習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』

2009-08-20 21:43:13 | 映画
 これあかんわ、と思った。見ながらこれは見るべきではなかった、と痛感した。今年ナンバーワン大ヒットのシリーズ最新作なのだが、暗すぎる。子どもにはとてもついていけない映画だろう。家族連れは敬遠すべきだ。今までシリーズを見てきたファンなら、まぁ、いいけどそれ以外の一見さんはお断りの映画だ。前作までとは明らかにタッチが違う。しかも話がない。  最初『アズカバンの囚人』を見たときあのちょっとダークなタッ . . . 本文を読む
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『湖のほとりで』

2009-08-19 22:22:28 | 映画
 こんなにも地味で何の宣伝もされてない映画がなぜか大ヒットしていた。まぁ、テアトル梅田での単館公開だし、1日3回くらいしか上映してないから、これをヒットとは言わないのかもしれないが、僕が見た回は平日なのに、老人を中心にして満席だったので驚いた。  老人2人が湖のほとりでたたずむポスターにそそられたのだろうか。少なくとも僕はあのポスターを見て内容も知らないで見たいと思った。だから、それだけで見たい . . . 本文を読む
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豊島ミホ『僕が夏を抱く』

2009-08-19 22:06:36 | その他
 夏が終わるから、行く夏を惜しんで小説もそんな感じのものを読んでみた。まぁ、それは冗談で偶然この本をこの時期に読むことになっただけなのだが。  幼なじみとの時間が描かれる5編からなる短編集。同じ時間を共有し、でも今では遠く離れてしまった2人(それは物理的なものだけではなく、心理的なものも含む)の、再会から始まるドラマが描かれる。近所に今も変わらず住んでいるけど、もうあの頃の2人ではない。だから、 . . . 本文を読む
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『色即ぜねれいしょん』

2009-08-19 21:22:27 | 映画
 夏の終わりにふさわしい映画だ。なんだか切ない気分になる。また、今年の夏も終わっていく。個人的な話で恐縮だが、来週から授業が始まると思うと、なんだか気が重い。だいたい何か知らないが、何もできないまま、2009年の夏が終わる。せっかく夏なのだからちょっとは「何か」が出来たってよかろうと思う。なのに、旅行にも行けなかったし、7月から今日まで、まともに休みを取れたのは1日だけである。毎日どんだけ働いたか . . . 本文を読む
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山田詠美『学問』

2009-08-17 18:31:00 | その他
 このちょっといかめしいタイトルを冠した青春小説を読みながら、とても切なくて、素敵で、大好きな小説なのに、今一歩乗り切れなかった。なんだか微妙だ。かって『放課後の音符』と『僕は勉強ができない』の2作品で、青春小説の頂点を極めた山田詠美マジックが今回は僕を魅了しない。それは作品の方に問題があるのではなく、きっと今の僕の感じ方に難があるのかもしれない。  高度成長期を背景にした自伝的フィクションは、 . . . 本文を読む
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いしいしんじ『四とそれ以上の国』

2009-08-17 18:01:15 | 映画
 四国の徳島で生まれた。徳島での子どもの頃の記憶はない。幼い頃、両親と共に大阪に出てきて、大正区で暮らした。沖縄出身の人たちが住むアパートで暮らした。とても温かで居心地のいい場所だった。あの頃の記憶が一番古い記憶として今も心に残っている。そこでのアパートの階段に坐る僕の姿が最初の風景だ。まだ、5歳にもなっていない。  4歳まで、四国で暮らした。大阪に出てきてからも毎年夏が来ると四国に帰っていた。 . . . 本文を読む
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鞦韆舘presents 自己満足シアターvol.2『エンゲキングXシバイズム』

2009-08-17 16:40:38 | 演劇
 北加賀屋のブラック・チェンバーの上に新しく出来たサイド・チェンバーに初めて行く。このキャパシティーがいい。30から50くらいの小空間だが、舞台はなかなか広いし、空間は自由に作れるから、客席も増やすことは出来る。ただ、最大の難点はここは空調が効かない!だから、この季節は果てしなく暑い。なんでこんな時期にオープンさせたのだろうか、とあきれる。芝居を見るどころではない。暑さとの戦いだ。それってやばすぎ . . . 本文を読む
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超人予備校『踊る綱吉くん』

2009-08-16 20:31:02 | 演劇
 振付師マイケル・ステューバーさんと魔人ハンター・ミツルギさんの幸福な出会いがもたらした超予備版ミュージカルは、その素朴で、いつもながらの物語と、一生懸命な歌とダンスが相俟って、訳のわからない祝祭的空間を作り上げることに成功(一応)した。これを持ってアメリカに出るのである。いくらなんでも無謀すぎる、という気持ちと、アメリカと言っても広いからきっとこの思いっきりへんてこな世界はきちんと受け止めて貰え . . . 本文を読む
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『GIジョー』

2009-08-13 22:50:25 | 映画
 凄まじいアクションの連続だ。ハリウッドでしかできない目を見張らされる驚異のビジュアル。それをこれでもか、これでもか、と続々と見せる。さすがアメリカだ。ここまでやられるとゲップしか出ない。もう堪忍と思う人も多数。やり過ぎはやり足りないのと同じかもしれない。  ストーリーのバカさを感じさせないため、観客に考える暇を与えない。ノンストップ・アクションだ。最近のハリウッド映画の特徴だが目に見えないくら . . . 本文を読む
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『BALLAD 名もなき恋のうた』

2009-08-13 22:10:50 | 映画
 『ALWAYS 3丁目の夕日』シリーズの山崎貴監督が究極のラブストーリーに挑んだ超大作である。しかもそれは同時に『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』の実写再映画化でもある。いくらなんでも『クレヨンしんちゃん』でラブストーリーを作るだなんて無謀にもほどがある。あんまりなことだ。しかも、大々的に原作は『しんちゃん』とカミングアウトしてる。まぁ、隠してもすぐばれるし、そこを前面に押し出 . . . 本文を読む
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『私の中のあなた』

2009-08-13 21:39:23 | 映画
 ニック・カサベテスはここに従来の難病ものの映画とは明らかに一線を画するドラマを提示する。11歳の少女が強い意志を持ち、姉のために生きることを拒絶する。家族が一丸となって死の病(白血病だ!)に罹った姉をサポートし、彼女を守るためにすべてを犠牲にして闘ってきた。そんな中、この妹はもうこれ以上自分の身体を姉のために犠牲にはしたくない、と言う。  姉が嫌いになったとかいうのではない。生まれた時から姉の . . . 本文を読む
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ばんぱ_み『キーウイ』

2009-08-13 07:09:21 | 演劇
 森川万里さんのパワフルな存在感に圧倒される。彼女のひとり芝居である。ひとつの部屋。2人の男女。すれ違う2人のそれぞれの時間を、くるりくるりと反転させながら、見せていく。ちょっとエキセントリックすぎて、見ている僕らの腰が引けてしまうくらいだ。彼女の肉体、その全身を駆使したエネルギッシュな身体表現と、彼女が発する強い言葉の力に引き込まれていく。  孤独な2人の心と体のすれ違いを繊細なタッチで見せて . . . 本文を読む
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『Orzボーイズ!』

2009-08-11 11:12:26 | 映画
 昨年の2008台北フィルムフェスティバル(第十屆台北電影節)で最優秀作品を受賞したのは先にも書いた『海角七号』で、審査員特別作品賞はまもなく日本でも公開される『九降風』(『9月に降る風』)だが、注目の作品はこの2本だけではない。最優秀監督賞を受賞した楊雅(ジルズ・ヤン)監督の『囧男孩』(『Orzボーイズ!』) が実はかなりおもしろいだ。なのにこちらの方は日本ではまだ公開予定がない . . . 本文を読む
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妄想プロデュース『約、1800光年の走り屋』

2009-08-11 09:48:37 | 演劇
 今年、妄想プロデュース、池川辰哉さんが放つ「走り屋3部作連続上演」の第2章である。ほんとなら年内に3作を一気に上演してしまうという計画だったが、次の最終章は来年の3月に持ち越しされることになった。諸般の事情もあろうが、僕はそれでいいと思う。この傑作が来年も見れることのほうがうれしい。楽しみは取っておく、というやり方もある。まぁ、一刻も早くこの先を見たい、と思う気持ちもあるが、じっくりと熟成させ上 . . . 本文を読む
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いちはら会『屑籠ノウタ』

2009-08-11 09:17:15 | 演劇
 金曜から昨日まで仕事で家を空けていた。クラブ合宿である。体はくたくただし、今日から夏の大会が開幕なので、もう少ししたらまた仕事に行かなくてはならない。普通の人はお盆休みとかあるんだろうなぁ、と思うとなんだか腹立たしいがまぁ好きな仕事をしてるのだから、休みなんかいらない。だが、合宿のせいでこの週末は芝居が見れなかった。実はそれが一番悔しい。特にこれから書くいちはら会『屑籠ノウタ』が見れなかったのは . . . 本文を読む
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