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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

イギリスは何故EUを離脱する必要があるのか・・・中東戦争の足音

2018-11-13 05:57:00 | 時事/金融危機
  

■ イギリスのEU離脱に国民の意思は存在するのか? ■

2016年6月23日の国民投票でイギリスはEUからの離脱を決めています。2019年3月29日にイギリスはEU離脱を達成する予定ですが、その交渉は難航している様です。

イギリス国民がEU離脱を決めた原因は、難民の受け入れによりイギリス国内の失業率が高まった事に有ります。安い労働力の流入によって、元からイギリスに住んでいる人達(特に低所得者)の雇用が奪われたのです。

但し、これは表向きの理由だと陰謀論者の私は考えています。EU離脱の国民投票の結果は僅差でしたが、選挙結果などは如何様にででも操作出来ます。ただ、世論と選挙結果の乖離があまりにも大きいと不自然なので、事前にメディアを通じてEU離脱派が増える様な情報操作はするハズです。

陰謀論的にはイギリスのEU離脱は決定事項だったと観るべきで、問題は何故イギリスがEUを離脱する必要があるかという点です。

■ ヨーロッパで底辺の労働を支える難民と移民 ■

シリアの内戦だけでも大量の移民が発生していますが、EUは人道的に難民の受け入れを加盟国に求めています。「難民受け入れ」と言えば聞こえが良いのですが、企業にとっては難民は「安い労働力」と同義です。

先進国内の製造業は新興国の賃金水準との競争に晒されます。これに勝つ為には、新興国に生産拠点を移すか、先進国内で安い労働力を調達するかのいずれかの方法が求められます。

EUでは労働組合の力が強く、賃金は下方硬直しています。しかし、法の目を潜って難民を劣悪な環境で酷使する企業は沢山有ります。(日本の技能研修生制度も同じですね)。

10年以上前に『BIUTIFUL ビューティフル』という映画を観たのですが、スペインの地下経済をリアルに描くものでした。南欧諸国にはアフリカから大量の難民が流入していますが、彼らは底辺の労働者として搾取されている様が克明に描かれています。主人公はそういった難民の世話を焼くチンピラですが、難民と地下経済は共依存の関係に有ります。南欧諸国のマフィアを中心とした地下経済の規模は大きく、地下経済は難民の受け皿となっています。

地下経済の様に違法な移民就労以外でも問題は拡大しています。経済や福祉の優等生と宣伝されているスエーデンでも底辺の労働はアラブ系の難民が支えています。ストックホルム郊外のリンケビューの住人の9割が移民の一世と二世に占められます。治安悪く、凶悪事件も多発しています。スエーデンでは移民に罹る福祉コストが増大して、従来の国民の福祉の質が低下しています。

この様にヨーロッパでは地下経済も難民や移民の労働力を使役し、表の経済も彼らを安く使役して来ましたが、その歪がどんどんと拡大しています。その結果が、各国での極右政党の台頭です。移民や難民に仕事を奪われ、社会保障の質が低下した事に抗議する国民が増えているのです。

■ 難民は確かに原因ではあるが、これから発生するであろう大量の難民が問題 ■

この様にヨーロッパでは難民・移民問題が拡大していますが、仮に中東で大規模な戦争が起これば、陸続きのヨーロッパでは難民をブロックする事は難しい。(実際には難民を送り出すブローカーが船で地中海を渡らせますが)彼らは中東の対岸のギリシャなどに最初に上陸し、そこから陸路を北に移動します。

先ず、南欧諸国の地下経済が彼らの一部を摘まみ食いし、その後、ドイツやその他の北欧諸国が難民の受け皿となります。EU加盟国は受け入れを拒否出来ません。

一方、海で大陸と隔てられているイギリスは、EUを離脱すれば難民受け入れの義務を負いません。難民もドーバー海峡を船で渡る事は難しい。

イギリスのEU離脱の期日は2019年3月29日ですが、この日以降に大量の難民が発生するイベントが発生すると私は妄想しています。そのイベントとはズバリ、中東戦争。


■ ドルの信用危機まで発展する次の金融危機 ■

借りに中東で戦争が起きるとして、その原因はリーマンショック以降の超緩和的金融政策の失敗を誤魔化す為のもでしょう。

世界のリスク市場が不安定になっていますが、原因は米中貿易戦争では無く、金利の上昇や通貨供給量の縮小を前に、金融緩和バブルが崩壊を余儀なくされるから。これは、あらゆる通貨供給量の増加によるバブルの結末として避けて通れません。

ただ、次の金融危機はリーマンショックの規模を越えると予想されますし、債券市場の信用破壊も相当な規模に及ぶでしょう。中央銀行が再び「超緩和的金融政策」を採用したとして、それがリーマンショック後の失敗を連想されるだけなので効果は薄い。

結果的に各国の国債の信用危機や、通貨の信用危機に発展するはずです。当然、リーマンショック直後の様にドルの信用危機も注目されるでしょう。

この様な状況に陥った時、ドルの信用を回復させる方法が一つだけ有ります。それは中東で戦争を起こして原油価格を吊り上げる事です。ニクソンショックの直後にこの方法が用いられました。原油価格の上昇はドル需要を急拡大させます。

■ インフレは政府債務を圧縮する ■


先の石油ショックは世界的なインフレを巻き起こしました。成長力の高かった日本では、「狂乱物価」などと呼ばれる高インフレとなりましたが、アメリカやヨーロッパではインフレと不景気が同時に進行するスタグフレーションが発生しています。

この時、アメリカでは物価抑制の為に金利を高く誘導し、一方で政府の支出が増大しました。カーター政権までこの傾向が続きますが、米経済が弱体化したので、その反動でレーガン政権がレーガノミクスを実行します。

レーガンは一期目の初めこそ「強いドル」政策を実行して金利を高く留めましたが、その後、「ドル安」政策に転換します。これは米国債の対外債務の圧縮に役立ちます。さらには、国内のインフレが政府債務の圧縮に貢献します。金利を低めに誘導しているので、これは金融抑圧政策です。

今後、起こり得るであろう中東戦争によて、今回も原油価格は高騰します。結果、インフレによって政府債務は圧縮されるでしょう。これは国民の金融資産や預金の価値低減と裏表の関係に有ります。故に、「インフレ税」と呼ばれる政策です。

■ 財政的理由でアメリカは自衛隊の中東派兵を要求するだろう ■

仮に次なる金融危機の後に中東戦争が起きた場合、財政的理由から米国は日本の自衛隊の中東派兵を要求して来るでしょう。

その時に「我が国は憲法9条が有るので、海外での自衛隊の戦闘行為は認められていません」なんて言っては居られないので、安倍政権は憲法改正を急ぐ必要が有ります。

仮に憲法改正がされたとして自衛隊の海外での戦闘派遣に国会では野党が猛反発するハズです。しかし、現在の自公政権は「日本の経済の根幹を支える中東の石油を守る事が、我が国を守る事です」として、自衛隊の中東派兵を強行するでしょう。

■ 原発や再生可能エネルギーが息を吹き返す ■

現在の日本は原発が停止しているので、仮に原油価格が高騰したら電気料金は途端に何倍かに跳ね上がります。こえは家計にも製造業にも危機的状況です。

そこで、政府は緊急事態として「原発の再稼働」を強行するハズです。国民の多くもこれを支持する。自民党は原発の再稼働を先延ばしにしていますが、政治的なリスクを負わずとも原発は再稼働出来る事を知っているのかも知れません。

太陽光発電のバブルも再び息を吹き返すでしょう。原油価格が高騰すれば、既存の再生可能エネルギーのコストが逆転する可能性は高い。そして、次の再生可能エネルギーブームは、電気自動車の復旧とセットとなり、過剰電力を自動車ノバッテリーに蓄電する形で、新たな電力需給システムが構築されるものと私は妄想しています。

■ 新たな通貨システムが生み出される ■

中東戦争による原油高によってドルは暫くの間は基軸通貨の座を保ちますが、リーマンショックや次なる金融危機の原因が通貨の増刷である事に疑いは無いので、世界は新たな、より安定的な通貨を求める様になるでしょう。

これは、コモデティーや経済規模にリンクした電子通貨となると予測されます。しばらく世界は「過剰に発行される事の無い通貨」によって通貨システムを安定させた後、徐々に規制を緩める形で、次なる成長フェーズに入って行くのでしょう。これは金兌換システムのドル基軸体制が、ニクソンショックで金兌換を停止した歴史に似ています。



何れにしても、次の中東戦争が世界にとって「ショックドクトリン」となる事は容易に想像出来ます。当然、イランを巡って中露とアメリカは激しく対立するでしょから、中国の米国依存げ低減する形でデカップリングも実現します。(トランプの米中経済戦争はこの前哨戦)



本日も長々と妄想を垂れ流してしまいましたが・・・イギリスのEU離脱は要注意。


ジブリが到達出来なかった世界・・・映画 『若おかみは小学生!』

2018-11-10 05:42:00 | アニメ
 



映画『若おかみは小学生』PV


■ 昔の偉い人は言いました! ■

「世の中には二種類の人しか居ない!
 『若おかは小学生!』を観た人と、観ていない人だ。」



私、様々な映画を観て来ましたが、こんなに何度も観たくなる作品は初めてです。劇場で4回観ましたが、多分、後2、3回は足を運ぶと思います。

とにかく、観れば観る程に、その構成の素晴らしさに舌を巻くばかり。

90分という短い尺の中に様々なエピソードが凝縮されて詰まっていますが、「語らない」という省略の美学によって、観客の想像の余地が十分に残されたまま物語が進行し、最後に全てのエピソードが収まる所にストンと収まる。この気持ち良さと言ったら・・・・。


■ 「滅私」という古い思想が、現代人の心に響く ■

高坂監督はこの様に語っています。

この映画の要諦は「自分探し」という、自我が肥大化した挙句の迷妄期の話では無く、その先にある「滅私」或いは仏教の「人の形成は五蘊の関係性に依る」、マルクスの言う「上部構造は(人の意識)は下部構造(その時の社会)が創る」を如何に描くかにある。



『若おかみは小学生!』 劇場版ポスター

劇場版のポスターでオッコの前掛けは仏教の「5色」をイメージしたものでしょう。ポピュラーな配色は青・黄・赤・白・黒ですが、緑・黄・赤・白・樺色のバージョンも有ります。後ろの真月さんはロザリオを首から下げています。


■ キリスト教の福音にも似た幸福感を与える作品 ■


神学者の青木保憲氏は次の様な記事を載せています。

映画「若おかみは小学生!」 自分を信じて生きたいと願う全世代に向けたメッセージが込められた秀作


<引用>
94分という短い(上映)時間だが、私は花の湯温泉のお湯にどっぷりとつかったようだ。そこであらためて、自分の生涯は「福音」という至高のお湯につかり続けていたのだと気付かされた。至福のひと時であった。

本作は、教会でファミリー向けに鑑賞するのに適している。子どもから大人まで楽しめ、また考えさせられ、さらに福音のエッセンスに近い「恵み」をメッセージの本質として抱いている作品である。

まだ劇場で公開しているだろう。ぜひ「若おかみ」体験をしてもらいたい!




私からもお願いします。この作品は「観たほうが良い作品」のでは無く、「現代を生きる全ての人が観るべき作品」なのです。


私自身、4回も観てもなお、この感動がどこから沸き上がって来るのか分からずに居ます。様々な人が様々な分析を試みています。



■ 物語の生まれ出ようとする力に従った事で、「普遍性」を手に入れた ■


個人的には、高坂監督や客品の吉田玲子さん、そしてスタッフの皆さんが、「過剰な自己主張」を排して、物語の自然な流れに任せた結果がこの「傑作」を生みだしたのだと考えています。

物語は「当然こうあるべきだ」という本来の「姿」が有ります。神話などが分かり易いのですが、世界各地の神話には共通のパターンが観られます。同様に児童文学にもこの傾向が有るかと思います。シンプルに分かり易く伝えようとする過程で研磨され、ある種の「普遍性」を手に入れるのです。

そして、その「普遍性」こそが、多くの人が心のどこかで共有する「善性」なのだと、この映画に涙する多くの方の姿を見て気付きました。


■ ジブリの2大巨匠では到達し得なかった境地 ■

ジブリアニメは確かに多くの人達に支持されて来ましたが、「神話の獲得」という境地には達し得ませんでした。

それは、宮崎駿氏や高畑勲氏が、作品に自分の思いや思想を強く込めた為だと私は考えています。特に彼らは全共闘の時代を体現する存在でしたから、「個人主義や資本主義を否定」し、「科学技術崇拝」を否定し、「自分を捨ててコミュニティーに貢献する」という主張を物語にコッソリと潜ませています。


両監督の「人はコミニュテーの為に存在する」という思想は、高坂監督にとっては主張では無く、既に前提となっています。これはある種の「ジブリ教」です。この作品でも「花の湯温泉」は、強力なコミュニティーです。

一方で、高坂監督は反面教師としての両巨匠の姿も観ています。

作品のクオリティーにひたすら拘り続け、映画を観る観客を顧みる事を忘れた高畑勲。
自分のイメージの具現化を追い続け、物語のあるべき姿を無視した宮崎駿。
(『となりのトトロ』と『紅の豚』には主張が少ないので私はこの2作品が好きです)

この二人の姿を一番近くで見続けた高坂希太郎の取った選択は、「徹底的に物語と観客に寄りそう」事でした。無名の仏師が一心に、ただの木から、その中に眠る仏像の姿を彫り出す様に、『若おかみは小学生!』という児童文学の中にある普遍的な価値を、監督とスタッフは3年という歳月を掛けて彫り出していったのです。


■ 頼むから劇場で観て!! お願い!! ■

『若おかみは小学生!』の上映は、あまりの客入りの悪さで公開初週で、メインのTOHOシネマズ系列が打ち切りになりましたが、SNSの口コミによって、復活上映されるという異例の展開となりました。それでも、やはり、「子供向けのアニメ」というイメージによって、多くの方は劇場でこの傑作を観る事は有りません。

そろそろ上映館も少なくなりましたが、映画を良く知るミニシアター系の劇場が、地方でもこの作品を上映し始めました。多分、年内中はどこかでご覧になれると思います。後からDVDを観て「あーー、劇場に行けば良かった」と後悔なさらない様に、この週末、お時間があれば劇場へGO!!


・・・お願い・・・。


強いやつが勝つ・・・移民が国家の活力となる

2018-11-07 05:48:00 | 時事/金融危機
 

■ 「入国管理法の改正は移民政策では無い」と主張するネトウヨ ■

誰とは申しませんがネトウヨ諸氏が、又もや「入国管理法の改正は移民政策では無い」と主張を始めました。

ネトウヨ諸氏の本来の主張は「移民を受け入れると中国人や韓国人に日本を乗っ取られる」でしたあら、彼らは「移民」を絶対に認めません。安倍政権を彼らが熱烈に支援している理由も、安倍政権が中国や韓国に敵対的であった事が主要因です。

ところが、安倍首相は政権奪還の為と、日本会議などの集票機関の指示を取り付ける為に「日本至上主義」を利用していた可能性が高い。いえ、彼は実際にはネトウヨ諸氏と同じ思想、メンタルでしたが、政権運営に当たりアメリカや経団連の要求を排除出来ずに、結果的にアメリカに服従し、さらには中国ともよりを戻そうとしています。

国土強靭化 → 初期の大型補正予算の後は公共事業を減らしている
TPP反対 → 手の平返しで推進・さらにアメリカとの二国間協定を押し付けられる
反中国   → 経団連に押し切られて訪中。中国はパートナー
反北朝鮮  → ひそかに北朝鮮制裁を大幅に緩和
移民反対  → 入管法を改正して移民政策に舵を切る
日本の農業を守る → 種子法廃止・種苗法改正

安倍政権ほどネトウヨの期待を裏切って来た政権も珍しいのでは無いか。それなのにネトウヨ諸氏は裏切られる度に、自分を納得させる理由をネットにまき散らし、現実から目を背けて来ました。


「入管法の改正は移民政策では無い」と主張し始めたネトウヨ諸氏は、自分達がパンツを履かずに街中を歩き回るよりも恥ずかしい存在である事に気付いているのでしょうか?


■ 日本の労働力の不足は移民で補う他に手が無い ■

実社会で働いていれば簡単に理解出来ますが、若年労働力の不足によって、日本の職場では労働力が不足しています。

コンビニのレジも、スーパーのレジも、居酒屋の店員も、工場の工員も、工事現場の作業員も、多くの外国人労働者によって支えられています。

私は建築関係の仕事をしていますが、若いアジア系の外国人の職人さんが、60歳過ぎの老人の職人さん3人にテキパキと指示を出すなんて現場にも行き当たります。昔は、日本人の親方が若い外国人労働者に支持を出していたのですから、大きな変化です。

人手不足から事業継続が不可能になる会社も増えて来ました。取引先に廃業に理由に「人手不足により」という文言が書かれているケースが増えて来ました。


■ 「裏口移民」では足りなくなった外国人労働力 ■


日本は本来は高い技能を有する外国人労働者しか受け入れず、単純作業の外国人労働者は受け入れない事を前提としていました。

しかし、実際には所得の低い単純労働の職種から労働力不足が深刻化したので、「外国人研修制度」や「留学生」という「裏口移民」によって労働力の不足を補充していました。

しかし、これには国際的な批判が高まっています。国連の規定では「1年以上その国に住んで働いていれば移民」として扱われるので、日本既にドイツに次ぐ世界で5番目の移民大国となっているのです。

ところが、団塊の世代の引退で労働人口が減少に転じた日本では「裏口移民」だけでは労働力を確保する事が難しくなっています。特に、日本の若者が敬遠する低所得のサービス業や、工事現場や、工場や農林水産業、看護や介護の現場での人手不足が深刻化しています。

そこで入国管理法を改正して、単純労働の分野でも外国人労働者が正式に働ける様にする事が、今回の入国管理方改正の目的です。

■ 5年間日本で働いても家族も呼べない ■

今回の入国管理法改正のキーポイントは、先にも書いた様に、本来認めて来なかった「単純労働」への就労を可能とした点です。

政府は単純労働である事を誤魔化す為に「特定技能1号」と呼称しています。

「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に就労可能な「特定技能1号」を与える。最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば資格を得られる。在留期間は通算5年で、家族の帯同は認めない。

介護
ビルクリーニング
素形材産業
産業機械製造
電気・電子関連企業
建築
造船・船用工業
自動車整備
航空
宿泊
農業
業業
飲食料品製造
外食


とまあ、看護を除く人手不足産業のほぼ全てに、外国人労働者の就労を認める内容ですが、5年の「技能実習」の後、日本語や技術で一定の水準に達っして「特殊技能2号」を取得すれば家族を呼び寄せる事が出来、10年間日本dr働き続ければ永住権の取得も可能です。

「外国人研修制度」や「外国人留学生制度」といったグレーな制度よりもクリアーで好ましいと思いますが、「外国人労働力を金で買う」という姿勢は変わっていません。


■ 将来的にはさらに緩和されて「移民」を認めるだろう ■

はてさて、外国人が10年間日本で働いて、日本語も堪能になり、さらには職場でも責任ある仕事任される様ななったら、企業はその人材を手放すでしょうか。答えはNOです。

きっと企業から、就労期間のさらなる延期を望む声が出るでしょうし、家族を故郷に残した外国人労働者が帰国を望む事を防ぐ為に、5年未満でも家族を呼寄せる事が出来るようにしてくれとの要求が出るかもしれませんが。

官僚や政治家が良く使う手ですが「小さく生んで、大きく育てる」方法が、今回の入国管理法改正にも隠されているでしょう。

■ 移民と仕事を奪い合う高度な技能を持たない労働者と、AIと優秀な外国人と仕事を奪い合うホワイトカラー ■

ネトウヨの移民受入れ反対の理由は「中国人や朝鮮人はケシカラン」ですから完全に無視をするとして、一般の労働者にとっては移民は大きな問題となります。

移民は安い労働力ですから、単純労働の仕事では日本人の賃金は低下します。高い日本人を雇用しなくとも、良く働く外国人労働者の方が企業として得だからです。これは「労働市場のフラット化」として世界全体で進行しています。

ヨーロッパやアメリカで台頭している「移民排斥運動」の主な理由が、「仕事の奪い合い」である事は皆さんもご存じでしょう。

一方、高度な技能を有しているから外国人労働者との競争に晒されないと疑わないホワイトカラーの仕事ですが、グローバル競争とAIとの競争に立たされるハズ。今後、企業は国籍を問わず優秀な人材を求めますから、ここでも英語が堪能で能力の高い外国人労働者が流入してきます。さらには将来的にはホワイトカラーの多くの仕事がAIぶ奪われます。

■ 世界的な労働市場の単一化と、安い労働力を生み出す為の戦争や経済破壊 ■

資本主義の社会では、国民の幸せよりも、企業の生き残りが優先されます。企業が生き残ればければ国民の雇用も生まれず、人々の生活が成り立たないからです。これの「良い、悪い」を論議しても始まりません。

要は、世界的に「安い労働力」は引く手あまたで、それが自国の国民でも、外国人労働者でも良いのです。創造業などは、国境を軽々と超える事が出来るので、安い労働職を求めて製造工場を海外に移転します。一方で海外に移転出来ない分野は、移民という安い外国人労働者を国内に求めます。

これは世界的傾向ですから止める事が出来ませんが、一方で移民に仕事を奪われる国民の反対も強い。そこで、世界の経営者達は途上国で計画的に戦争を起こし、或いは途上国経済を計画的に破壊して「難民」という安い労働力を先進国に輸入しています。「難民受け入れは国家と国民の義務」という倫理を形成して、移民受け入れを正当化して来ました。

ヨーロッパでも、アメリカでも「難民」という「裏口移民」のシステムの弊害が噴出して、「移民排斥」や「一国至上主義」が台頭しています。

東西ヨーロッパの統合も、東側諸国の安い労働力を西側が使う事でメリットが有りました。


■ 国民国家という枠組みは、既に前時代の遺物 ■


グローバル化の反発は反動が有るにしても、人類や社会が進化する過程で、グローバル化は避けては通れません。

当然、労働市場のグローバル化は益々進み、企業は安くて優秀な人材を世界から求め続けます。結果的に高度な職能を要求する仕事でも、単純労働の仕事でも外国人労働者の数は増え続け、各国の人種は多様化して行くでしょう。こおなると「近代国民国家」というシステム自体が時代遅れになります。

次に訪れる時代は、国家の支配層が、国という枠組みとシステムを利用して、様々な人種を使役して利益を挙げる時代となります。

これ、ローマが占領地域の人々を奴隷として使役して繁栄を築いた時代に似ています。優秀な人材には奴隷でも市民の権利が与えられました。

多分、次なる時代は優秀な労働者の奪い合いの時代ですから、10年間家族も呼べず、10年後には帰国を余儀なくされる「日本独自の都合の良い制度」は維持不可能になるでしょう。

結局、アメリカの様に、能力さえあれば移民でも地位と名誉が得られる国が生き残る。「強いやつが勝つ」のが世界のルールなのだから。



「移民反対」と主張するネトウヨも、労働組合も、淘汰される側に立っているのです。




<追記>

私は「移民」は日本を支える為には必要だと考えていますが、一方で移民を社会福祉や医療制度の外側に置いておくリスクには注意を払っうべきだと思います。

賦課制度の年金システムと同様に、移民を正式に福祉や医療制度に取り込まなければならなくなった時に、制度の歪が大きくなり過ぎるからです。

私の周辺には外国人の方も結構いらっしゃいますが、皆さん日本が本当に好きで、日本に永住し、日本に骨を埋める覚悟も出来ています。日本の文化にも詳しい。・・・はたして彼らは外国人なのでしょうか・・・・。私には今時のマナーも知らない若者の方が余程エイリアンに見えます。

例え中国人であろうと、韓国人であろうと、自国よりも日本が好きという方は沢山いらっしゃいますし、既にその様な方が日本には沢山住まわれています。彼らは好んで日本を中国や韓国の様にはしたく無い。

多少の文化の違いはあれど、日本が好きで日本に住みたくて、日本の文化や社会システムを支えてくれるのであれば、私は外国人を排斥すべきでは無いと考えます。

「日本固有の民族性が損なわれる」とネトウヨの方々は主張するでしょうが、日本人なんて大陸から渡って来た人がほとんどなのですから・・・今さら。

ただ、「日本が好き」という点は重要です。アメリカに入国する移民がアメリカ国家に忠誠を誓い「自由・正義・民主主義」を守る事を誓うのならば、日本の移住する外国人は「日本の自然や文化や伝統」に忠誠を誓っていただけると嬉しい。

こっそりムクゲの種を植えたり、桜の枝を折ってるオマエラは出てけ!!


私は移民の入国の際に、こう質問する事を提案します。

「あなたの好きな日本のアニメのタイトルを3つ答えなさい」・・・と。

「どらエモン」「ちびまるこちゃん」「クレヨンしんちゃん」・・・・「合格」
「ガンダム」「エヴァンゲリオン」「イデオン」・・・・・・「合格!!」
「けいおん」「のんのんびより」「うまるちゃん」・・・・・「合格!!」


世代間格差は相続で解消される?・・・同世代での格差拡大

2018-11-06 02:24:00 | 時事/金融危機
 

■ 「世代間格差は相続で解消される」のか? ■

最近の年金シリーズのコメント欄で頂いた「世代間格差は相続で解消される」というご意見。これ、最近、池田信夫氏らもチラホラとしている話題ですね。旬です。

現在、日本で相続税が課税される最低資産額は「3000万円+(600万円x相続人数)」ですが、それを越えて相続税が発生しているケースは1割未満。ほとんどが相続税の発生しない相続です。

では、高齢者の年代別資産がどの程度あるかを見てみましょう。

下のグラフは内閣府 高齢化の状況(その2)よりお借りしました。



世代別貯蓄額のグラフですが、70歳以上の高齢者の平均貯蓄額が2400万円程である事がわかります。この方かに家や土地や有価証券などの資産を有している人も少なく無いので、これだけ見ると「高齢者が年金を貯蓄して蓄財し、その資産が子供(といっても平均相続年齢は65歳)に所得移転される」と意見は正しい様に見えます。




シニアガイド 「0歳代単身世帯の貯蓄額は1,600万円、二人以上世帯なら2,100万円!?」より

ところが、平均相続年齢である65歳以上の高齢者の貯蓄額の詳細を見てみると、貯蓄額が500万円以下の世帯の割合が結構多い事が分かります。(5割に近い?)

この様な世帯の方は、年金はほぼ消費に消えてしまうので、亡くなって相続が発生しても、子供が相続する貯蓄額は少額になるでしょう。

「いやいや、土地や建物といった不動産が有るだろう」と指摘される方も多いかと思います。70歳以上の方の持ち家率は80%程度になるので、確かにその通りですが、地方の家を相続しても、上物の家屋を解体した後に土地を売って黒字になるかどうかは微妙です。


■ 5割近い人が相続額は1000万円以下では無いか? ■

かなりいい加減な話になりますが、5割に近い人達の相続額は1000万円を下回っているのでは無いでしょうか?

さらに、兄弟が二人以上居た場合は遺産分割するか、或いは親の面倒をみた長男が相続して、兄弟は相続放棄する例も多いかと思います。

尤も、現在は少子化で相続権を有する兄弟の人数は2人以下も多いかと思いますので、相続はほぼ1対1になっているかも知れません。

■ 本当の問題は、相続資産の額によって格差が拡大する事 ■

実はコメント欄でもご指摘頂いておりますが、「世代間格差」の本当の問題は、「同世代間での格差拡大」を、さらに拡大する点に有ります。

少子高齢化によって国民負担は確実に増えますが、一方で法人税は減税され、累進課税も緩和される方向に有ります。要は、金持ちは負担が減り、一般国民の負担が増えているのです。

これは政治に影響力を持つ人達が「持つ者=富裕者」である事で起きる「民主主義の歪」が原因ですが、これによって貧富の差は同世代間で拡大して行きます。

低所得者の子供は充分な教育を受ける事が出来ないので、やはり低所得者になる傾向が強く、貧富の格差が固定化される傾向はどの国でも見られます。ただ、極端な少子高齢化社会になる日本では、今後、低所得者の負担率が現在よりも相当高くなると予想されます。

当然、彼らは「相続」というリセットの機会も得られないケースが多い。

■ 消費税の増税と、戻し税をセットで実行しないといけない時期に来ている ■


日本の年金制度は消費税増税とセットで無ければい維持が出来ませんが、税の逆進性の強い消費税は、低額所得者や、裕福で無い高齢者の生活を困窮させます。

生活保護を良しとしない方々は多いハズですし、生活保護は労働所得や資産の保有に大きな制約が掛かりますから、生活保護にはなりたく無いが、補助金なら欲しい人々は沢山居るでしょう。

そこで有効な方法が「戻し税」で、一定金額を低額所得者に一律に配布するという方法です。これを拡大したものがベーシックインカムですが、ベーシックインカムの主な目的は公平性では無く行政の簡素化なので、ここでは分けて考えます。

何故「税額控除」では無く「戻し税」かと言えば、低額所得者の中には最低課税金額に満たない方も多く、或いは所得税や住民税の納付金額が極々少額で、それを戻したととて、大して生活が改善する訳では無いからです。

そこで所得に応じて何段階かで「消費税の戻し税」を行う事で、消費税の逆進性が緩和出来ます。

■ 「軽減税率」よりも「戻し税」の方が簡単 ■


消費税の逆進性を緩和する政策として「軽減税率」が検討されていますが、これは小売店の対応も複雑になりますし、高級食材とスーパーの食材が同じ軽減税率の対象になるのも「変」。

それならば、将来的なベーシックインカムの導入の実験として、「戻し税」のシステムを確立した方が有効です。但し、確実な所得捕捉とは切り離せませんので、マイナンバーによる所得捕捉導入と引き換えとなるでしょう。

個人事業主を中心に、所得捕捉に敏感な方が多いので、ここでも「民主主義に歪」による抵抗が発生します。

結局、「お金の匿名性」を解消する「電子マネー」普及して現金が消えるまで、「戻し税」も「ベーシックインカム」も公平に実行する事は難しいのかも知れません。



何れにしても、日本の人口動態から、増税は避けて通る事が出来ません。「いやいや防衛費を削減すべきだろう」というご意見は尤もですが、その為にはアメリカと戦争でもして独立を勝ち取る必要が有ります。・・・これは多分無理でしょう。そもそも国民が占領状態に無自覚なのですから。


年金を「積立式」にするとどうなるのか・・

2018-11-01 08:03:00 | 時事/金融危機
 

■ 日本の年金は現役世代が年金受給者を支える「賦課方式」 ■

日本の年金は現役世代が現在支払っている年金が、現在年金を受給している人に支払われる「賦課方式」です。

「賦課方式」は現役世代の人口が、年金受給者の人口に比べて十分に多い場合に、年金の支払い負担が少なく、先進各国でも年金制度がスタートした当時は「賦課方式」を採用していました。しかし、人口動態が変化して、年金受給者の割合が増える過程で、先進各国は年金制度を「積立式」に移行してゆきます。





上のグラフは65歳以上の高齢者と、15~65歳までの労働人口の比率を示すものですが、日本では現在2.2人で一人の高齢者を支える状況となっており、将来的にはさらに酷い状況になる事が分かります。

■ 実際の公的年金受給者と年金加入者の割合 ■

上のグラフは単に(65歳以上人口)/(15~65歳の人口=労働人口)という数字ですが、労働人口の中には学生や家庭の主婦や、アルバイトなど非正規雇用で年金を支払っていない人が大勢含まれています。

そこで、実際の公的年金受給者と、公的年金加入者の数を比べてみます。資料は2016年度のデータです。



公的年金受給者  4,010 万人
公的年金加入者  6,731 万人


単純に公的年金の加入者を受給者で割ると、1.678となります。2018年において、役1.7人の年金負担者が一人の老人を支えている事になります。


但し、国民年金の加入者1575万人の内、国民年金を支払っていない人が3割程度います。学生や支払い免除を受けている人達です。だいたい472万人が国民年金の支払いを免除されているとして・・・


公的年金受給者  4,010 万人
公的年金加入者  6,259 万人



2018年時点で約1.56人の年金負担者が一人の老人を支えている現在の日本の状況が見えて来ます。これは年々悪化します。

■ 日本の国民負担率 ■

少子高齢化の進行によって現役世代の負担は確実に増加します。租税と年金と医療費を合わせた額の所得に占める割合を「国民負担率」と呼びますが、「賦課方式」の年金は税と同じと考える事が出来ますし、健康保険も「健康保険税」と正式に呼ばれるので実は税金と変わりません。日本における「国民負担率=税率」と考える事が出来ます。

日本の国民負担率の推移を示します

昭和45年  24.3%
昭和50年  25.7
昭和60年  33.9
平成元年  37.9
平成 5年  36.3
平成10年  36.3
平成15年  34.4
平成20年  39.3
平成25年  39.9
平成30年  42.5

平成31年には消費税増税を控えているので、国民負担率はさらに増加します。

日本は赤字国債で税収の不足分を補っていますから、これを税金に上乗せした「潜在的国民負担率」は平成30年現在で48.7%となります。

国民負担率だけを見ると、「負担の少ない現在の高齢者が、負担の多い今の労働者に支えられる構図」が明確になります。これを一般的には「世代間格差」と呼びます。

厚生労働省が国民負担率の国別比較を発表しています。



福祉大国と呼ばれるスエーデンでは潜在的国民負担率は56.9%に達します。スエーデンは福祉を税金で支えているので、日本の「賦課制度」を税金と考えるならば、日本とスエーデンは近い負担構造になります。スエーデンの様に国民が一生安心して生活する為には、現在の日本の国民負担率では全然足りない事が分かります。



上のグラフは2010年のスエーデンと日本の人口動態です。スエーデンは日本に比べ若年人口多い事が分かります。スエーデンは育児休業性度の充実など国家を挙げて少子化対策に取り組んで来ましたが、実はスエーデンの若年人口の増加の本当の原因はアラブ系の移民を増やした事にあります。(ここら辺はメディアはあまり取り上げません)

但し、スエーデンのアラブ系移民は失業率も高く、人口動態こそ改善しますが、社会福祉と医療の重荷となっているので、むしろ国民負担率を増やす元凶ともなっています。

何れにしても、少子高齢化が著しい日本では、借りにスエーデン並みの国民負担率をなったとしても、少子高齢化の歪が大きい日本では、国民が一生安心できる社会福祉制度を構築する事が不可能な事が分かります。

■ 既に日本は年金を「積立制度」には出来ない ■


この様に「世代間格差」が拡大し、「国民負担率」が上昇すると、現役労働者の間に「自分の年金は自分で受け取りたい」という要求が高まります。要は「積立式年金制度」への制度変更です。

しかし、現在の「賦課性」の年金制度を「積立式」にする為には、現在の高齢者と、これから高齢者になる世代の年金財源を確保する必要が生じます。

現在の公的年金受給者を4000万人だとして、基礎年金部分の全額を税金で賄うとすると30.8兆円の財源が必用です。現在でも基礎年金の半額は税金で負担されていますから、残りの15兆円の財源が必用となります。

消費税の税収が17兆円程度ですから、現在の年金受給者に最低限の年間77万円を支給する為には消費税を今の2倍にしても足りません。消費税率は20%程度になるでしょう。

さらに、厚生年金加入者は、自分達が収めた年金は受け取る権利が有ります。厚生年金と国民年金の支給額の差が平均約9万円ですから、3500万人の厚生年金受給者に現状と同等に支給額確保する為には財源が37.8兆円必要となります。(但し、現在の厚生年金の積み立て金は、「積立式」以降の為に手を付けないとした場合)。これを消費税で負担するとなると、消費税率が18%上乗せされ、消費税が40%近くなります。

所得税は医療保険との合算の国民負担率は軽々と60%を超えるハズで、現在の年金支給水準を維持したままで、日本の年金制度を「積立式」にする事は不可能である事は簡単に分かると思います。

「ベーシンクインカムを導入すれば良い」というのは全く次元の低い発想で、ベーシンクインカムを実現する為には、同規模の財源を必要とします。

何れにしても、国民負担の増加は、消費を低迷させますから、GDPにおける内需の割合の高い日本では、「積立式」への年金制度の移行は不可能だと言えます。

■ 相続税100%という公平性の確保 ■


ここまで読まれて日本の年金制度を「積立式」に移行する事は不可能とご理解頂いたと思いますが、実は一つだけ方法が無くは有りません。

それは、相続税率を100%にする方法です。

現在、国民の金融資産は1800兆円程度有ります。多くが高齢者の預金や金融資産で、これが日本の国債を支えています。相続税率を100%(但し、配偶者への相続に課税をしない)にすれば巨大な財源が確保できます。

これを国家が年金や社会福祉の財源として公平に分配すれば、税率をある程度抑えたままで、年金制度を「積立式」に変更する事が可能となるでしょう。但し、積立式年金が残っている状況で死亡した場合は、残額は税金として国家が徴収します。

現在の日本の平均相続年齢は65歳程度ですから、この相続を個人から国家に変更する事で、かなり公平性の高い再分配が可能になります。


・・・・しかし、日本は社会主義国家では無いので、これを認める国民は「貧乏人」だけです。政治は「持てる者」が支配しているので、革命でも起こらなき限り相続税100%などは実現しません。


■ 合法的に国民資産を国家が接収出来る「インフレ税」 ■


民主的な国家においては、財政破綻の様な非常事態でも起こらない限り、国民の資産を国家が強制的に接収する事は出来ません。

しかし、これを合法的に行う方法が一つ有ります。それがインフレ税です。先進国の多くは、第二次世界大戦で積み上がった財政赤字を、インフレと金利制限によって解消しました。これを「金融抑圧」と呼びます。

アメリカやイギリスなどでは、10年~15年を掛けて徐々にインフレが進行しましたが、戦後日本では急激なインフレ率の上昇でこれを達成します。日本にいおては預金封鎖と富裕税によって、国家が強制的に国民資産を接収しました。

ただ、インフレ税で改善するのは国家財政だけで、これによって人口動態の歪から生じる問題を解決する事は出来ません。ただ、富裕者の資産を平等に分配する助にはなるかも知れませんが・・・。


■ 財政破綻でも起こらない限り、日本では公平性が大きく損なわれる ■

この様に、少子高齢化の対策をほとんどして来なかった日本では、年金受給年齢の引き上げという形でしか、年金制度を維持する事が出来ません。これは事実上に年金制度の崩壊であり、年金に生活を頼る人達の生活が破壊されます。


この様な状況で国家がまともに機能するハズが有りませんから、生活に窮した多くの高齢者と、生活に窮した多くの若年労働者が、いずれ選挙で、彼らの権利を行使する時が来るでしょう。


■ AIと自動化の時代はユートピアかデストピアか ■

さらに今後10年、20年でAI化と自動化が進行します。事務作業などから労働者は必要無くなり、AI化や自動化でコストに見合わない生産性の低い仕事に人々は追い込まれて行きます。企業の生産性は高まりますが、人々は貧しくなる時代が来るかも知れません。

ならば法人税を上げれば良いとの意見が出るでしょうが、AIやロボットは国を選びませんから、企業は治安とインフラが整備された法人税の安い国に出て行ってしまいます。全世界的に企業に課税するシステムを構築しない限り、AI化と自動化の時代は、我々労働者にとってユートピアとなる様には思えません。

唯一の方法は、全企業を国営化する方法で、これは社会主義と同義となります。AIも自動機械も「楽をしたい」とか「サボりたい」と考えませんから、この方法において唯一、人間は働かないで暮らせるユートピアを手に入れる事が出来るかも知れません。


年金崩壊のデストピアに怯えるのか、労働から解放されたユートピアを夢見るのか・・・年金受給開始年齢75歳を前提に人生を設計するのか・・・・。まあ、現実的には3番目の選択しか無いのでしょう。残りに二つは「運」となります。