まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

ザ・キングズシンガーズ

2018-05-28 20:08:22 | concert
2018年5月27日(日)15:00 開演 @豊中市立文化芸術センター・大ホール

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● 哲学者 / 武満 徹 : 手作り諺
世界の「タケミツ」が、彼らに献呈した作品。 他にも2つ、現代作曲家の献呈(委嘱?)作品が披露されました。
彼らの究極とも言える歌唱スタイルには、作曲家のイマジネーションを刺激させるものがあるに違いありません。

● ビートルズ・ヒットナンバー
ビートルズ・ナンバーのクオリティーの高さを証明したステージ。 格調の高さ、気品さえ感じさせるものでした。
おそらく、聖歌隊の練習の合間などに歌ったりされていたに違いない。 それくらい手慣れた感じがありました。

● 語り手 / ふるさと・竹田の子守唄
目前に、日本の美しい「ふるさと」の風景が、次から次へと浮かんでくるよう。 こみ上げてくる感動が涙に変わる。
竹田の子守唄の「向こうに見えるは、親のうち(家)」というところは、こころの奥深くに、じーんと染み渡った。

● お楽しみパーティ・バッグ
彼らの「十八番」ともいえる「ダニーボーイ」や「グリーンスリーヴス」の他、クイーンやビリー・ジョエルの曲も。
クラシック畑の人たちがポピュラー音楽を演奏するときに感じる、裃を着けたような違和感は全く感じられません。

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私が彼らの存在を知ったのは、「エレミアの哀歌」という古いLPレコード。 それ以来の念願がやっと叶いました。
残念ながら、当時のメンバーの方は一人も在籍されていませんが、脈々と受け継がれてきた伝統のハーモニーを堪能。



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京都市交響楽団 第623回定期演奏会

2018-05-21 18:35:03 | kyokyo
2018年5月19日(土)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 広上 淳一(常任指揮者) / 独奏 : 河村 尚子(ピアノ)/ 管弦楽:京都市交響楽団


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● バーンスタイン : 交響組曲「波止場」
元々は、1954年公開の同名映画のために書かれた音楽。 主演は、若き日のマーロン・ブランドだそうです。
ニューヨークの港湾を舞台にした社会派のドキュメンタリー・タッチの作品で、オスカーにも輝いた名作らしい。

港湾の情景や労働者の心象風景など、映画のシーンが思い浮かんでくるような音楽で、想像力をかき立てられます。
確かに、作曲者の言葉のように「映画の録音スタジオのくずかごに捨てられる」には、もったいないレベルの作品。

● ショスタコーヴィチ: 交響曲第9番 変ホ長調 作品.70
当初は、ベートーヴェンの「第9」にちなんで、戦争の勝利を称える「合唱付き」の交響曲という構想だったとか。
どこでどうなったのか? 出来上がったのは、過去の大作曲家たちの「第9」とは隔絶した、何とも軽妙洒脱な作品。

ソビエト共産党の幹部、文化官僚、批評家たちの、苦虫を噛み潰したような、怒りの滲む顔が目に浮かぶようです。
天才作曲者の真意のほどは、どこにあったのでしょうか? 独裁体制批判の標的とされることも、覚悟の上のこと?

作品自体は、難所が幾つも現れる楽曲だろうと思われますが、指揮されている広上さんはとても楽しそうでした。
少々グロテスクであり、ユーモラスでもあり、官能的にも聴こえる曲想は、まさに広上さんの独壇場というもの。

● バーンスタイン : 交響曲第2番「不安の時代」
生誕100年というメモリアルイヤーに限らず、もっと普通に採り上げられてもいい、クオリティーの高い作品。
独奏ピアノ付きの交響曲。 世界的な詩人の長編詩に触発されたとのことですが、関連性はイマイチわかりません。

圧倒的な存在感を示した河村尚子さんのピアノ。 ライブでの高い燃焼度は、期待に違わぬ素晴らしいものでした。
頻繁に登場するジャズのイディオムも全く違和感がなく、ぐいぐいとドライブしていく。 広上さんとの好相性も!

他の音楽ジャンルのアーティストとの共演も多彩な京響。 今日も、エンターテイメント性あふれる演奏力を披露。
今年は初登場の外国人客演指揮者が目立ちますが、さすがに常任の広上さん!といったコントロールぶりでした。



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近江の春 びわ湖クラシック音楽祭 2018

2018-05-05 16:01:59 | kyokyo
2018年5月4日(金・祝日)11:15 開演 @滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール・大ホール
指揮 : 沼尻 竜典 / 独唱 : 中村 恵理(ソプラノ) / 管弦楽 : 京都市交響楽団

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● グノー : ロメオとジュリエット より 私は夢に生きたい
新しくなった「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭」のオープニングを飾る曲。 音楽祭のサブ・タイトルでもある。
独唱の中村恵理さんは、世界的な歌劇場の舞台でも活躍されているソプラノ歌手。 存在感たっぷりの歌唱でした。

● ジーツィンスキー : ウィーン、わが夢の町
作曲者のジーツィンスキーは、元公務員さんという異色のキャリア。 「ご当地ソング」のクラシック版みたいな。
中村恵理さんの表情・しぐさなどは、さすがにオペラ歌手という表現力。 それだけで「ドラマ」を感じさせます。

● ドヴォルザーク : 交響曲第9番 ホ短調 作品. 95 「新世界より」
びわ湖ホールの芸術監督でもあり、京響との名演も数多い沼尻さん。 ホールとオケを掌握した手慣れた感じの演奏。
ダイナミズムというよりは、整然とコントロールされた指揮ぶり。 バランスの取れた美しい響きが印象に残ります。

「家路」という標題で知られる第2楽章の主題。コールアングレを担当されていたのは、オーボエの土井恵美さん。
少し抑えた感じの音色がとても美しく、しみじみとした情感(郷愁)が、よりいっそう、心に迫ってくるものでした。

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日本屈指のロケーションを誇るびわ湖ホールで、朝からクラシックを聴けるという贅沢さ。 GWならではのもの。
今年が第1回となる新しい音楽祭が、季節の恒例行事として、地域にしっかり根付いていくことを予感いたしました。




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