いやぁ、これには驚いた。こんな芝居を作るんだ、という衝撃がある。しかもただの思い付きではない。実に考えられている。安部公房の『箱男』(これはとても異常なお話だ。まぁ、それがいつもの安部公房なんだけど)をそのまま朗読劇にした。舞台上で箱を被った男がこの小説を読むだけ。それだけ。なんなんだ、それって、と思う。でも、それだけではない。(自分がそれだけと勝手に書いたくせに!)なんと観客である我々も箱を被り . . . 本文を読む
前日に『ケイコ、目を澄ませて』を見ていたから、なんだか不思議な感じだ。これは同じように聴覚障害を持つボクサーのお話。たまたま2本連続で同じ設定の映画、芝居を見ることになった。偶然なのだがなんだか不思議な気分。そして2本とも素晴らしい作品だった。
2本はまるで一卵性双生児のように似ている。ケイコはしゃべらないけど、ひかるはとても饒舌。感情をストレートに表に出す。闘志をむき出しにする。喧嘩に勝つため . . . 本文を読む
こんな小説なかなかない。自由奔放。恩田陸本人(のナレーション!)が出てきて、主人公の行動や時代背景を解説してくれる。もちろん同時に本人(主人公のほう)の告白もある。語り部がそのふたりなのだ。そこにはひとりの女の子が生まれたところから23年間が丁寧に描かれていく。というか、丁寧というより、思いつくまま好き勝手に、という感じ。
ほんとうは1冊で完結するはずだったのに、作者が寄り道ばかりするから話がど . . . 本文を読む
恒例の「キネマ旬報関西読者の会ベストテン」の投票に参加した。これは関西で昨年の12月公開作品から今年の11月までに関西で劇場公開(映画祭含む)作品を対象にしてのベストテンだ。もう40年くらい前から(たぶん)参加している。なかなか選考会には日程が合わず、最近では投票のみの参加になっている。
ベストテンの投票をしてから気づいた(というか、妻から指摘された)のだが、『LOVE LIFE』を入れ忘れてい . . . 本文を読む