まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第597回定期演奏会

2016-01-24 13:47:25 | kyokyo
2016年1月23日(土)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 広上 淳一 / 独奏 : コリヤ・ブラッハー(ヴァイオリン) / 京都市交響楽団


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● バルトーク : ヴァイオリン協奏曲第2番
プレトークの場で、広上さんが「今日は、久しぶりに緊張しています」と語っておられました。
練達の指揮者であっても、振り間違えてしまう「落とし穴」が幾つも存在する難曲なんでしょう。

無機的、時に暴力的にさえ聴こえる響きは、確かに楽しめる、寛げる類のものではありません。
その分、耳でたどれる旋律的な部分が出てくると、しみじみとした情感が身に沁みるようです。

それでも、最終楽章では、知らず知らずのうちに音楽の中に没入し、聴き入ってしまいました。
独奏のブラッハーさんは、音量的・音質的にも豊かな響きで、余裕さえ感じさせる演奏でした。

● コープランド : バレエ組曲「アパラチアの春」
この曲の標題は初演の直前に付けられたそうで、単なる情景の「描写音楽」ではないようです。
バレエの舞台音楽として作られているので、頭の中で物語の場面を思い描いてみるのも楽しい。

19世紀のアメリカ開拓時代が舞台になっていますが、人々の質朴な暮らしぶりが窺えるよう。
春の到来にわき立つ人々の気分、新婚夫婦の新築祝いのパーティー、夕べの感謝と敬虔な祈り。

有名な賛美歌が使われている全曲のクライマックス部分は、京響の高い演奏力が堪能できます。
小谷口さんの独奏クラリネットから変奏が展開されていくところは、とてもスムーズで美しい。

● ガーシュウィン : パリのアメリカ人
「ラプソディ・イン・ブルー」の演奏からも、その盛り上がりはある程度予想できましたけれど…。
期待に違わぬ広上さん=京響の演奏で、スイング感いっぱいのゴージャスなステージに大満足!

ジャズやブルースのフィーリングが随所に取り込まれ、3本のサックス陣も聴かせてくれます。
その後のD.エリントンやC.ベイシーのビッグバンドのサウンドにも、合い通じていくものを感じます。

ジーン・ケリー主演の映画「巴里のアメリカ人」は、この曲からインスパイアされた作品とのこと。
今なら、ミスター・ビーン主演かと思ったが、彼はイギリス人だし、コメディになってしまうなあ…。

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本日のコンサートマスターは、いつもの渡邊さんや泉原さんではなく、荻原尚子さんという方。
山本裕康さんのツイートによると、荻原さんはケルン放響のコンミスで、ブラッハーさんに師事。

コメント
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