まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第667回定期演奏会

2022-05-23 17:50:16 | kyokyo
2022年5月21日(土)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : ヤン・ヴィレム・デ・フリーント / 独奏 : 上野 博昭(フルート)、松村 衣里(ハープ)


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● モーツァルト : セレナード第12番 ハ短調 K. 388 (ライブ配信)
楽器編成は、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンが各2本ずつ。 「管楽八重奏」というアンサンブル。
フリーントさんも座っての指揮。 さながら、宮廷や貴族のサロンでの演奏会という雰囲気。 優美で贅沢なひと時。

弦楽器セクションによる、強靭かつ精緻なアンサンブルを披露してくれた4月の定期。 今回は、管楽器の番です。
さすがに名手揃いの京響、安心安定のパフォーマンス。 ライブ配信であっても、十分にその魅力は伝わりました。

● モーツァルト : フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K. 299
今では、相性のいい楽器の組み合わせとして愛好されているフルートとハープ。 作曲当時は、斬新な組み合わせ。
モーツァルトの先見性と天才性。 硬質で透明感のある響きの中にも、人の温(ぬく)もりや温かさを感じさせる。

先のセレナードに聴く室内楽的な響きを、そのままオーケストラ編成までに拡大したかのようなバランスのよさ。
「モーツァルトの京響」という伝説を残した、初代指揮者のカール・チェリウスさんも、満足されるに違いない。

フルートの上野さん&ハープの松村さんも、息の合った妙技を披露。 酒井健治さん作曲のカデンツァ、世界初演。
オーケストラの活動とは別に、さまざまな編成のユニットを組んで活動されている、楽団員さんたちの研鑚の成果。

● シューベルト : 交響曲第8番 ハ長調 D. 944「ザ・グレート」
いかにもシューベルトといった親しみやすい魅惑的な旋律が、まるで泉のように、これでもかと湧き出てくる大曲。
それ故に、「天国的な長さ」と評される長大さが、時には「まだ、続くのか…」といった冗長さに繋がりかねない。

今回のフリーント=京響の演奏は、そんな懸念をよそに、推進力ある斬新な響き。 途切れることのないワクワク感。
各声部はかなり自己主張は強いものの、響きが混濁することはない。 氏の卓越したオケをコントロールする手腕。

プロフィールから、注文の多い、厳格で学究肌のお人柄かと勝手に想像していましたが、思いの外、フレンドリー。
多彩な交響曲のレパートリーからいっても、再客演(早くも!)を希望したい指揮者のお一人としてリストアップ。

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次回のフライデー・ナイト・スペシャルは、リオ・クオクマンさん指揮の11月定期。 京響へは3度目の登場です。
金曜夜の特別プログラムでは、指揮&ピアノで「ラプソディー・イン・ブルー」。 今回のようなライヴ配信を希望!


コメント
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