まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第577回定期演奏会

2014-03-15 21:12:31 | kyokyo

2014年3月14日(金) 19:00 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 広上 淳一 / 独奏 : ニコライ・ルガンスキー(ピアノ) / 京都市交響楽団

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● ラフマニノフ : ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品.18
独奏のルガンスキーさんは、「ラフマニノフ弾き」として定評のあるロシア人のピアニスト。
ロシアの偉大なるピアニストの系譜を継承する演奏家として、人民芸術家の称号を贈られる。

ピアノが小さく感じられるほど堂々とした体躯。 余裕さえも感じさせる雄大なスケール感。
力強いタッチから繰り出される、粒立ちのしっかりとした芯のある音色。 情感もたっぷり。

京響は、サイドにテレビ中継用のカメラが入っているため、やや中央に寄った感のある配置。
そのせいか、コンパクトでまとまりがあり、歯切れのよい充実した響きを聴かせてくれました。

木管楽器のパートは主席奏者を欠く陣容ながらも、不在を感じさせない層の厚さが頼もしい。
数年前に聴いた辻井伸行さんのラフマニノフとはまた違う次元で、感動的な演奏でした。

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● マーラー : 交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
広上さんご自身は「鍛えた」という表現は使われませんが、格段の進歩・成長を遂げた京響。
京響の能力をしっかりと引き出そうという、広上さんの意図が伝わってくるような指揮ぶり。

歌わせるところはたっぷりと歌わせ、自由にかつ柔軟に動くテンポ。 色彩感あふれる響き。
オーケストラへの「愛情てんこ盛り」の表現は、相互の揺るぎのない信頼関係があればこそ。

それが結果として、「聖と俗」がごちゃ混ぜになったマーラーの音楽と上手くマッチした感じ。
30日のEテレの放送が待ち遠しい出来映え。 4年ぶりの東京公演の成功も確信した次第。

今、ホールで音楽にとっぷりと浸っている私と、昼間、忙しく市内を駆けずり回っていた私。
その日常的な繋がりが不思議に思えるくらい「忘我」の境地。 こういう体験は初めてのこと。

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広上さん&京響と共に歩んだ6年間。 客席の私たちの「聴く」能力も、確実にレベルアップ。
ラフマニノフ第2楽章の終末、ピアノの余韻が消えるまでの緊張感の保持はその証しである。

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