まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第608回定期演奏会

2017-01-24 16:31:12 | kyokyo
2017年1月22日(日)14:30開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 下野 竜也(常任客演) / 独奏 : パスカル・ロジェ(ピアノ) / 京都市交響楽団


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● モーツァルト : ピアノ協奏曲第25番ハ長調 K.503
第20番以降、名曲が並ぶモーツァルトのピアノ協奏曲の中にあって、イマイチ影が薄いのが、この第25番。
演奏会のプログラムでも、CDのカップリングでも、演奏機会に恵まれているとは言い難い作品なのですが…。

それでも、冒頭の華やかで堂々としたオーケストラのトゥッティは、これからの展開に胸をときめかすには十分。
ただ、他の名曲に比べると、翳りの部分での、しみじみと心に染み入るような情趣に欠けるのが人気薄の一因かも?

パスカル・ロジェさんのプロフィールには、「他の追随を許さない、フレンチ・ピアニズムの名手」と記載されています。
透き通った水面の上を、滑らかにすべるように進んで行くアメンボ(?)を連想させる、繊細なタッチが印象的です。

第1楽章の自由な創造性を感じさせるカデンツァ(誰の?)。 サティとラヴェルのアンコール2曲も、夢見るような心地。
まさか、エリック・サティの「ジムノペディ」が生演奏で聴けるとは思ってもみなかったので、感激も一入でした。

● ブルックナー : 交響曲第0番ニ短調 WAB 100(ノヴァーク版)
ブルックナーが苦手な人は、「知らない、深い森の中を歩いていく」ようなイメージで。 プレトークでの下野さんの助言。
「道に迷ってしまうんじゃないか…」というような不安や恐怖を少しも感じなかったのは、ナビゲーターの腕の良さかと!

確かに、聴いているうちに、まるで「森林浴」でもしているかのように、癒され、清められていくのを体感できます。
鬱蒼とした森の中で、時折出くわす美しい花々、可愛い小鳥や動物たち。 そして突然、目の前に広がる神秘的な湖水。

下野さん=京響、私のような素人愛好家の耳には、全く申し分のない、極めて完成度の高い演奏に聴こえました。
ザクザクと刻みを続ける低弦、咆哮する強靭な金管、情感たっぷりの木管など、ブルックナーのサウンドを堪能。

今回のフルート首席は、客演の榎田雅祥さん。 しっかりとした豊かな音色で、存在感十分に木管パートをリード。
消息通の方によると、元・大フィルの方で、あの「朝比奈さんのブルックナー」を支えた主要プレーヤーのお一人だそう!

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奇数月の土・日、2日間の開催は、好きな座席のチケットも取りやすく、ゆったりと聴けるので大歓迎なのですが…。
今回のような感動的な熱演に接すると、聴衆が分散され、満員のホールで聴けないのが勿体無いように感じました。

コメント
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