まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第562回 定期演奏会

2012-10-29 21:39:01 | kyokyo

2012年10月28日(日) 14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : アレクサンドル・ラザレフ / 管弦楽 : 京都市交響楽団

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● チャイコフスキー : 弦楽セレナーデ ハ長調 作品. 48
ロシアの巨匠、ラザレフさんによるチャイコフスキー・プログラム。 期待感いっぱいです。
冒頭の印象的な旋律の数小節を聴いただけで、涙がこみ上げてきそうになりました。

愛らしいワルツの第2楽章が終わり、第3楽章の序奏が始まるまで緊張感。 半端じゃない!
この音のない沈黙の「間」には、ラザレフさんの思いが込められているような気がします?

いたる所に細かい指示や要求が出されていたことが窺い知れる、ラザレフさんの指揮ぶり。
限られたリハーサルの中で、自らの音楽を創りあげる「トレーナー」としての腕前はさすが。

ロシア風のノスタルジー、熱狂する民衆のエネルギー、穏やかな宗教的(?)な安息など。
ロシア音楽の持つ魅力が高度に洗練され、凝縮された名曲。 稀代のメロディー・メーカー!

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● チャイコフスキー : 交響曲第5番 ホ短調 作品. 64
作曲者自身の手紙には、「この曲には大げさな飾った色彩、不誠実な混ざりものがある」と。
聴きようによっては、当時の聴衆の「受け」を狙った「あざとさ」を感じられるかもしれません。

プレトークの際、「この曲が駄作でないことを証明したい」という抱負を語ったラザレフさん。
現代の聴衆にとっては、この曲のエキサイティングな要素は、むしろ大歓迎するところです。

思い切ってゆったり目のテンポをとったり、オケの強奏を抑制気味にコントロールしたり…。
随所にラザレフさん流のカラーが打ち出されていて、とても新鮮であり魅惑的な演奏でした。

前半のセレナーデでは充実した弦楽合奏。 後半の第5番では管楽器の聴かせ所が満載。
第2楽章での美しいホルンのソロを始め、その健在ぶりは頼もしく、誇らしくもありました。

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純粋な意味で、音楽の中に民族性がどれだけ反映されているものなのか?わかりません。
それでも、ラザレフさんの「アク」の強さの中に、ロシア「訛り」を感じとれた気がしました。

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コメント (2)
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