まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 大阪特別公演

2015-01-25 19:50:29 | kyokyo
2015年1月24日(土)14:00開演 @ザ・シンフォニーホール
指揮 : 広上 淳一(常任) / 独奏 : 横山 幸雄(ピアノ) / 京都市交響楽団

            *  *  *  *  *

● グリンカ : 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
プログラムには、「演奏会の開幕を告げる曲、あるいはアンコール・ピースとして」との記載。
以下続く。「腕自慢のオーケストラによって演奏」というフレーズが、大いに気に入りました。

私が広上さん=京響の演奏を聴いたのもこの大阪公演が最初で、ビゼーの「カルメン」で開幕。
その時の「京響、やるやん!」という鮮烈な印象が甦ってくるような快調なオープニングです。

● ラフマニノフ : ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品.18
京響の演奏でこの曲を聴くのは、辻井伸行さん、ニコライ・ルガンスキーさんに続いて3回目。
これまでの2回はそれぞれに思い入れがあり、今回初めて平静な心持ちで聴けたような気が。

去年3月の定期(ルガンスキーさん)よりは、いく分ゆったりしたテンポで表情も豊かな演奏。
伴奏風・装飾的な旋律においても、輪郭をくっきりと際立たせた表現が印象に残りました。

やはり、ホールの音響の特質が演奏そのものに大きな影響を与えていることがよくわかります。
京都コンサートホールに比べると、明らかにボリューム感のある響き。 よく「鳴る」ホール。

● プロコフィエフ : 交響曲第5番 変ロ長調 作品.100
数年前の定期では、同じ作曲家の第7番を採り上げた広上さん。 お好きな作曲家なのでしょう。
お得意なレパートリーでもあり、今年の欧州公演のメインプログラム。 まさに渾身のタクト!

ロシア音楽の魅力の一つと言える、陶然とするような甘美な旋律も出てくるには出てきますが、
どちらかというと、オーケストラの機能性・運動力の高さを誇示、披露するような演奏でした。

音楽知識として、第二次世界大戦の末期(1944年)の作品であることは押さえておくべき。
音の大洪水、熱狂的な咆哮、爆発するようなエネルギーは、必ずしも戦勝の歓びだけではない。

            *  *  *  *  *

京都コンサートホールでは、チケットの完売が続く京響ですが、今日は空席も散見できる入り。
在阪オーケストラのファンの人たちにとっては、ちょっと微妙な心理が働くのかもしれません。

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京都市交響楽団 ニューイヤーコンサート

2015-01-12 20:45:53 | kyokyo
2015年1月11日 14:30開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 垣内 悠希 / 独奏 : 宮田 大(チェロ) / 管弦楽 : 京都市交響楽団

            *  *  *  *  *

● モーツァルト : 歌劇「後宮からの誘拐」序曲 K.384
演奏時間5分程度の短い曲でしたが、モーツァルトらしい明朗快活な曲想で気分が高まります。
その上、新年恒例、女性楽団員の方々の華やかなステージ衣装にも、目を奪われてしまいます。

最近の京響の演奏から感じるのは、オーケストラの音がひとつの固まりとなって聴こえてくること。
それも、濃密で引き締まった音の固まり。 かと言って重々しくなることなく、軽快な音の運び。

モーツァルトの音楽的な美質と京響の紡ぎ出すサウンドが、程よくマッチして心地のよい演奏。
ホールの音響の特徴を生かして、オーケストラとしての「音」に更なる磨きをかけていって欲しい。

● グルダ : チェロとブラス・オーケストラのための協奏曲
作曲者のフリートリヒ・グルダは、ウィーンを代表するピアニストとして名を馳せた音楽家。
プログラムの解説を読むと、クラシックというジャンルにとらわれない、まさに奇才といった感じ。

作品は簡単な標題の付いた5つの楽章から成り、それぞれの個性が際立ち、とてもユニーク。
多国籍でノン・ジャンルな快適音楽といった印象ですが、「カデンツァ」は内省的な色彩が強い。

独奏チェロの宮田大さん。 前回出演の京響定期では、ベートーヴェンのトリプル・コンチェルト。
今回は文字通りの「ソリスト」として。 その卓越した演奏テクニック・存在感は圧倒的でした。

● ベートーヴェン : 交響曲第6番ヘ長調「田園」 作品.68
オーケストラの力量は、世間的に「名曲」と呼ばれるものの演奏で量るのが最もわかりやすい。
正直なところ、著名な指揮者&海外オーケストラのCDと聴き比べても、全く遜色のない出来映え。

ひとつひとつの音に前へ前へという推進力があり、いきいきとした情景が目に浮かぶようでした。
安定した弦楽器のアンサンブルに乗って、管楽器が華麗・優美に遊ぶ様は、まさに至福の心地。

垣内悠希さんは、おそらくは「左利き」ではないでしょうか? 左手の雄弁さがとても印象的でした。
表現力が豊かで、力強い左手の所作。 指揮者としての大きな「武器」になるものと思いました。

            *  *  *  *  *

ホワイエでは、関係者の方々と親しげに歓談されている広上淳一さんをお見かけいたしました。
ご自分が指揮されないときには、こうして聴きに来られることがあるのですね。 感謝、感激!

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