まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

オーケストラで描くヒロインたち

2011-09-25 11:29:53 | kyokyo

2011年9月24日(土)14:00開演 @ 兵庫県立芸術文化センター・大ホール
指揮:広上 淳一 / 管弦楽:京都市交響楽団 / 独唱:馬場 菜穂子(第1部「龍馬伝」)

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● 第1部 その時歴史が動いた / NHK・大河ドラマより
昨年の「ヒーロー」に続いて、今年は「ヒロイン」。 時代を動かした女性たちのストーリー。
大河ドラマをめったに見ない私にとっては、初めて聴くテーマ曲がほとんどのようです。

それにしても、我らがマエストロは歴史分野だけでなく、ドラマ通、芸能通でもあります。
池袋・芸能人目撃情報を始め、アンコールでは名曲「ムーンリバー」にまつわる秘話?も。

大河ドラマのテーマ曲は当代一流の作曲家の「手」によるもので、演奏はNHK交響楽団。
作曲者の技量が発揮された個性豊かな作品揃いで、聴き比べてみると興味深いものでした。

「龍馬伝」のテーマ曲の独唱は、昨年に引き続いて、馬場菜穂子さんによるものでした。
原初的でもあり、呪術的でもあり、解放された「魂」の叫びのようなパワーを感じました。

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● 第2部 ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 作品.92
私にとっては、今年2回目の第7番。 前回は「ニューイヤー」で、大友直人さん指揮の京響。
さて、ヒロインとどういう関係? これは、あの「のだめちゃん」にちなんでの選曲です。

「端正さ」が印象に残った大友さんに対して、広上さんは「メリハリ」のよく効いた熱演。
最終楽章では、エンターテイメント性すら感じさせるくらい、ドライブ感満点の指揮っぷり。

特筆したいのは、深沈とした葬送風の行進曲を、精緻なアンサンブルで聴かせた第2楽章。
表情豊かなニュアンスで盛り上げた第4楽章。 弦楽器パートの充実ぶりが頼もしい限りです。

もち論、名手揃いの管楽器パートは、張りつめた感じの弱音部でも安定感たっぷりに聴かせ、
むしろ、いつも大活躍する打楽器パートが、さほど印象に残らない?くらいの名演奏でした。

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満場の拍手喝采の後、アンコール曲は映画「ティファニーで朝食を」から「ムーンリバー」。
たくさんの皆さんに喜んでいただき、京都市民の一人として、うれし涙のアンコールでした。

Hiroin 

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第15回 京都の秋 音楽祭 開会記念コンサート

2011-09-18 12:31:18 | kyokyo

2011年9月17日(土) 午後2時開演 @ 京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 広上 淳一 / ピアノ : 田村 響 / 管弦楽 : 京都市交響楽団

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● リスト : ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調
この協奏曲は、今年4月の京響・大阪特別公演(@ザ・シンフォニーホール)でも聴きました。
下野竜也さんの指揮で、リストと同じハンガリー人の血が流れている金子三勇士さんのピアノ。

金子さんのピアノは、若さのエネルギーがほとばしり出るような「奔放さ」が魅力でしたが、
今日の田村響さんは、落ち着いた安定感ある演奏。 十分な余裕すら感じさせるものでした。

トライアングルの活躍する第3楽章が印象的。 旋律の受け渡しは心地よく、機能的でした。
フィナーレの盛り上がりも、広上さんらしいエキサイティングなもので、十分に満足しました。

京響の演奏もバランスのとれた、どちらかと言えば「手堅さ」を感じさせるサポートぶり。
広上さん4年目のシーズンを迎えて、常時、平均点以上をたたき出せる「地力」が付いてきた。

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● チャイコフスキー : バレエ音楽「くるみ割り人形」 第2幕全曲
豪華絢爛なバレエのステージが目に浮かぶような、華やかで楽しい演奏が堪能できました。
ロシアのお菓子のように、甘美で魅惑的なメロディーが、次から次へと溢れ出てくるようです。

指揮台の「舞台」をいっぱいに使って、躍動感たっぷりの指揮。 小太りのバレリーナ!?
是非とも、ステージ後方のポディウム席で、正面から見て(聴いて)みたいと思ったくらい。

曲の途中で、間違って拍手をしてしまう人が出てしまうほど、充実感たっぷりの演奏でした。
有名な「花のワルツ」を間に挿んで、まるで夢見るような「お菓子の精」の踊りが続きます。

あらためて、このバレエ音楽を聴いてみると、19世紀・ロシア音楽の伝統の厚みの中に、
現代の音楽シーンでも通用するような、ちょっとお洒落な感じのする「新しさ」があります。

            *  *  *  *  *

このコンサートには、京都市内の児童擁護施設の子供たち、50名も招待されていました。
事前のアナウンスがあるだけで、一般聴衆の方も心づもりして楽しめたように思うのですが。

Kyoto_no_aki

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角田光代 「今日もごちそうさまでした」を読んで

2011-09-01 10:44:36 | kakuta

食べるの大好き、お料理大好きの角田さんにふさわしい、「食」にまつわる楽しいエッセイ集。
インターネット上で連載されていたエッセイを、季節ごとをベースにまとめ直したもののよう。

季節を代表する「主役」級の旬の食材から、スポットライトの当たらない地味な「脇役」まで。
角田さん独自の切り口・表現で、なおかつ、その食材に対する熱い愛情に満ち溢れています。

            *  *  *  *  *

まず、「私の分類のなかで、鶏肉は魚類である。」という一文に、腰を抜かしてしまいます。
そして、「ごぼうと新ごぼうは違う。」という一文に、「うーん、なるほど!」と納得します。

食感を表す言葉の巧みさも魅力のひとつ。 例えば、アスパラは「ぽくぽく感」が命であり、
とろけるチーズをのせた出来たてトーストは、噛み切ると「ぬそー」と糸がのびるのです。

ごく一般的な「食」のエッセイにもかかわらず、これだけ笑わせてくれるのは何故なのかな?
行間から溢れ出んばかりの思い入れのある言葉が、ユーモアを誘い出すのかもしれません。

            *  *  *  *  *

ただ、「太っ腹」の角田さんにしては、地味過ぎる単色刷りの表紙。 ちょっとケチった?
色あざやかな食材が並ぶ表紙ならば、いっそうの食欲、購買意欲が湧いたと思うのですが…。

ある「四柱推命」の占い本によると、私は「食神」という「神様」?の割合が高いらしい。
そんな「食い意地」のはった私をも、幸せな気分いっぱいに満たしてくれるエッセイ集です。

Gochisou

コメント (4)
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