1932年、ドイツによるユダヤ人収容所。そこに入れられたひとりのユダヤ人青年。彼は自分をペルシャ人だと偽ることでこの地獄で生き抜くことになる。明日、瀬々敬久監督の新作『ラーゲリより愛を込めて』を見るのだが、たまたまその前哨戦という感じで同じように強制収容所での日々を描くこの作品を見た。
地味な映画だが、これは力の籠った大作だ。なのに、日本では(というか、大阪では)たった2週間ほどミニシアターで1 . . . 本文を読む
2022年度のノーベル文学賞を受賞した作家アニー・エルノーが、自身の若き日の体験をもとにつづった短編小説「事件」を映画化し、2021年・第78回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したという鳴り物入りの映画だ。確かに悪くはない。そして、こういう映画が高く評価されるのはいいことだとは思う。
だけど、これがいい映画だかどうかは別の問題だ。というか、そんなことではない。これは好き嫌いの問題だ。見ながら僕 . . . 本文を読む
寺地はるなの最新刊だ。楽しみにして読んだのだが、なのに今回はあまり乗れなかった。こんなことはめったにないことだ。これもまた最近はやりのコロナ禍の話だ。最近の映画や小説はコロナばやり。要するにようやくコロナを描くことが可能になったということなのだ。もちろんコロナが収束したわけではない。それどころか今も変わらない日常は続いている。来月からは2023年ではなくコロナ4年目に入る、と言ってもよかろう。まだ . . . 本文を読む
廣木隆一監督3週間連続新作公開の最終作品。3本ともまるでタッチの違う作品だが、いずれも彼の得意ジャンルだろう。要するに彼はなんでも出来る職業監督なのだ。だけど、ただ器用にこなすのではなく、確実に自分のテリトリーにしっかりと取り込んで作家の作品として仕上げることができる。職人であると同時にアーティストでもある。しかも早く仕上げることも出来る。なんだか便利屋みたいだけど、いろんな意味で凄い人。
そん . . . 本文を読む