2013年9月23日(月・祝) 17:00 開演 @京都コンサートホール・小ホール
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● ハイドン : 弦楽四重奏曲 第77番 ハ長調 作品.76‐3 「皇帝」
ワールドカップやユーロなどの国際試合の前、スタジアムが一体となる感動的な国歌斉唱。
馴染み深いドイツ国歌(当時はオーストリア帝国)は、この曲の第2楽章の変奏主題です。
是非、一度は「原曲」を生演奏で聴いてみたい!という念願が、今夜ようやく実現しました。
もちろん、その他の楽章も個性がくっきりと際立ち、整然とした様式美を堪能できます。
第1楽章の中盤、まるでバグパイプで奏されるスコットランド民謡のような響きが印象的。
彼らの「色」がどこまで反映されているのかわかりませんが、とても上質な演奏でした。
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● メンデルスゾーン : 弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 作品.13
まずは冒頭の序奏部分。 その安らぎと癒しを感じさせる美しい旋律と響きに魅了されます。
これは、メンデルスゾーン自作の歌曲「そは真実か」という恋の歌からの引用。 なるほどね!
他の部分はこの「問いかけ」に対して、思い悩む作曲者自身の姿を投映させたものかも?
私の思い込みのせいか、時として、痛みや疼きを伴う心の叫びのようにも聴こえました。
作曲者の十八番(おはこ)と言われる「妖精的スケルツォ」。 そして、決然とした最終楽章。
たった4人のカルテットにもかかわらず、オーケストラのようなドラマ性を感じさせます。
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● ジャズ・プログラム
枝雀師匠いわく「緊張の緩和」というか「緊張からの開放」というか、ホールの空気が一変!
チラシの「ジャズ・バンドへ自在に変容することができる」というコピーは、正真正銘の本物。
チェロがウッド・ベースのように低弦のリズムを刻み、ヴァイオリンが自由奔放にスイング。
それに、ヴィオラがギターのような合いの手。 ジャズ・クラブのステージような雰囲気に!
もちろん、演奏法を変えただけでジャズになるかと言うと、それほど甘いものではありません。
クラシックで培われた高い演奏技術と、柔軟で瑞々しい音楽性の成せる業だと言えます。
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● アンコール Someday My Prince Will Come (ディズニー映画「白雪姫」より)
今やスタンダードと言ってもいい人気のナンバー。 冒頭は、なんと、ア・カペラでの演奏!
その絶妙なハーモニーは、本職のジャズ・ヴォーカル・グループも顔負けの腕前でした。
クラシックの品位と節度を保ちながら、聴衆を酔わせてしまう豊かなエンターテイメント性。
クラシックの演奏家がジャズを演奏するときのちょっとした違和感は、微塵も感じさせません。
最近では、山下洋輔さんや小曽根真さんなども、頻繁にクラシックの演奏会に登場されます。
ジャンルの垣根を越えた出会いが、新たな音楽を創造する可能性を感じさせたステージ。