まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 スプリング・コンサート 2024

2024-04-09 19:14:07 | kyokyo
2024年4月7日(日)14:00 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : リオ・クオクマン / 独奏 : 桑山 彩子(オルガン) / 管弦楽 : 京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● ベルリオーズ : 序曲「ローマの謝肉祭」 作品9
この曲は、2014年5月の京響第579回定期(指揮:広上淳一さん)のときに聴いています。この演奏会でのメインは、同じくベルリオーズの交響曲「イタリアのハロルド」でした。

旋律などはすっかり忘れていましたが、オープニングにふさわしく、全体的には快活で色彩感豊かな曲想。カーニバルの熱狂が見事に(決して粗野にならず、センスの良さが感じられる)表現されていました。「ここで終わるのか」と思わせておいて、さらにもう一段盛り上げるところなどは、ベルリオーズらしい技法(知らんけど…)だと思いました。

● プーランク : オルガン協奏曲 ト短調
オーケストラは、管楽器を含まない弦楽器とティンパニーのみという、シンプルな編成。その分、オルガンの多彩な音色と豊かな響きが、より一層、際立つ感じがしました。管楽器を欠いていることを忘れてしまうほど、充実したアンサンブルを楽しめました。

オルガンの強奏は強い怒りや不安、深い悲しみの咆哮のようにも響き、一方で、静かな弱音で奏されるところは、静謐な美しさを湛え、宗教的な祈りにも通じているように聴こえました。プログラム・ノートには、友人の作曲家を自動車事故で亡くしたことが記されていましたが、1930年代半ば以降の、大戦へと突き進んでゆくヨーロッパの社会的背景も、決して無関係ではないように思いました。

● サン・サーンス : 交響曲第3番 ハ短調 作品78(オルガン付)
この壮大な交響曲は京響の演奏会でもよく取り上げられ、広上淳一さん、小林研一郎さん、大友直人さん、それぞれの指揮で聴いています。中でも、広上淳一さん指揮の第530回定期(2009年11月)では、今回の独奏者、桑山彩子さんのオルガンで聴いています。

この曲の聴きどころは、何と言っても第2楽章の後半部分。まるで、天空からキラキラとした結晶が舞い落ちてくるかの如く、はたまた、大地の底から煮えたぎったマグマが湧き上がってくるかの如く、オルガンとオーケストラとの圧倒的協奏は、何度聴いても、心が強く揺さぶられます。

指揮のクオクマンさん、京響への客演は今回が4度目になるとのこと。2018年6月の第624回定期で、京響デビュー。以降、2年に1回のペースで客演されています。ここ数年の客演頻度は、最も高い部類の指揮者のお一人だと思われます。直近の2022年11月のフライデー・ナイト・スペシャルにおける、「ラプソディー・イン・ブルー」でのピアノ&指揮は、圧巻のパフォーマンスでした。今回のスプリング・コンサートも、京響との相性の良さ、楽団員からの信頼の高さが実感できる、素晴らしい演奏会となりました。



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