贅沢な聴き比べを楽しませてもらいました。
緩急の付け方の巧みさ、弦楽器の微妙なニュアンスの表現などが、印象に残る演奏でした。

大植さんが指揮される演奏を聴くのは、今回が初めて(大フィルでも二回目)なのですが、
長年、コンビを組まれている指揮者とオーケストラとの一体感、高い熟成度を感じました。

            *  *  *  *  *

L・バーンスタインの「キャンディード」から、終曲の「Make Our Garden Grow」が最後に。
大植さんの朴訥な朗読も、胸にじーんと染みました。 さあ、みんなで頑張りましょう!

Opo_kyo

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

篠﨑靖男プロデュース・オーケストラ・シリーズ 第1弾

2011-04-18 18:48:47 | kyokyo

2011年4月17日(日) @ 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール・大ホール
指揮 : 篠崎 靖男 / ヴァイオリン : 竹澤 恭子 / 管弦楽 : 京都市交響楽団

            *  *  *  *  *

● ニールセン : 歌劇「マスカラーデ(仮面舞踏会)」序曲
デンマークの国民的作曲家、ニールセン先生には申し訳ありませんが、感想は特になしです。
ステージの2・3列目の段差が余りないので、管楽器パートの方のお顔がよく見えないなぁー。

この演奏に先立ち、大震災で犠牲になられた方へ、バッハの「アリア」が捧げられました。
あらためて、「音楽は世界共通の言語」という認識を持ちました。 黙祷、そして合掌、涙…。

            *  *  *  *  *

● シベリウス : ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
タイトなグリーンのドレスで登場の竹澤恭子さん、ふくよかで艶やかな音色、よく響きます。
京都コンサートホールでは「音が痩せて聞こえる」という評判は、真実なのでしょうか?

ソリスト・指揮者・オーケストラの自己主張が程よくブレンドされた、とてもいい演奏でした。
時には繊細に、時にはダイナミックに、篠﨑さん=京響のサポートぶりにも充分満足です。

この協奏曲には、愛国賛歌的な要素や北欧の神秘主義的な色合いは、余り感じられません。
正統的なドイツ音楽に対して、「これで、どや!」といった作曲者の意欲が伝わってくるよう。

            *  *  *  *  *

● マーラー : 交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
京響の演奏水準が「世界標準」に到達したことを実感させるような、誇らしい演奏でした。
ロンドンでもニューヨークでも堂々と演奏し、聴衆を感動させ得るに足りる内容だと思います。

詳細はわかりませんが、篠﨑さんが京響を振られるのは、今回が初めてなのでしょうか?
初対面の京響から能力を引き出した手腕、それに応えた京響のフレキシビリティーの高さ。

家でCDを聴いているだけではわからない、楽器の配置とか演奏上の工夫・演出を新発見!
レトルトカレーとかカップラーメンばかり食べてないで、時にはレストランで外食すべし!

            *  *  *  *  *

篠崎さんプロデュースによるこのシリーズは、今後も毎年、春の時期に継続されるとのこと。
これからも京響との信頼関係を築き上げていって欲しい、指揮者のお一人だと思いました。

Biwako

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする