まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 オーケストラ・ディスカバリー 第2回

2023-10-03 18:44:57 | kyokyo
2023年10月1日(日)14:00 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 沖澤 のどか(第14代常任指揮者)/ 管弦楽 : 京都市交響楽団
独唱 : 船越 亜弥(S)・大垣 加代子(A)・清水 徹太郎(T)・的場 正剛(Br)
合唱 : 京響コーラス / ナビゲータ : ロザン


            *  *  *  *  *

● ベートーヴェン : 交響曲第1番 ハ長調 作品21
ベートーヴェンが遺した9つの交響曲のうち、京響の演奏会で唯一未聴だったのが、この第1番の交響曲。それぞれの楽章のエッセンスを抜粋した形式での演奏になりましたが、念願かなって、ついにコンプリートいたしました! ベートーヴェンのスタンプを9つ集めたら、京響グッズがもらえるとか、何かそういうお楽しみ企画的なものがあればいいのになあ…。

今回が初顔合わせとなった、沖澤のどかさんとロザンのお二人とのトークの相性もよく、楽しみながらきっちりと学ぶことができました。特に、第3楽章・メヌエットのテンポ設定、並びに、リズムやアクセントの強弱の付け方には、早くもベートーヴェンの革新性が明確に示されていて、まさに「目から鱗」のようなレクチャーでした。

● ベートーヴェン : 交響曲第3番「英雄」、交響曲第5番「運命」、第7番
先週の京響・第682回定期で、沖澤のどかさん指揮による同第4番の名演奏の余韻も冷めやらぬうちに、今週はベートーヴェンの「奇数番号」の交響曲が聴けるという幸運。ずらりと居並ぶその様は、さながらアルプスやヒマラヤの名峰が、互いの個性を競うかのように聳え立つ姿を連想させます。圧倒的な巨大山脈の壮大なパノラマを仰ぎ見る思い。

子どもたちのためのオーケストラ入門という演奏会のコンセプト上、演奏が断片的になるのは致し方のないことですが、「まさにこれから(いいところ!)」というところで途切れてしまうのは、本当にもったいない感じがしました。それぞれの交響曲のエッセンスのみの紹介にもかかわらず、充実したサウンドを聴かせてくれた沖澤=京響の皆さん。きっと全曲を通して聴いてみたい!と思った子どもたちも、少なからずいたに違いありません。

そうは言ってはみたものの、沖澤のどかさんとロザンのお二人とのトークも、この「ディスカバリー」の大きな楽しみのひとつなので、ここは「痛し痒し」と言ったところで折り合いをつけましょう。

● ベートーヴェン : 交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱つき」
おそらく、今日お越しの皆さんは今シーズン、日本で最も早く「第9」をお聴きになった人たちと言えるのではないでしょうか? 4人の独唱者と京響コーラスの皆さんも、これから年末に向かって、どんどん歌い込んでいくにしたがって、歌唱の完成度も右肩上がりといったところでしょうが、季節外れのこの時季にもかかわらず、堂々とした立派な歌唱ぶりでした。

何より、この3年間のコロナ禍という状況において、マスクを始め、様々の飛沫防止グッズを装着しての苦心のステージが続いた京響コーラスの皆さんにとっては、ようやく本来の(通常の)状態に戻ったということになりました。自然な呼吸と発声、そして歌うことの喜び。シラーの詩に繰り返し出てくる「Freude」という言葉が身に染み入るように響きました。

● ナビゲーター : ロザン
生(なま)のロザンのお二人のステージは、これが2回目になります。実は、前回も京響の「オーケストラ・ディスカバリー」でした。2013年11月の第3回、「和&洋」というテーマで、指揮は川瀬賢太郎さん。独奏者には尺八の藤原道山さんと、雅楽師の東儀秀樹さんという顔合わせでした。

ずいぶんと間隔が開いてしまったようですが、お二人が配信されている YouTube 番組の「ロザンの楽屋」を毎日拝見しているので、そんなにご無沙汰感はなく、より親しみ深く楽しめました。なかなかお笑いの取りにくいシチュエーションではありましたが、さすがの安定したパフォーマンスでした。


コメント
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