主人公の琴子は、小学3年生の女の子。 周りの人たちからは、「こっこ」と呼ばれています。
私の読書歴からいうと、小学5年生の「ハル」を抜いて、史上最年少のヒロインの登場です!
題名の「円卓」は、(高級?)中華料理店によくある回転式テーブルのこと。 鮮やかな真紅。
廃業閉店したお店から、ちゃっかりもらってくるあたりが、いかにも「大阪人」らしいところ。
* * * * *
こっこ一家は、両親に祖父母、それに三つ子の中学生のお姉ちゃん。 三世代八人の大家族。
明るく楽しい毎日ですが、こっこは「なにがおもろいねん!」といった感じで暮らしています。
同級生の香田めぐみさんの「ものもらい」に憧れ、ぽっさんの「きつおん」がカッコいい!
平凡さを嫌う「こっこ」は、一般的にはネガティブとされるものに強く惹かれてしまいます。
* * * * *
そんな「こっこ」を取り巻く、個性豊かな性格・趣味嗜好を備えた愛すべき登場人物の皆さん。
ちょうど反抗期を迎えた、感受性豊かな女の子の日常が、とてもコミカルに描かれています。
家庭・学校で交わされる「大阪弁」の歯切れのよい会話が、テンポよくリズミカルに響きます。
会話を文字に変換すると、削がれてしまいがちな「活き」のよさが、巧みに表現されています。
* * * * *
大笑いしながら読み進めていくと、場面の雰囲気(文章の感じ)の変化に気付かされます。
それは、「こっこ」自身の心の変化であり、戸惑い、悩み、考え、そして成長していく過程です。
そして、何より、エンディングへ向けて、ラスト数ページの展開、表現のすばらしいこと!
「ものもらい」でも、「結膜炎」でもないのに、文字がゆがんで見えにくくなってしまいますよー。