まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

かんでん クラシック イン 京都

2011-11-27 19:38:01 | kyokyo

2011年11月26日(土)2:00PM 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 三ツ橋 敬子 / 独奏 : 加藤 文枝(チェロ) / 管弦楽 : 京都市交響楽団

            *  *  *  *  *

● ドヴォルザーク : チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
指揮者・独奏者共、女性という組み合わせで聴くのは、今日が初めて! とても楽しみです。
加藤文枝さん、鮮やかなピンク色のドレスで登場。 清楚で可憐な印象を受けるお嬢さん。

そんな彼女が、チェロ協奏曲における傑作中の傑作と言われる曲に、どう挑んでいくのか?
巨大な風車に敢然と立ち向かっていくドン・キホーテのイメージに、ちょっと重ねてみます。

民族色の強い、大地に根ざしたような逞しさという点では、やや物足りなさも感じますが、
素直な音色で、叙情豊かに歌うチェロ。 ドヴォルザークならずとも、望郷の想いが募ります。

三ツ橋敬子さんは、小柄な身体をフルに使った、きびきびとした躍動感のある指揮ぶり。
チェロと呼応するように、管楽器のパートを伸びやかに歌わせる表現が印象に残りました。

            *  *  *  *  *

● シベリウス : 交響曲第2番 ニ長調 作品43
この曲を聴くと、一昨年の京都市交響楽団大阪特別公演での熱狂的な興奮が甦ってきます。
三ツ橋敬子さんの指揮が、あの時の広上淳一さんに何処まで迫れるか、注目のステージ。

独奏者と同じく、指揮者が男性であるのか、女性であるのかは、大した問題ではありません。
才能豊かな音楽家の手にかかると、紛れもないシベリウスの世界が目の前に開けてきます。

この曲でも、体格的なハンデを微塵も感じさせない、スケールの大きな指揮ぶりが光ります。
終楽章で高らかに歌い上げる「愛国賛歌」は、圧倒的な感動を伴って会場を包み込みました。

強靭で張りのある金管楽器と、華麗で色彩豊かな木管楽器、正確で切れ味鋭い打楽器。
そして、ここ最近の弦楽アンサンブルの充実ぶりが、何より頼もしく思います。 大満足です。

Kanden_2

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京都市交響楽団 第552回定期演奏会

2011-11-20 10:29:35 | kyokyo

2011年11月19日(土) 午後2時30分開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : ギュンター・ノイホルト / ピアノ : キム・ソヌク / 管弦楽 : 京都市交響楽団

            *  *  *  *  *

● ブラームス : ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品.83
ブラームスの円熟期に創作された、「ピアノ付きの交響曲」といった趣きのある重厚な協奏曲。
いわゆる、ヴィルトゥオーソたちの超絶技巧を披露する協奏曲とは、一線を画するものです。

ピアノのキム・ソヌクさんは、若くして国際的なピアノコンクールに優勝した経歴を持つ逸材。
三月定期のシン・ヒョンスさんをはじめ、韓国の若き才能の活躍には目を瞠るばかりです。

チラシに使われている写真は、もっと若い頃のもの? 実際は、骨太で逞しい感じがしました。
演奏の方もどっしりとした安定感があり、むしろ余裕すら感じさせる堂々としたものでした。

対する京響も決して重々しくならず、ノイホルトさんの指揮・要求に機敏に反応していました。
ピアノとオーケストラとの対話と融合という点で、高い完成度を示した充実した演奏でした。

            *  *  *  *  *

● ブラームス : 交響曲第3番 ヘ長調 作品.90
以前のプレトークで、広上さんが「指揮者泣かせ」の難曲とおっしゃっていた第3番の交響曲。
スケールの割には、プロの演奏家レベルでの「難所」がいくつも散在しているのでしょうか?

整然とコントロールされたノイホルトさんの指揮。 全体のバランスを大切にされているよう。
むしろ、この交響曲の「室内楽」的な美しさを印象づけるような演出だったのかもしれません。

その分、普段のガンガン鳴る京響を期待されていた方には、ちょっと拍子抜けがしたかも?
開放的な響き、音量が抑えられていた分、いつもとは違う新鮮な響き、美しさを感じました。

ごく限られた練習時間にもかかわらず、京響から新たなサウンドを引き出したノイホルトさん。
卓越した指揮者としての能力。 それに応えた京響のフレキシビリティーの高さに大満足です。

            *  *  *  *  *

アンコール曲は残念ながら、前半のステージでのキム・ソヌクさんのピアノ曲のみでした。
濃厚なフルコースを食べた後のちょっと気のきいた素敵なデザート。 モーツァルトのソナタ。

No552

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ローム ミュージック ファンデーション

2011-11-14 13:47:03 | kyokyo

2011年11月13日(日)14:00開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮: 宮本 文昭 / ピアノ: 熊本 マリ / 管弦楽: 京都市交響楽団

            *  *  *  *  *

● R.シュトラウス: 「バラの騎士」組曲
標題の「バラの騎士」とは、婚約のしるし「銀のバラ」を届ける役目を担った騎士のことです。
うっとりするような魅惑的なワルツの調べが、私たちを華麗なオペラの舞台へと誘います。

宮本さんの指揮ぶりは躍動感があり、緩急・強弱・表情の変化もダイナミックなものでした。
これ以上やると、ちょっと嫌味になるかなーという一歩手前で、上手くまとめられていました。

● F.リスト: 死の舞踏
グレゴリオ聖歌の「怒りの日」の旋律をテーマに引用した、強烈なインパクトを与える変奏曲。
ピアノとオーケストラとの迫力満点の協奏と、繊細で煌くようなピアノソロとの鮮やかな対比。

凄まじいばかりの超絶技巧。 熊本さんの指づかいを見ていると、まさに「死の舞踏」のよう!
山下洋輔さんのピアノを彷彿とさせるような、相当な「力業(ちからわざ)」の演奏でした。

            *  *  *  *  *

● R.シュトラウス: 「サロメ」よりサロメの舞「7つのヴェールの踊り」
サロメが、ストリップのように、ヴェールを1枚ずつ脱ぎ捨てながら踊る官能的な場面の音楽。
実際のオペラの舞台でも、サロメ役の女性が全裸になってしまう過激な演出もあるそうです。

エキゾチックな雰囲気が漂う中、サロメの妖艶な踊りが繰り広げられ、やがて陶酔の世界へ。
端正な清水さんのフルートも、清楚な高山さんのオーボエも、いつになく官能的な響きのよう。

● F.リスト: ハンガリー幻想曲
祖国ハンガリーへの燃えるような愛国心、誇り高き民族の心を感じさせる感動的な作品です。
私たちは、遠い遠いところで繋がっている、同じウラル・アルタイ語族なんだなぁーと実感。

少々のミスタッチもなんのその、奔放なエネルギーの流れのまま、勢いで乗り切ってしまう!
と思いきや、実は凄まじい打鍵によって、演奏中にピアノの弦が切れてしまっていたそうです。

            *  *  *  *  *

アンコールは、シューマンの作曲で、リストがピアノ独奏用に編曲した「献呈」という佳曲。
結婚式の前日に、シューマンが愛するクララへ捧げたという、愛情あふれるエピソード付き。

Kumamoto_mari

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする