2023年1月22日(日)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 鈴木 優人(すずき・まさと) / 管弦楽 : 京都市交響楽団
* * * * *
● プロコフィエフ : 古典交響曲 作品25
この交響曲は、「今、ハイドンが生きていたら、(たぶん、こう)書いたであろう」という着想をもとに、作曲されたと言われています。あえてハイドンの交響曲を聴くという機会は殆んどありませんので、その意味での作品の面白味はわかりませんでした。ただ、整然とした伝統的な交響曲のフォーマットを基にしながらも、20世紀前半(1916-17年、作曲)の斬新な響きやリズムが楽しめるユニークな作品でした。
プレトークの際には、鈴木優人さんがプロコフィエフらしいユーモラスな幾つかの仕掛けについて解説してくださいましたが、それは、プロの音楽家という高いレベルでこそ楽しめるものであって、当然ながら、素人の私には聴き分けも、見分けもつきませんでした。
この着想でいくと、モーツァルトのジャズや、ベートーヴェンやチャイコフスキーのラブ・バラードなどは、是非とも聴いてみたいなあという思いを強く持ちました。
● ストラヴィンスキー : 弦楽のための協奏曲 ニ調
ジャズの天才アルトサックス奏者、チャーリー・パーカーの自伝的映画「バード」(クリント・イーストウッド監督)の中で、西海岸に演奏旅行中のバードが、ストラヴィンスキーの邸宅を訪ねるシーンがあります。実際のところ、対面はかないませんでしたが、ジャズの第一線のミュージシャンをも魅了し、影響を与えたのが、このストラヴィンスキーの音楽だったというエピソード。
協奏曲というタイトルが付けられていますが、いわゆる、特定の独奏楽器が名人芸を披露するというスタイルではなく、「バロック時代の合奏協奏曲のアイディアを用いて書かれている」と、プログラムノートにありました。前ステージのプロコフィエフの「古典交響曲」の着想と同じで、このあたりにも、単にロシアン・プログラムというだけでなく、選曲にも統一感を持たせた鈴木優人さんの意図、センスを感じさせるものでした。
と書いていますが、当日は曲の途中で寝入ってしまいましたので、とてものこと、感想などは述べることはできません。「え、ストラヴィンスキーで寝られるの!?」なんて言われそうですが、逆に言うと、「眠りに誘われる」というのは、それだけストレスの少ない、心地の良い演奏だった(はず?)と、自分なりに評価しています。
● ラフマニノフ : 交響曲第2番 ホ短調 作品27
この曲は、「サントリー音楽賞」を受賞した広上淳一と京都市交響楽団が、受賞記念コンサートとして、2017年9月に、東京・サントリーホールに乗り込んで演奏した、京響にとっては馴染みの深い作品です。京都から聴きに行かれた熱心なファンの方も、きっといらっしゃるでしょうし、当時から在籍されている数多くの楽団員の皆さまにとっては、思い入れのある作品でもあると思います。
ラフマニノフの作曲した交響曲的作品の中でも、演奏される機会が特に多いとされる第2番ですが、他の第3番や交響的舞曲については、それぞれ定期演奏会でも採り上げられ、この京都コンサートホールでも聴く機会に恵まれましたが、どういう巡り会わせか、この第2番はホームのホールで聴くことができず、残念に思っていました。ようやく念願がかない…
歌うような息の長いフレージング、とろけるように甘美であり、また、哀愁の漂う魅惑的な旋律。対照的に、ロシアの広大な平原を疾走するかのような躍動的なドライブ感。さまざまな曲想の要素が巧みに組み合わされ、息を飲むような音楽的世界が繰り広げられていきます。プレトークで、鈴木優人さんは、第3楽章・アダージョのことを「交響曲の数ある緩徐楽章の中でも、最も美しいものの一つ」と称されていました。
どの楽章のどの部分をピックアップしても、京響の演奏水準の高さが窺い知れる演奏でした。安定した弦楽合奏に支えられ、京響の誇る管楽器セクションの花形プレーヤーの皆さんがメロディーをつないでいく様は、まさに至福の時というものでした。ただ、個人的な好みでいうと、演奏時間の60分はちょっと冗長な感じがしないわけでもないですが…
* * * * *
今回の客演指揮者の鈴木優人さん。京響2回目の登場となりましたが、初登場の第656回定期(2021年5月)は、残念なことに、新型コロナ感染症の感染拡大のために、無観客のライヴ配信で行われました。それだけに、実質の京響デビューとなった今回の演奏会には期する思いもあったことでしょう。厳冬期の寒さを吹き飛ばすような熱い思いがこもった演奏会になりました。但し、お客さんの入りは、いまいちかんばしくありません…
指揮 : 鈴木 優人(すずき・まさと) / 管弦楽 : 京都市交響楽団
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● プロコフィエフ : 古典交響曲 作品25
この交響曲は、「今、ハイドンが生きていたら、(たぶん、こう)書いたであろう」という着想をもとに、作曲されたと言われています。あえてハイドンの交響曲を聴くという機会は殆んどありませんので、その意味での作品の面白味はわかりませんでした。ただ、整然とした伝統的な交響曲のフォーマットを基にしながらも、20世紀前半(1916-17年、作曲)の斬新な響きやリズムが楽しめるユニークな作品でした。
プレトークの際には、鈴木優人さんがプロコフィエフらしいユーモラスな幾つかの仕掛けについて解説してくださいましたが、それは、プロの音楽家という高いレベルでこそ楽しめるものであって、当然ながら、素人の私には聴き分けも、見分けもつきませんでした。
この着想でいくと、モーツァルトのジャズや、ベートーヴェンやチャイコフスキーのラブ・バラードなどは、是非とも聴いてみたいなあという思いを強く持ちました。
● ストラヴィンスキー : 弦楽のための協奏曲 ニ調
ジャズの天才アルトサックス奏者、チャーリー・パーカーの自伝的映画「バード」(クリント・イーストウッド監督)の中で、西海岸に演奏旅行中のバードが、ストラヴィンスキーの邸宅を訪ねるシーンがあります。実際のところ、対面はかないませんでしたが、ジャズの第一線のミュージシャンをも魅了し、影響を与えたのが、このストラヴィンスキーの音楽だったというエピソード。
協奏曲というタイトルが付けられていますが、いわゆる、特定の独奏楽器が名人芸を披露するというスタイルではなく、「バロック時代の合奏協奏曲のアイディアを用いて書かれている」と、プログラムノートにありました。前ステージのプロコフィエフの「古典交響曲」の着想と同じで、このあたりにも、単にロシアン・プログラムというだけでなく、選曲にも統一感を持たせた鈴木優人さんの意図、センスを感じさせるものでした。
と書いていますが、当日は曲の途中で寝入ってしまいましたので、とてものこと、感想などは述べることはできません。「え、ストラヴィンスキーで寝られるの!?」なんて言われそうですが、逆に言うと、「眠りに誘われる」というのは、それだけストレスの少ない、心地の良い演奏だった(はず?)と、自分なりに評価しています。
● ラフマニノフ : 交響曲第2番 ホ短調 作品27
この曲は、「サントリー音楽賞」を受賞した広上淳一と京都市交響楽団が、受賞記念コンサートとして、2017年9月に、東京・サントリーホールに乗り込んで演奏した、京響にとっては馴染みの深い作品です。京都から聴きに行かれた熱心なファンの方も、きっといらっしゃるでしょうし、当時から在籍されている数多くの楽団員の皆さまにとっては、思い入れのある作品でもあると思います。
ラフマニノフの作曲した交響曲的作品の中でも、演奏される機会が特に多いとされる第2番ですが、他の第3番や交響的舞曲については、それぞれ定期演奏会でも採り上げられ、この京都コンサートホールでも聴く機会に恵まれましたが、どういう巡り会わせか、この第2番はホームのホールで聴くことができず、残念に思っていました。ようやく念願がかない…
歌うような息の長いフレージング、とろけるように甘美であり、また、哀愁の漂う魅惑的な旋律。対照的に、ロシアの広大な平原を疾走するかのような躍動的なドライブ感。さまざまな曲想の要素が巧みに組み合わされ、息を飲むような音楽的世界が繰り広げられていきます。プレトークで、鈴木優人さんは、第3楽章・アダージョのことを「交響曲の数ある緩徐楽章の中でも、最も美しいものの一つ」と称されていました。
どの楽章のどの部分をピックアップしても、京響の演奏水準の高さが窺い知れる演奏でした。安定した弦楽合奏に支えられ、京響の誇る管楽器セクションの花形プレーヤーの皆さんがメロディーをつないでいく様は、まさに至福の時というものでした。ただ、個人的な好みでいうと、演奏時間の60分はちょっと冗長な感じがしないわけでもないですが…
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今回の客演指揮者の鈴木優人さん。京響2回目の登場となりましたが、初登場の第656回定期(2021年5月)は、残念なことに、新型コロナ感染症の感染拡大のために、無観客のライヴ配信で行われました。それだけに、実質の京響デビューとなった今回の演奏会には期する思いもあったことでしょう。厳冬期の寒さを吹き飛ばすような熱い思いがこもった演奏会になりました。但し、お客さんの入りは、いまいちかんばしくありません…