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映画・演劇のレビュー

『Orzボーイズ!』

2009-08-11 11:12:26 | 映画
 昨年の2008台北フィルムフェスティバル(第十屆台北電影節)で最優秀作品を受賞したのは先にも書いた『海角七号』で、審査員特別作品賞はまもなく日本でも公開される『九降風』(『9月に降る風』)だが、注目の作品はこの2本だけではない。最優秀監督賞を受賞した楊雅(ジルズ・ヤン)監督の『囧男孩』(『Orzボーイズ!』) が実はかなりおもしろいだ。なのにこちらの方は日本ではまだ公開予定がないらしい。なんだかとても残念だ。こういう素敵な映画がなかなか公開されないというのが、今の日本の現状だ。こんなに公開作品がたくさんあるのに、ほんとに大事な作品はそこにはない。

 これも『海角7号』同様、字幕なしで見たのだが、だいたいのストーリーはなんとか理解できる。でも、話してることが分からないってちょっとストレスがたまるから、普段はこんな見方はしない。でも、今回は仕方ない。いくら待っても見れない映画はどんな形でも見れるなら見ておきたい。

 2人の少年の生き生きした姿は見ていて気持ちがいい。少年目線で彼らの日々が描かれるのだが、ただ感傷的なだけの映画ではない。どうしようもないさまざまな出来事を介して、そんな中でただ無邪気なだけではない彼らが現実の壁と戦いながら、でも明るく元気に生きるけなげさが胸にしみる。夢の世界がアニメーションで描かれる。それは彼らの理想の世界だ。ここで遊ぶシーンは印象的だ。

 だが、気がつけば親しい人たちはみんないなくなる。現実世界と夢が交錯する。少年時代のいたずらの数々。不思議な出来事の数々。 いくつものエピソードをちりばめて少年の輝きがやがて気付くと薄れていきいつの間にか大人になる。ラスト大人になった少年が居眠りしているとそこに思いがけない子供がやってくる。幸福なラストシーンである。


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