2011年7月24日(日)14:30 開演 @ 京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 大野 和士 / 独唱 : 手嶋 眞佐子 / 合唱 : 京響市民合唱団・京都市少年合唱団
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● マーラー : 交響曲第3番 ニ短調
舞台の奥行きまでたっぷりと使った、オーケストラの大規模な編成にまず目が奪われます。
8本編成のホルン、ティンパニーとハープは2台ずつ。 最後段には多彩な打楽器群がズラリ。
第1楽章には、マーラーの音楽世界を構成する重要なエッセンスがたっぷり含まれています。
壮麗なファンファーレ、民謡風のメロディー、賑やかな祝祭、軍楽隊(?)の行進などなど。
チラシには、「自然への賛歌を綴る史上最長の交響曲」とあります。 演奏時間は約100分。
第1楽章を聴いただけでも、思わず「ブラボー!」と叫びたくなるくらいの充実度でした。
ただ「自然賛歌」といっても、ベートーヴェンの「田園」風のイメージではありません。
もっと壮大なスケールをもった、「天地創造」の黎明を想起させるような印象を受けました。
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途中で集中力が途切れてしまいがちな第2・3楽章も、たっぷり音楽に浸ることが出来ました。
色彩感あふれる魅力的なメロディーが次から次へと、泉のように湧き上がってくるようです。
ちょっと驚いたのは、第3楽章のトランペットのソロが舞台裏で演奏されているということ。
演奏終了後、ポディウム席の後方から颯爽と! 影のヒーローの登場と言ったところでした。
第4楽章のアルト独唱は、体調不良の小山由美さんから、急遽、手嶋眞佐子さんへの変更。
コンディションやモチベーションの調整が難しい中、品格と威厳のある立派な歌唱ぶりでした。
続く楽章は女性合唱と児童合唱が加わり、いっそうの華やかさ・ドラマ性が増すような感じ。
ステージでの配置は? 入・退場は? 拍手はしたらいいの? いろいろ気になっていました。
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ようやく辿りついた最終の第6楽章は、宗教的とも言えるような崇高な美しさを湛えています。
冒頭部分は、ブラームスの第1番の終楽章と共通するような「救済」のイメージが浮かびます。
遥かなる高み(これが天上世界?)へ登りつめるように、この長大な交響曲は幕を閉じます。
まばゆい光のベールに優しく包まれるように、慈愛に満ち溢れた、心安らかなエンディング。
最近の充実ぶりが高評価されている「管」はもちろんのこと、「弦」も素晴らしい出来映え!
客演の方の応援があったとはいえ、バランスのとれた精緻なアンサンブルは感涙ものでした。
冗長、散漫に流れることなく、整然とコントロールされていた大野さんの卓越した指揮ぶり。
ヨーロッパの一流の歌劇場で、音楽監督を務められてきた統率力とカリスマ性を感じました。