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ユーロ危機という茶番・・・民主主義の本質を見せつける欧州

2011-11-30 10:12:00 | 時事/金融危機
 

■ ユーロ崩壊が秒読み? ■

とうとうドイツ国際の2/3が売れ残る事態となり、
「ユーロ崩壊が秒読み」などという見出しも見られます。

ところがユーロはちゃっかり財政統合に向けて大きく踏み出しています。
国債格付けの高い国で、ユーロ共通債を発行し、
それを元手に、ギリシャ、スペイン、イタリアを救済するという案が急浮上しています。

■ 財政統合に反対する国民と ■

ユーロ危機の茶番劇は、「民主主義など存在しない」事をまざまざと見せつけます。
平時には、EU統合に関する条約の批准は、各国でかなり国民の反感を招きます。
安い労働力に職を奪われる労働者などが反対して、
国民投票が何度もやり直されたりしながらも、EUは現在の姿に辿り付きました。

ユーロ参加に関しても、ドイツ国内では、
「強いマルクを捨てる必要はない」という意見も多く、
非常時には議会の決議でユーロを離脱出来る事を条件に、
マーレヒト条約を批准しています。

まさに今がその非常時で、ドイツ国民の多くは
「怠け者のギリシャ人をドイツが救う必要は無い」という意見です。

ところが、いざユーロを離脱使用としても
不可能な状況にある事に国民は気付き始めています。

1) ドイツの市場はEU諸国ですから、ユーロの崩壊でドイツは市場失う
2) ドイツの多くの企業が、他のユーロ圏諸国に工場などを進出している
3) ドイツの多くの金融機関がユーロ建ての債権や株を大量に保有している

■ 「民主主義」を無視して進む財政統合 ■

一方、ユーロの崩壊を目前にして、
EUの指導者達は、「民主主義」って何だっけ?くらいの勢いで、
EUの財政統合に向けて突き進んでいます。

ここには既に「国民の議論」などは存在せず、
「崩壊か、チャレンジかを選べ」という理論しかありません。
「崩壊」はさすがに国民も厭ですから、
当然「チャレンジ」しか選択肢はありません。

ここに「民主主義の本質」が露わになっています。

「民主主義は大事な事は何一つ決められない」のです。

国民の利害は、重要な事柄においては相反します。
だから、国家の行く末を左右する様な事態を前に、
民主主義は機能不全に陥ります。

そして、国家存亡の危機を前にした時、
各国政府は「非常事態」を宣言して、議会の権限を制約する事も出来ます。

■ 政治よやり方を熟知しているユーロ・エリート ■

共通通貨ユーロを採用した時点で、現在の窮状は予想されていた事態で、
それをも織り込んだ上で、彼らは通貨統合に踏み切っています。
その先の財政統合、そして政治統合を目指して。

ヨーロッパのエリート達は民主主義の弱点を熟知しています。
彼らは、各国国民が反対する「統合」を強行するに当たり、
だらだらとユーロ危機を煽り続けてきました。

「何も決まらない」のでは無く、「何も決めず」にいたのです。
そして「は有無を言わさぬ状況を見事に作り出したのです。

■ 「民主主義の幻影」に騙されるな ■

国民は集権がわが手にあると錯覚する事で、不利な条件も甘んじて受けます。
「民主主義」とは為政者が国民に与える「媚薬」なのです。

しかし、「何も決められない民主主義」よりも、
高い理念のもとに運営される「独裁」の方が、
国民に利益をもたらすのであれば、単純にそれを否定出来ない事も事実です。

■ 「強いユーロ」が誕生した時・・ ■

ヨーロッパは為政者も国民もなかなかシタタカです。

一方アメリカはどうでしょう。
アメリカの財政危機と住宅市場の崩壊による金融市場の破綻は、
ユーロ危機に隠されています。

ユーロを回避した資金は、ドルに還流しています。

さて、年が明けて「強いユーロ」が誕生した時、
ドルの真実が問われる事になります。

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