まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第636回定期演奏会

2019-07-30 11:36:57 | kyokyo
2019年7月28日(日)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 高関 健(常任首席客演指揮者) / 管弦楽 : 京都市交響楽団

            *  *  *  *  *

● スメタナ : 連作交響詩「わが祖国」
全6曲の第2曲が、単独でも演奏される機会の多い「ヴルタヴァ」。 野球の「2番打者最強説」のような感じか?
京響では、チェコの名匠エリシュカさんが客演指揮された2016年10月定期での熱演が、記憶に新しいところ。

他の5曲は聴いたことがありませんでしたが、チェコの歴史・伝説・風景等が描かれていて、興味深いものでした。
賛否両論があるとは思いますが、今回は通しの演奏ではなく、前半3曲、休憩をはさんで後半3曲というステージ。

美しき女戦士「シャールカ」の復讐劇を描いた第3曲。 その凄絶なストーリーの展開が巧みに表現され、衝撃的!
また、ボヘミアの素朴な民謡や、篤い信仰心を表した讃美歌をベースにした魅力的な旋律も多く、魅了されました。

この演奏会を最後に、京響の現職から退かれる高関さん。 そういう思いも込められたクライマックスは圧巻の演奏。
「ターボル」から終曲「ブラニーク」へ、再現される冒頭の旋律。 チェコ人ならずとも、魂が揺さぶられました。

プレトークで「風通しをよくしたい」と語っておられた高関さん。 第2曲の完成時には聴力を失っていたスメタナ。
チェコの歴代名指揮者たちの改編作業の延長線上に、本日の高関さんの学究的で明晰な解釈。 京響の卓越した演奏力。



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京都市交響楽団 大阪特別公演 2019

2019-07-09 15:52:11 | kyokyo
2019年7月7日(日)14:00 開演 @ ザ・シンフォニーホール
指揮 : 広上 淳一(常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー)/ 管弦楽 : 京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● ベートーヴェン : 交響曲第3番 変ホ長調「英雄」 作品. 55
後年、「これまでの交響曲の中でのお気に入りは?」と問われたベートーヴェンは、「エロイカ」と答えたという。
確かに、古典的な交響曲の延長線上にあり、天国的な美しさを有する第2番との間には、大いなる飛躍を感じます。

ややゆったりとしたテンポで進む広上=京響。 新基軸を出そうというよりは、奇を衒わない正攻法のアプローチ。
今年3月、西宮での同コンビによる「未完成」でも、同じようなことを感じました。 丁寧な「楷書」風の運び。

常任指揮者就任、4期12年目のシーズン。 オーケストラの能力を掌握した余裕からくるものなのでしょうか?
骨太の構成、スケールの大きさ、随所に表れる斬新なアイディア。 古典的名曲と呼ぶに相応しい傑作だと再認識。

● ヴェルディ : 歌劇「運命の力」序曲 / 歌劇「仮面舞踏会」前奏曲
交響曲とオペラの違い、楽器編成や規模が異なるので、音色が変わるのは当然とは言え、さすがにプロのレベル。
管弦楽の華やかさや色彩感が、一段と際立ちます。 やはり、広上=京響は、この手の選曲の方が似合うようです。

● レスピーギ : 交響詩「ローマの松」
昨年4月の定期、ダミアン・イオリオさんの指揮で「ローマ三部作」の全曲演奏を聴いて以来の「ローマの松」。
広上さんの指揮では、さらにさかのぼること、2011年8月の定期で「ローマの祭り」を聴いて以来のこと。

響きの豊かなこのホールで聴く「アッピア街道の松」は、予想をはるかに超越した凄まじいばかりの大迫力でした。
英雄的な将軍に率いられた古代ローマ軍の凱旋の行進、彼らを称え熱狂するローマ市民たち。 箱鳴りするホール。

第3曲の「ジャニコロの松」では、京響の誇る管楽器パートに優るとも劣らない、ナイチンゲール(夜鶯)の独唱。
帰り際には、ホール前のメタセコイヤの並木からも、盛会を祝福するかのように、美しい鳥の鳴き声のオマケ付き。



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