まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第655回定期演奏会

2021-04-25 12:35:09 | kyokyo
2021年4月23日(金)19:00 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : ジョン・アクセルロッド(首席客演指揮者) / 管弦楽 : 京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● ブラームス : 大学祝典序曲 作品80
オール・ブラームス・プログラムのオープニング曲は、「学生の街」京都に相応しく、明るく活気に満ちた作品。
作曲者自身の「学生歌のとても騒々しい接続曲」という言葉通り、愛すべき粗っぽさの中に、キレッキレの響き。

いつもの年ならば、市内各所では大学生たちの「新歓コンパ」で大いに盛り上がっているであろう、この春の宵。
人生の中で最も自由を謳歌できる季節に、理不尽な制約を強いられる人たち。 コロナ禍の収束を願うばかりです。

● ブラームス : 交響曲第2番ニ長調 作品73
冒頭、ホルンと木管による美しい響き。 ブラームスの「田園交響曲」と形容されることを実感。 穏やかな幸福感。
アクセルロッド=京響は明るい音色、やや軽めに重心を置いた響きで、足取りも軽快に、推進力のある演奏を展開。

季節的には、5月の薫風が吹き抜けるような「風通しのよい」爽快なブラームス。 堅牢さよりは流動性の方を優先。
最終楽章のクライマックスでは、さながら一陣の疾風の如く吹き抜ける。 この曲も「青春の歌」のイメージだろう。

● ブラームス : 交響曲第4番ホ短調 作品98
前半ステージの「第2番」と比較すると、ゆったりとした、落ち着いたテンポ・雰囲気の中、演奏が進行していく。
起伏のある曲想が目まぐるしく展開されていく後半の第3、第4楽章での対応力、表現力、機能性も見事なもの。

自主隔離期間の鬱積した思いをぶつけるようなアクセルロッドさんのタクト。 懸命に応えようとするオーケストラ。
指揮者とオーケストラとの「幸福な関係」が伝わってくるような演奏。 双方の信頼関係が益々発展しますように!



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京都市交響楽団 スプリング・コンサート

2021-04-13 14:20:08 | kyokyo
2021年4月11日(日)14:00 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 広上 淳一 / 独奏 : 小曽根 真(ピアノ) / 管弦楽 : 京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● ラフマニノフ : ヴォカリーズ
ヴォカリーズとは、母音だけで歌う歌唱法のこと。 オリジナルは、歌詞のない歌曲として書かれたとのことです。
当時のロシアを代表するソプラノ歌手に献呈されたもので、美しい調べのヴァイオリン独奏は最大の聴きどころ。

● ラフマニノフ : ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18
14年3月の第577回定期と、それに続く東京公演でも披露された、広上さんにとっては思い入れのある作品。
独奏はロシアの巨匠、ニコライ・ルガンスキーさん。 片や今回は、日本を代表するジャズピアニストの登場です。

小曽根さんのピアノはクラシックの品位と節度に敬意を払いつつ、ジャズピアニストとしての矜持を示されたもの。
クラシックの演奏家なら「そうは弾かないであろう」フレージング、テンポの動かし方、響きに大いに魅了される。

いわゆるBGMで流れてくるような、安易なクラシック名曲のジャズ化とは一線を画する、実に堂々とした演奏。
一転して、アンコール曲でのピアノソロは、あたかも「檻から解き放たれた猛獣」を連想させるような自由奔放さ。

● チャイコフスキー : 交響曲第6番ロ短調「悲愴」 作品74
京響のチャイコフスキーでは、ラザレフさん、アシュケナージさん指揮による「第5番」の名演が記憶に新しい。
一方、第6番「悲愴」の方は若干印象に乏しく、広上さん指揮の09年4月の大阪公演まで遡ることになります。

広上さん常任就任2年目のシーズン、初めての大阪公演。 気迫と熱量が溢れんばかりの京響サウンドが響き渡る。
10年余りの時を経て、爆音の一歩手前で余力を残しつつも、確固たるソリッドな響き。 充実安定の広上=京響。

第3楽章の最終部「破滅的な高揚」で、フライングの拍手が起こらなかったのも、それ故だったのかも知れない?
チャイコフスキーの絢爛豪華なオーケストレーションを堪能。 「異例の」終楽章の認識、評価を新たにするもの。

            *  *  *  *  *

再認識といえば、普段なら京響の花形奏者の小谷口さんの「脇役」に回ることが多い、クラ副首席の筒井祥夫さん。
聴かせどころのソロでは、確かな技量を披露。 終演後、広上さんが真っ先に向かったのは、筒井さんの所でした。



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