まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第624回定期演奏会

2018-06-16 21:28:27 | kyokyo
2018年6月15日(金)19:00 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : リオ・クオクマン / 独奏 : ヨゼフ・シュパチェク / 管弦楽 : 京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● ジェニファー・ヒグドン : ブルー・カセドラル(日本初演)
現代作曲家の作品にも、積極的にチャレンジする京響さん。 これまでにも、何度かの日本初演に立ち会えました。
日本初演とは言え、世界各国で600回以上も演奏されてきた曲。 現代作曲家の作品の中では、群を抜く人気曲。

天空に浮かぶ、ガラスで作られたカセドラル。 「大聖堂」と言っても、キリスト教的な色彩は余り感じられません。
むしろ東洋的な、例えば、竹林の中を吹き抜けてゆく、そよ風のようなイメージさえも、感じ取ることができます。

標題の「ブルー」という色彩のイメージ。 作曲の数週間前に他界された弟のアンドリュー・ブルーさんへの追悼。
姉のフルートと弟のクラリネットによる対話。 ひたすらに「青く」美しい響きに、いろいろな想いを巡らせました。

● ドヴォルザーク : ヴァイオリン協奏曲イ短調 作品.53
美しく伸びやかな音色。 躍動感のあるパフォーマンス。 久々にソリストの技量に圧倒され、魅了されたステージ。
京響の演奏会では、円熟のズッカーマンさんも素晴らしかったですが、「今が旬」と言った感じの勢いを買いたい。

学生の頃からの親友同士という、クオクマン&シュバチェクさん。 今回の共演は、全くの偶然にアレンジされた!
気心の知れた指揮者とソリスト。 お互いをリスペクトし合う関係性。 私も、幸福な時間を共有できたことに感謝。

京響も、お二人のリードのもと、バランスのとれた引き締まった響き。 存在感も十分な充実したサポートぶり。
有名なチェロ協奏曲に比べると、いささか印象の薄い作品と言えますが、隠れた魅力を再認識させてくれました。

● チャイコフスキー : 交響曲第6番ロ短調「悲愴」 作品.74
フィラデルフィア管弦楽団の「アジア常任指揮者・芸術アドヴァイザー」というポストを務めるクオクマンさん。
京響の響きの中にも、「フィラデルフィア・サウンド」を彷彿とさせるような瞬間を、感じることが出来ました。

開放的ではあるが野放図ではなく、第1楽章からゴージャスな響きで、オーケストラをたっぷりと歌わせていく。
その分、申し分のない燃焼度ではあるものの、第3楽章のドライブ感がちょっと割を食った?感じがしなくもない。

第3楽章、大好きな私には、少々の物足りなさを感じつつ、ほぼ切れ目なく第4楽章へ。 この演出がなかなか面白い。
体力、気力とも充実した気鋭の指揮者ならではのパフォーマンス。 ご高齢の指揮者では、一息入れないともたない。

            *  *  *  *  *

今回の定期演奏会は、指揮者&ソリスト共に「大当たり!」の回でした。 気の早い話ですが、シーズン・ベストか!
リオ・クオクマンさん、今後とも、京響との良好な関係を築いて欲しい気鋭の指揮者が、また一人、登場しました。



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