まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第618回定期演奏会

2017-11-26 20:59:49 | kyokyo
2017年11月25日(土)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 下野 竜也 / 独奏 : アンナ・フェドロヴァ(ピアノ) / 管弦楽 :京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● ベートーヴェン : ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調「皇帝」 作品.73
ピアノ協奏曲というジャンルの中でも、一際輝きを放つ名曲。 京響の演奏で聴くのは、これが3回目になります。
やはり、演奏の期待値が高い分だけ、さすがの京響さんと言えども、満ち足りた演奏に出会えないのが実情です。

今回の独奏は、ウクライナ生まれの若き女流ピアニスト、アンナ・フェドロヴァさん。 白銀のドレスでのご登場。
オーケストラに負けないだけのスケール感があり、静謐な美しさを湛えた叙情性もたっぷりと聴かせてくれました。

下野さん指揮の京響は、重心をやや軽めに置いた、きびきびとした躍動感のある演奏で応え、充実のサポートぶり。
ギレリスがセルと組んだ愛聴盤の「呪縛?」から、ようやく解放されたような、新たな魅力を感じさせるステージ。

● ジョン・アダムズ : ハルモニーレーレ
この曲が演奏会のステージに挙がるのは、本邦3度目。 東京以外の西日本で採り上げられるのは、今回が初めて。
ミニマル音楽とかシェーンベルクの「和声学」とか、いかにも難解そうな理論は抜きにして、十分に楽しめる作品。

ひとつのまとまった交響曲を想起させる、堂々たる「パート1」の冒頭は、アダムズの夢で見た情景がモティーフ。
重量級タンカーが宇宙船のように空中に浮遊する、スペクタクル映画の1シーンのよう。 暴力的な破壊音の連打。

絶望的な暗黒世界にずるずる墜ちていくような「パート2」。 対をなす、不思議な浮遊感に包まれる「パート3」。
ラストは、ひたすら絶頂へと突き進んでいく高揚感と幸福感。 まさに「鳥肌もの」の貴重な音楽体験となりました。

コメント
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