人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

スマートで無いけどシタタカな中国

2015-04-22 07:01:00 | 時事/金融危機


■ 中国料理? ■

世界の経営者達が中国をどう料理するかは意見の分かれる所でしょう。表面的には中国を持ち上げる勢力と、中国を敵視する勢力に二分されている様に感じます。

日刊紙で言えば「ゲンダイ」と「フジ」の記事が対象的で、日本の中でもアジア派とアメリカ派が対立している様に見えています。

しかし、リーマンショックの後、中国は米国債のみならずMBSも買い支え世界経済の回復に大きく貢献しています。この様に表面的には対立している様に見える米中ですが、実は阿吽の呼吸で行動している様にも見えます。これはウクライナで対立する米ソにも感じるある種の連帯感です。

多分に陰謀論的ではありますが、表面的な緊張関係がフィクションだとすれば、その裏には何が有るのか・・・・。ここらへんが大変気になる所です。

ミャンマーが大変良い例なのですが、アメリカはミャンマーの軍政を非難して封じ込めていましたが、自分たちの利益の為には180度手の平返ししています。これは緊張緩和では無く、「緊張関係こそがフィクション」であった良い例では無いかと私は考えています。

■ 世界の縮図が中国の中に存在する ■

中国に関しては、無理な経済政策の歪や、共産党幹部の腐敗など問題点は多々あるのですが、一国の中に先進国と途上国を持つことなど、一つの国と言うよりは一つの経済圏として十分に機能します。

これはアメリカも似た様な構造を目指しており、不正入国の移民を労働市場に取り込んで、アメリカ国内に途上国を作り上げようとしています。

これは資本家本位の考え方による理想的な社会構造なのかも知れません。日本の非正規雇用も似た様な状況を作り出しています。

■ 人治主義が支配する国 ■

中国は政治体制こそ共産主義の一党独裁ですが、ビジネスに関してはかなりやり手です。アジア各国の経済を牛耳るのは華僑です。シンガポールなども華僑が支配する国です。彼らはスマートで合理的な経営判断をします。ただ、異質なのはファミリーを重視する事でしょう
か。ただ、それも裏切りのリスクを低減させる彼ら独自のやり方だとも言えます。

中国に「法治主義」という西洋の文化は馴染まず、古来「人治主義」が巨大な国家を支配してきました。西洋の思想に洗脳された日本人から見れば「とんでも無い国」と思えますが、彼らのやり方ではそれが何千年もスタンダードです。

西洋が東洋を凌駕したのはここ400年の間だけで、それ以前は中国は世界の最も発展していた地域でした。東西の逆転が直ぐに起こるとは思いませんが、100年、1000年単位で思考する人達ですから、「刹那的」な日本人には想像もつかない行動も彼らなりのロジックは成り立っているのかも知れません。

■ いろいろと、とっ散らかっていてもパワーが有る ■

先日もアメリカ人と飲んでいたら、「中国人は列に並ばないしウルサイし・・」とケチョンケチョンに言っていましたが、それでも全体として社会が維持されているのが中国の不思議な所だと思っています。

私が中国を好きな訳ではありませんが、日本の中に「中国崩壊待望論」的な空気が蔓延しているので、少し危機感を抱いています。戦前、「三国民」と蔑視していたのと似た様な空気を感じます。

既に中国は世界第二位の経済大国の座を揺るぎなき物とし、元の為替操作が無ければGDPはアメリカを凌ぐかも知れません。(そもそもアメリカのGDPって紙のお札を刷りまくって築いたもので、内需の塊みたいなものじゃないですか・・・)

■ シタタカな中国 ■

AIIBには確かに胡散臭さが漂いますが、それこそが中国人のシタタカさの表れであり、日本人に欠ける物だと私は感じています。

スマートでは無いがシタタカな国・・・それが中国では?

仮に世界経済が崩壊に危機にさらされたならば、中国はそのシタタカさにおいていち早く回復の糸口を掴む・・・そんな妄想に朝から浸ってしまいました。

勝者の居ない世界・・・皆ダメなら仕方無い

2015-04-21 03:12:00 | 時事/金融危機
 

■ アメリカの勝利の方程式? ■

私は次なる金融危機の震源地は、やはりアメリカだと妄想しています。金融緩和バブルでどうにか体裁を保っていますが、そのバブルが継続しているのは実態経済が回復していないから。

仮にアメリカが利上げに成功したならば、金利体系が正常化して当然予想インフレ率も上昇します。金利が正常化する事で「借金をするメリット」が借りて側にも、貸して側にも戻って来ます。

借りては「金利がさらに上昇する前に借りておこう」となり、貸して側は「金利が正常に取れるならばリスクを取ろう」と考えるのです。これで住宅市場に活気が戻れば、アメリカの内需は拡大し始めます。アメリカの内需に占める住宅市場は関連産業も含めると小さくはありません。さらに、インフレ率が正常化する事で購入した住宅価格が値上がりすれば、新たな担保が生まれるので、消費好きのアメリカ人は新たな借金をして消費を拡大します。

これがFRBと米国政府が思い描く「勝利の方程式」でしょう。

■ 金利の正常化に脆い、金利が下がり過ぎた債権市場 ■

しかし、私はアメリカの実態経済が回復する前に「バブル崩壊」が起こると妄想しています。IMFも警告を出している様に、次なるバブル崩壊は「ジャンク債市場」で発生し、それが債権市場とそのデリバティブ市場に伝搬するして行きます。

FRBは量的緩和によって「超低金利の資金」をばら撒いてきました。その為、債権市場にも大量の資金が流入し、結果的には債権価格を押し上げ金利を低下させました。少しでも金利が確保できる債権として「ジャンク債」が注目を集め、ジャンク債の金利が5%を切るような状態が続いていました。

アメリカの企業のジャンク債は、日本の投資家にとっても金利が魅力的に映ります。『ハイ・イールド債ファンド』などの呼び名で大量に販売されています。『イールド』とは『金利』の事で、直訳すれば『高金利債』となります。しかし、その実態は『ジャンク債=ゴミ』なので、『ゴミ箱ファンド』と呼んだ方が相応しい金融商品です。

『ジャンク債』とはデフォルトリスクの低くない債権の総称ですが、業績的に金融機関から資金調達すると高い金利を支払わざるを得ない企業が、金利の低下によって安い金利で『社債』を発行しています。本来10%以上の金利を支払わざるを得ない企業が5%以下の金利で資金調達しているのです。

■ アップルなどの高収益を支える『自社株買い』と『社債市場』 ■

ジャンク債の金利が低下した最大の理由は、普通の企業の発行する社債の金利が下がり過ぎた事が原因です。アップルなどの社債の金利は極限まで低下しています。30年固定金利が3.8%で発行されています。米国債並みの金利で企業が資金調達出来ているのです。

アメリカの優良企業の業績はリーマンショックで低下しますが、その後、市場最高益を出す企業が増えています。これをして「米国景気は回復している」とされていましたが大間違いです。

リストラによる人件費の削減もさることながら、社債の金利低下によって資金調達コストが極端に低下した事が業績向上に大きく貢献しています。

1) 安い金利の社債を発行して、高い金利の負債を返済し有利子負債を圧縮
2)安い金利の社債で資金調達して、リーマンショックで下落した自社株を買う
3)株式発行による配当コストを、自社株買いによって圧縮
4)株価アップによって株式発行の利益も拡大
4)自社株買いによって株価を吊り上げ財務状況をお化粧する

この様に『社債市場で安く資金調達して自社株買いをしする』というソリューションは簡単に『自社株買い』と呼ばれ、アメリカの優良企業の経営のトレンドとなっています。

■ 金利の正常化で損をする社債保有者たち ■

「国債も社債も償還期限まで保有すれば損はしないじゃないか」と思われるかもしれませんが、これはあくまでも「満期保有」を前提とした投資家に限った話です。

実際には国債も社債も活発に売買されて、金利差で利益を稼ぐ運用がされています。債権ファンドのマネージャ達は、運用利回り確保する事が使命なので、金利上昇局面において金利の安い債権を手放そうと必死になります。その為、債権市場で金利の安い債権が売られ債権価格が下落します。(金利は上昇)

先述のアップルが4月に起債した170億ドルのの30年固定金利(3.85%)の保有者達は、価格が下落した為(金利は4.1%に上昇)1億2820万ドルの時価総額が失われています。要はアップルの社債を低金利で購入した投資家は含み損を抱えた事になるのです。

『金融緩和バブル』の問題点は、ジャブジャブに供給される資金が市場に流れ込む事で、金利が必要以上に低下し、金利上昇局面において損失が発生する点に集約されます。

優良企業のアップルであれば、満期保有で元本と金利を手にする事は可能かも知れませんが、企業の歴史を考えた時、30年後に存続している企業は一握りしかありません。その事まで考慮すればアップルの30年債の3.8%という金利は異常に低すぎるのです。

これは、ソフトバンクが個人向けに販売した社債についても同じ事が言えます。ソフトバンクの財務状態や今後の国内での需要増加、アメリカのプリンストネクステルへの無謀な投資などを考慮すれば、ソフトバンクの社債の金利は低すぎます。しかし、低金利で金利機会が減少すると個人投資家達はこのような債権を『得をした』と錯覚して買ってしまうのです。

リーマンショック以降の緩和バブルによって、債権市場は国債も含め『金利上昇リスク』に対して非常に脆弱になっています。

■ リスクは既に世界中にばら撒かれている ■

そして今、最も破綻が心配されているのが、サブプライム層の自動車ローンと、アメリカの学生ローン、シェール関係を主体とするエネルギー企業の社債(ジャンク債)です。これらのローンはリーマンショックの発端となったMBS(住宅担保証券)の様に、細切れにされ、リスクが見えにくくされて様々な金融商品に加工され全世界にばら撒かれています。これらの債権や金融商品はは金利上昇局面で確実に破綻します。

■ ダムは一番弱い所から亀裂が生じやがて決壊する ■

上記の債権の総額は、債権市場全体に比べれば決して大きくはありません。アナリスト達はここの債権の破綻リスクを計算して、「この程度なら市場に大きな影響を与えない」と言っています。

しかし、破綻は自動車ローンや学生ローン、あるいはジャンク債市場で単独で発生するのでは無く、リスクの高い債権が同時多発的に破綻します。こうなると市場の常で「次は何処だ!?」と疑心暗鬼に囚われ、流動性が一気に枯渇して市場は機能停止に陥ります。

健全な社債市場も影響を免れ得ず、優良企業であっても現在の様な安い金利で資金調達する事は不可能になります。

従来はリスクオフの局面で債権が買われ、リスクオンの局面で株式などのリスク資産が買われてきました。しかし、債権市場が崩壊すると資金は逃げ場を失います。特にアメリカの株式市場における自社株買いの影響は低く無いので、社債市場で資金調達が困難になると、自社株買いも停止します。

この事を良く知っている投資家達は、社債市場で金利上昇が本格化すると見れば、米株市場も暴落すると予測します。

こうして、サブプライムの自動車ローンや、貧乏学生の学資ローン、自転車操業のシェール企業の社債といった、最も脆弱な所で起きた亀裂は、やがて債権市場から株式市場にまで伝搬する事になります。

■ 住宅市場でバブルが起きる前にバブルが破綻する事こそがブラックスワンの正体 ■

市場関係者は、そろそろ次のブラックスワンが現れる頃だと薄々気づいています。ただ、前回のサブプライムローンの破綻の様に、ある程度の規模の市場が破綻すると予測して次なる危機に備えてるはずです。

ただ、米実態経済の回復は弱く、住宅市場も消費者ローンも、バブルと呼ばれる様な加熱感は有りません。ですから、ブラックスワンは当分現れないと考える市場関係者は少なく無いはずです。

しかし、問題は「金利上昇」によって池の推移が等しく下がって行く事にあります。実は水面下ではあっちも、こっちもリスクが身をひそめていますが、水位が低下する事で、それらが一斉に姿を現すのです。

これが次なるブラックスワンの正体では無いかと私は妄想します。

■ 世界全体がリスクの塊になっている ■

次回の危機の特徴的なのは「世界全体で崩壊が起こる」事でしょう。

金融緩和バブルは新興国の大量の資金流入を発生させています。米利上げの予測だけで新興国市場は既に資金還流によって脆弱化しています。

中国は、リーマンショック後に世界経済を支える為、国内に大量の資金を供給し続けてきました。これらの資金は理財商品(シャドーバンキング)という投資によって、既に巨大な損失を抱えていて、いつ破綻してもおかしくない状態です。さらに、過剰な不動産投資によtって不動産市場も崩壊寸前となっています。

ヨーロッパのリスクはやはり南欧債でしょう。そしてそれらを大量に保有する銀行セクターがリスクの中心になるはずです。そもそも、リーマンショックで破綻したデリバティブ商品の6割をヨーロッパが保有していたと言われています。現在は市場が安定しているので、そのリスクは見えにくくなっていますが、再びリスクが顕在化した場合、ヨーロッパの銀行はどこも疑心暗鬼に陥り、流動性が一気に枯渇するはずです。これはリーマンショック直後と全く同じ現象が起きるわけです。

■ 債権市場のリスクが国債市場の伝搬したら日本はヤバイ ■

日本のリスクはやはり日本国債でしょう。

日本国債は長期的には既に破綻していますが、日銀が日本国債市場をジャックする事で金利上昇を抑え込んでいます。現在の日本国債市場が維持されているのは、日銀という大きな買い手を相手に金融機関が利益を出す構造が継続しているからに過ぎません。

例えば次なる金融ショックが発生し、それが欧州を始めとする国債市場に飛び火した時に、日本国債を保有する日本の金融機関がどういう行動に出るかは未知数です。誰も売らなければ問題は有りませんが、日本国債の金利がジリジリと上昇し始めた場合、国債の運用を任された人達は、刻々と増大する含み損にいつまで耐えられるでしょうか・・・。

もっとも、この時点では既に日本株市場は暴落を演じているはずで、株式や外債、外国株のい運用を手じまいした資金が日本国債に逃避するという筋書きはゼロでは有りません。ただ、いままでは安全な逃避先と思われていた日本国債が、この時点で安全と判断されるかは??です・・・。


■ みんなダメダメになる所から、世界経済と通貨システムが再設計される ■

先日の通貨の三極体制の記事のコメント欄で、「中国の実態はダメダメです」的なコメントをmuffさんに頂いております。これは尤もなご意見で、中国の現状を冷静に判断すれば、元の国際化などは夢の又夢の様に思われます。

しかし、アメリカもヨーロッパも日本も新興国も途上国も中国も、みんなダメダメの状況が起きたら、話は違って来ます。


中国は過剰なまでの生産設備と、住宅を含めて少々過剰なインフラと、少々過剰な人口と、そこそこの資源を抱えています。要は成長力は依然として高いのです。

日本はバブル崩壊後に不良債権の処理を10年以上続けました。これが日本の失われた20年に繋がります。しかし、中国は不良債権を一気に処理するでしょう。所謂「徳政令」ですが、多少の混乱があっても古来、バブル崩壊の後処理として最も有効なのが「徳政令」です。

個人の権利が強くなった現代において先進国で徳政令を実行する事は不可能でしょう。(海外に対しては平気でデフォルトを選択しますが・・・)

しかし、共産党一党独裁で国民の権利の弱い中国ならば「徳政令」は実行可能です。国民が暴動を起こすかも知れませんが、その時は戦車の出番です。世界が黙っていないでしょうが、世界の声よりも共産党一党独裁を優先するのが中国です。

国民も命が惜しいでしょうから、暴動は体制を崩壊させる事は出来ずに鎮圧されると思われます。そもそも、共産党以外に国民をまとめられる指導者が見当たりません・・・。

こうしてBRICs諸国は、半ば強引な手段で混乱を乗り切るでしょう。一方で先進国各国は有効な手立てを打てずに危機が長引くはずでし。多分、中央銀行が大量に資金を投入するのでしょうが、事ここに至って「通貨の信用問題」が発生するはずです。

リーマンショックのい直後に「ドル基軸体制の継続性」に注目が集まりましたが、やはり大規模な金融危機を2回も起こせば、さすがに「ドルとアメリカに任せる訳には行かない」となるはずで、全ての通貨の信用が棄損する中で、次の通貨体制が模索されるハズです。

■ 勝者が居ないから良いのだ ■

一見、誰も勝者の居ない次なる金融危機ですが、現在のドル基軸体制が発足して70年以上が経過し、このシステムは既に制度疲弊を起こしています。

金融市場を肥大化させ続ける事で資金需要を作り出して延命して来たドル基軸体制は、金融市場の自己崩壊によって終焉を迎えるはずです。

ただ、ユーロも円もポンドも元もルーブルも、まともな信用を維持できる通貨はその時点では存在しないのかも知れません。(スイスフランは・・・・?)

勝者が居ないから敗者も存在しない・・・こんなマイナスにフラットな世界から次なる世界が始まるのかも知れません。


多分、最初は敗者の寄せ集め的な地域連合が形成されるのでしょう。日本はやはりアメリカ組でしょう・・・。そしてそれぞれの地域連語が地域の基軸通貨を発足させ、通貨の信用を回復させてゆく事でしょう。


全くの妄想ではありますが、これでいいのだ・・・・そんな気もします・・・。
問題はそれが「何時」なのか・・・これだけは「神」のみぞ知る。


米大統領選の次なるシンデレラは誰か・・・ランド・ポール

2015-04-15 10:52:00 | 時事/金融危機
 



■ ランド・ポールの出馬をTVニュースで報じたTBS ■

アメリカは2016年に大統領選挙ですが、その前に民主党、共和党の候補者選びがスタートしました。ヒラリー・クリントンがネットで出馬を表明して話題になっていますが、共和党では上の写真の方が出馬を表明しました。

「誰?!」と思われた方が多いかと思いますが、彼こそが次の大統領選挙でシンデレラ・ボーイになる可能性がある候補者だと私は勝手に妄想しています。

彼の名はランド・ポール。一期目の上院議員です。実は彼自身よりも、彼の父親がアメリカでは超有名人です。



その人の名はロン・ポール。ティー・パーティー勢力の重鎮にして、何度も大統領候補選挙にチャレンジした有名な「泡沫候補」です。

ロン・ポールはオーストリア学派の正当な流れを継ぐ人物で、あまりに大きくなり過ぎて人々の生活に過剰に干渉する現在の連邦政府を批判し続けています。

1)アメリカは世界の警察を辞めるべきだ
2)連邦政府は縮小すべきだ
3)FRBは既に破綻しているし、そもそも廃止されるべきだ

これら、過剰とも思える彼の主張ですが、前回の大統領選挙の予備選挙において、若者達を中心にロン・ポールへの支持が広がり、彼は共和党の大統領候補選挙で善戦します。もはや「泡沫候補」とは呼べない存在感を示しました。

リーマン・ショックで自身を失ったアメリカ人の一部は、「アメリカは普通の国に縮小すべきだ」と考える様になってきており、そして、そう考える人達が増えて来ているのです。全開選挙では、退役軍人の中にもロン・ポールを支持する人達が現れました。

ロン・ポールはテキサス州の下院議員でしたが、彼の息子のランド・ポールは前回選挙で上院議員に当選しています。ロンは政治家を引退して息子がその意思を継いでいます。そして、ロンの支持者達もランド・ポールに大きな期待を寄せています。

ロン・ポールが日本のメディアで話題になる事はほとんど有りません。予備選挙で彼がある州で勝ったとしても、アメリカでは驚きを持って報道されますが、日本のメディアは完全に無視してきました。

しかし、先日、ランド・ポールが共和党の大統領候補選に立候補する事を発表すると、TBSはTVニュースでこれを伝え、「若者やティーパーティと呼ばれる人達に支持されている」と説明しました。「小さな政府を主張していますが、一方で福祉政策も重視する」という現実的な路線も紹介し、もはや日本のメディアにとってもランド・ポールは「泡沫」として扱えない存在として認識されているのかも知れません。


■ ピケティーが争点になるであろう次期アメリカ大統領選挙 ■

実は最近気になるのが「トマ・ピケティー」に対する過大な評価と、その熱狂ぶりです。

陰謀論的には、時代が変わる時にはそれを先導する書籍や論文が注目されます。アメリカが「宗教戦争」を始めるにあたっては、サミュエル・P・ハンティントンの『文明の衝突』が論理的根拠にされたふしがあります。

『文明の衝突』はアメリカ外交問題評議会(CFR)の機関誌、フォーリン・アフェアーズに掲載された論文です。

その日本語版を見る事が出来ます。
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/199308/Huntington.htm

アメリカ外交問題評議会(CFR)は民間のシンクタンクですが、共和党、民主党を問わず多くの有力者が名前を連ねています。ヒラリー・クリントンもその一員ですし、ヘンリー・キシンジャーやジミー・カーターなど錚々たる顔ぶれです。名誉会長はデビット・ロックフェラーです。

実はアメリカの外交政策を決定しているのは連邦政府では無く、この外交問題評議会(CFR)なのです。ですから、オバマの一般教書演説などを聞くよりも、CFRの機関誌であるフォーリン・アフェアーズに掲載された論文や、CFRにおいて行われるヒラリーの演説を聞いた方が、アメリカの外交の未来予測に余程役立ちます。

『文明の衝突』は過去の歴史を紐といて、「戦争は文明と文明が出会う時に必然的に起きる」と主張しています。そして、その論文が世界的に注目された後、911事件が起こり、キリスト教とイスラム教の対立が煽られていったのです。


陰謀論者である私はピケティの『21世紀の資本』の扱われ方に「同じ匂い」を感じて仕方ありません。

「資本収益率>経済成長率」である事は現代を生きる私達は肌身を持って実感していますが、それを歴史的に証明したという点においてピケティの業績は評価されています。(例外は存在しますが)

今更、「資本収益率>経済成長率」が証明された所で、私達の生活に大きな影響は有りません。お金持ちは、投資によって利益を拡大し、投資資金の無い庶民は不等式の当然の帰結としてますます貧しくなる・・・(資金が資産市場にトラップされて実態経済の成長率が低下する)

ただ、世界的にピケティを評価しているのは社会主義的な思想の人達が多く、『21世紀の資本』によって「金持ちは益々金持ちに、貧乏人は益々貧乏人になる資本主義の問題点が明らかになった」と主張しています。これは、日々の生活に不満を持つ庶民の心を刺激します。

リーマンショック以降、アメリカでは貧富の差がさらに拡大しています。垂れ流される緩和マネーの恩恵に預かれる富裕層は益々資産を増やしている一方で、実体経済に資金が流れないので中間層はどんどん疲弊しています。

民主主義の選挙において特筆すべき点があるとするならば、金持ちの一票も、貧乏人の一票も等しく同じ一票である点です。(貧乏人は選挙に行かないという点は無視するとして)

ですから、アメリカの大統領選挙では、貧乏人の票が選挙の行方を左右するとも言えます。簡単に言ってしまえば、「庶民受けの良い候補の勝ち」となるのです。そして、現在のアメリカの庶民の興味は「貧富の差の是正」にある。



ですから、庶民とは程遠いヒラリー・クリントンも出馬表明に当たり「経済格差是正の必要性を指摘し、「市民の擁護者になりたい」と」と語るなど、庶民の取り込みに必死になるのです。


■ シンデレラ・ボーイが勝つアメリカの大統領選挙 ■

「初の女性大統領」などと日本のメディアはヒラリーを持ち上げていますが、実はヒラリーは非常に不利な戦いを強いられます。

それは彼女が「庶民に人気が無い」からでは無く、「候補者として新鮮味に欠ける」点にあります。クリントン政権時代こそ輝いていたヒラリーですが、日々メディアに登場し、年々年老いてゆく姿をアメリカ国民は見続けてきました。

実はアメリカの大統領選挙は、有力候補が落選し、ダークホースの新人が大統領となる事が多いのです。ピーナツ畑の農場主から大統領になったジミー・カーターを始め、ハリウッドの俳優出身のロナルド・レーガン、「CHANGE」だけを叫び続けて当選したバラク・オバマなど、選挙前は大した知名度も無かったのに、選挙戦の中で輝きを増して行った候補多い。

いわば、大統領選を「国を挙げたお祭り」と感じているアメリカ人は潜在的にシオンデレラ・ボーイを渇望しているのです。

面白い事に世界の経営者はそれを逆手に取ります。ジミー・カーターはピーナツ畑の農園主であると同時に300人委員会のメンバーでした。コテコテのあちら側の人材です。それを純朴な農夫に仕立て挙げて庶民をまんまと騙して当選させるのが世界の経営者達なのです。

■ ランド・ポールやルペンはガス抜きに使われる ■

ランド・ポールの他にも現在の金融至上主義や大きな政府を批判する政治家は沢山居ます。有名なのはフランスの国民戦線代表のマリーヌ・ルペン党首でしょう。



日本では移民排斥など極右として紹介される国民戦線ですが、ルペンの父娘の言動は意外にまともです。ロン・ポールらと世界経済の見方も非常に近いものが有ります。

長引く不況でフランスでは国民の不満が高まっており、「小さな政府」と「移民排斥」を訴える国民戦線は、イスラム教徒による新聞社襲撃事件以降、急激に支持を拡大しています。

しかし、ランド・ポールやルペンが大統領になる事は有りえません・・・何故なら、彼らの政策をそのまま実行したら、世界経済も世界の平和も大混乱になるからです。


ただ、貧富の差が拡大する中で彼らの存在は既に無視できないものになって来ています。そこで、世界の経営者は彼らを黙殺するのではなく、適当に持ち上げて「ガス抜き」に利用しようとするでしょう。

■ リーマンショック以上の危機が起きればランド・ポール大統領もあり得る ■

実は私はランド・ポール大統領(本当はロン・ポール大統領)の誕生に期待を寄せる一人です。

もし、彼が大統領になる様な日が来るとするならば、それはリーマンショック以上の金融危機が発生し、現在の経済システムも通貨システムも根底から崩壊する状況が発生した時では無いかと妄想します。


「金持ち達が世界を破壊した」と多くの国民が考え、そしてアメリカの街々で暴動の炎が上る時、アメリカ国民の心を一つにまとめられるのはランド・ポールしか居ない。

「今こそアメリカは普通の国になろう!!」こう彼が叫んだ時、多くのアメリカ人が彼を支持する事でしょう。



世界の経営者にとってランド・ポールはガス抜き以上の使い道も有るのかも知れません・・・。そして『21世紀の資本』が意味を持つのかも知れません・・・。


エレガントな財務省・・・「官製相場」の行方

2015-04-13 10:57:00 | 時事/金融危機
 

■ 日経平均2万円 ■

日経平均株価が選挙を前に一時的に2万円を超え、アベノミクスによる経済回復を国民に宣伝しています。あまりに「ヤラセ」臭い株価操作です。

TVや新聞しか情報源の無い実家の母は「あんた、景気悪いって言うけど株価2万円じゃないの。○○さんも、▽▽さんも、株で儲かったって言ってるわよ」と私に愚痴りました。

■ 公的資金、準公的資金が外国人に垂れ流しされる ■

日経平均の上昇が不自然な事は株に詳しい方々なら理解されていると思います。ダウ平均とのリンクも円相場とのリンクも外れ、ひたすら上昇し続ける相場は異常です。

日銀、GPIF、共済年金、ゆうちょ、簡保などを合わせると25兆円程の資金が見込める様ですが、こららの莫大な資金を持ってすれば、ちょっとやそっとの下落は買い支える事が可能です。言うなれば、公的資金、準公的資金が買い支えるとアナウンスしている日本株市場は、当分の間は右肩上がりに上昇し続けるのです。

これを外国人投資家達が見過ごすはずはありません。下落のリスクの極めて低い市場に投資して、あわよくば高値で売り抜けようと資金が群がって来ます。空売りで売り崩せなくとも、確実に利益が出るからです。

外国人投資家達は、利ザヤは少なくとも、ちょっと下がった所で日本株を買えば、公的(準公的資金)にそれより高値で売る事が出来ます。

■ 日本国債市場でも同じ事が起きた ■

実は日本国債市場でも同じ事が起きていました。日銀の異次元緩和の後は混乱した日本国債市場ですが、その後は金利が下がり続けています。(国債価格は上昇)

これは、手持ち国債を日銀の売却すれば確実に利益が出るからで、金融機関は金利がほとんど付かない日本国債を購入して、それを日銀に売却して利ザヤを稼ぐ投資スタイルを確立していました。

さらに、日銀に国債を売却した資金を日銀の当座預金に置いておくだけで金利が得られます。そして、その資金が日銀の国債購入資金として使われているのです。


もはや日本国債金利も、日経平均株価も官製相場となり、景気の指標としての機能は失っています。カナリアは絞殺されたのです。

■ 官製相場はモラルハザード? ■

日銀やGPIF、共済年金の積立金、ゆうちょ、かんぽの資金で買い支えられる株式市場ですが、国民の資産でこれらの市場を支える事はモラルハザードでしょうか?

庶民の資産で外資や一部の資産家、投資家が利益を得る事は、普通に考えれば問題が有ります。特に株式は「下落」や「暴落」の危険性があるので、国民の資産が減る恐れがあります。

しかし、将来的に大幅なインフレが起こった場合、これらの資金を株式市場や外債市場に逃避させるメリットが生じます。

■ 日本国債市場から締め出される民間資金 ■

日銀は異次元緩和で日本国債市場から公的資金や民間資金を締め出しています。金融庁も地銀や信金に日本国債偏重の運用を改める様に指導しています。

現在の日本は日本国債市場から資金が締め出されているのです。その資金の行く先は日本株市場であたり、外債市場だったりします。

日本国債市場は日銀の異次元緩和前は預金を始めとする民間の資金が買い支えていました。しかし、民間の預金が将来的に目減りし、日本国債を買い支える事が出来なくなる事は明確でした。

そこで、需給バランスが崩れる前に財務省と日銀は事実上の財政ファイナンスに入ったのです。これら異次元緩和の本当の目的。

ただ、これとて永続的では有りません。日銀の政策が「財政ファイナンス」だと世界が認めた時、日本円が為替市場で売られ、円は暴落するはずです。多くの物資を輸入に頼る日本で、円の暴落は大きなイオンレ圧力となります。

物価がどんどん上昇した時、金利がほぼゼロの日本国債を金融機関が保有していたら、これらの金融機関は破綻します。ですから、異次元緩和に突入した時点で、財務省や政府はGPIFや共済年金、ゆうちょ、かんぽの資金運用の日本国債偏重を是正して、将来的なインフレに備えたのだと私は考えています。

■ 株式はインフレに強い ■

一見モラルハザードの様に見える公的・準公的資金の日本株買いですが、将来的にインフレが加速し金利が上昇する事が確実であるならば、資産保全的に認められるのではないでしょうか?

株は一時期暴落しても、長期的に見ればインフレ率を反映して値上がりします。(ただし、その会社が倒産しない限り)

短期的に見ればアベノミクスのテコ入れにしか見えない公的・準公的資金による日本株買いですが、本当の目的はインフレ対策・・・。

こう考えると、財務省はアベノミクスを隠れ蓑にして、財政ファイナンスを実行し、同時に国民資産を守る準備をした訳で、実にエレガントに行動したとも言えます。


そこらへんの官僚の思惑が分からないのが安倍首相の良いところなのかも知れません。要は利用しやすい男なのかも知れません。



中国のAIIBを巡る空気の変化で、日本円が暴落してもドルや世界経済に影響を与えない準備がされ始めている様に感じています。

円の暴落が5年後なのか、10年後なのか、20年後なのかは分かりませんが、私は次の金融危機でショックドクトリン的に大きな変化が実行されると思っています。


これからの資産運用のキーワードは「インフレ対策」なのかも知れません。


・・・・月曜から妄想全開で申し訳ありません。

前期アニメ ベスト ・・・ クマの大勝利

2015-04-10 05:55:00 | アニメ
 

毎度おなじみの「前期アニメ・ベスト」

さっそく発表と参ります。


第一位  『ユリ熊嵐』



私はオタクアニメが大嫌いで、オタクアニメが大好きです。ガウガウ!!

LINEやTwitterが生み出す「同調圧力」・・・『ユリ熊嵐』 

「アニメとは何か」という問いかけの最良の回答の一つがこの作品ではないでしょうか?

アニメとは乱暴に言ってしまえば「動く絵」です。その動きの隅々まで完璧にコントロールした時、実写では表現できないアニメならではの世界が出現します。

当然予算の制約が有りますから、ディズニー映画や宮崎駿の作品の様に全編でキャラクターを動かし、かつコントロールする事は不可能です。そこで、変身シーンに代表されるバンクシーンに全力を傾ける事になりますが、それを逆手に取ってバンクシーンを作品の中心に据えたのが幾島作品では無いでしょうか。

作品の全ては「バンクシーンの魅力を最大に引き出す為に有る」。有る意味、本末転倒の様にも思えますが、「動く絵」であるアニメの本質に迫ろうとするならば、こういう方法論は悪く無いのかも知れません。

いつもながら「断絶の壁」とか「透明な存在」とか思わせぶりな言葉を散りばめていますが、ある種哲学的に聞こえるそれらのワードは極めて表面的な扱いで、あえてそれについて掘り下げる事は在りません。これも現代的と言えば現代的。


第二位  『アルドノア・ゼロ』




http://green.ap.teacup.com/pekepon/1460.html

良くも悪くも現在のロボットアニメの水準を示す作品。

ロボットアニメにおいて戦闘シーンは非常に大事ですが、この作品の戦闘シーンは似非科学的設定においても、現代最高の出来栄えでは無いでしょうか。

SFとして良し。ラブロマンスとして良し。ロボットアニメとして良し。ストーリーとして良し。ご都合主義として良し。

これとして欠点に見つからない作品ですが、キレイにまとまり過ぎている点が欠点。良くも悪くもアニメで育った人達が作った作品です。

この対極に富野監督の諸作が有ります。人間を描写する時に、リアルな人物像を出発点とするか、それともアニメの長年のストックを出発点とするかの違いなのですが、富野作品は前者、そして現代のアニメは後者です。後者は「テンプレート」と呼ばれます。

『アルドノア・ゼロ』の登場人物達はオリジナリティーが高いので「テンプレ」とは一線を画しますが、でもリアルじゃない・・・。これが悪い事かと言えば決してそうでは無いのですが、キャラが製作者の意図を外れて動き出す様な事は在りません。ある意味、優等生的でコジンマリしている。

さらに、『ゼーガペイン』にある様な圧倒的なキャラへの感情移入をこの作品は許してくれません。少し離れた所から批評的に見てしまいます。スレインとザーツバルグは良いキャラでしたが・・・。

ただロボットのキャラ立ちは最高で、敵メカはデザインと言い、必殺技と言いどれもスーパーロボット大戦に参戦できるレベル。あっぱれ!!

第三位 『SHIROBAKO』



アニメってどうやって作るの?・・・『SHIROBAKO』

アニメ原体験・・・『山ねずみロッキーチャック』

「万策つきたぁーーー」の名セリフを生んだだけでも印象に深い作品。アニメ現場の現状をリアルに伝える良作です。PAworksらしい丁寧な作り。過去の作品へのオマージュやパロディーも散りばめられていて、それを探すだけでも楽しめます。

ただ、ハイライトは意外にも前半にあって,2~4話目あたりがピークでした。


第4位  『四月は君の嘘』



最終回、50歳のオッサンの目から涙が止まりませんでした・・・。
テンポが悪いという意見も多く見かけましたが、じっくりと作りこんだおかげで最終話が生きてきます。ウケを狙って派手な演出や設定に走りがちな作品が多い中で、正攻法の素晴らしさを実感出来る良作です。


第5位  『七つの大罪』 
 『寄生獣』






人気原作をアニメ化するのは難しいのですが、この2作は水準をクリアーしています。『七つの大罪』は典型的な少年漫画ですが、それを『DAKEWR THAN BLACK』の岡村天斎が監督するとどうなるのか興味が有りました。結果・・・普通。普通に面白い。

『寄生獣』はミギー、『七つの大罪』はブタの存在感が絶大です。そして巨人ボク娘キャラの健康的な魅力は破壊的だぁーーー!!


敢闘賞  『冴えない彼女の育て方』



こういう作品をあまり評価はしたく無いのですが・・・良く出来ている・・・・。

ただ、『俺の青春ラブコメが・・・』に比べたら全然劣ります。オタクのオタクによるオタクの為のユートピアの限界。


あれ『Gのレコンギスタ』は?『クロスアンジュ』は?


そんな作品は存在しません!! キリ!!