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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

世界の再生可能エネルギーブームは過ぎ去っている・・・シェールガス革命で激変するエネルギー事情

2012-08-23 12:25:00 | 福島原発事故
 


広島県、白滝山の風力発電   自然の景観が失われてゆく・・・。



■ 世界の再生可能エネルギブームはとっくに過ぎ去った ■

先日、日経新聞の一面に、風力発電を後押しする為に、
送電網の構築を電力会社と風力発電事業者が共同で取り組み、
政府がこれを助成してゆくという記事が出ていました。

日本は原発の再稼動がままならず、
二酸化炭素の排出の少ない再生可能エネルギーで
原発停止の不足電力をバックアップする計画をしています。

一方、世界の情勢は「再生可能エネルギーブームは過ぎ去った」です。

「オランダの洋上風力発電、コスト高で陰り」
http://www.jiji.com/jc/rt?k=2011111700309r


1)オランダは洋上風力発電を推進していた
2)1Kw当たり0.18ユーロ(17円?)の買取補助金を出していた
3)財政が逼迫する中、補助金を継続する事は出来なくなった
4)洋上風力発電は建設コストが高く、維持費も高いので補助金無しでは採算が取れない
5)陸上の風力発電私設は(低音騒音など)周辺住民と多くのトラブルを抱えている

「ソーラー発電大国・ドイツの落日 収益急減 最大手メーカー破綻」
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120405/mcb1204050115001-n1.htm


脱原発、太陽光発電の優等生と目されるドイツでも
太陽光発電は、総発電量の3%に過ぎません。
さらに、こちらも買取補助金の削減で、採算性が取れなくなっています。

この様に、再生可能エネルギーはイニシャルコストやメンテナンスコストが高く、
現在の発電効率では、事業として成り立ちません。
そこを「補助金」や「電力会社の買取義務」で誤魔化してきましたが、
結局、長引く世界不況による財政悪化で、
この矛盾だらけのエネルギー政策は世界各地で頓挫しています。

■ 二酸化炭素による温暖化仮説自体が崩壊寸前 ■

そもそも、再生可能エネルギーを後押ししていたのは
「二酸化炭素による温暖化仮説」でした。
ところが、太陽活動が低迷期に入る事が心配されだし、
NASAや日本の国立天文台が、「寒冷化」を警告する状況において、
二酸化炭素による温暖化仮説は、その存在自体が崩壊寸前になっています。

長期的には温暖化よりも、寒冷化が心配されているのです。

■ 今年の夏が涼しいのはエルニーニョの影響 ■

原発停止の状態で、大規模停電が心配されたこの夏の日本ですが、
結局、稼動した原発は関西電力の大飯発電所の2基だけでした。

関西電力は原発の依存率が60%と電力会社の中では最も高く、
原発を停止した状態では、大規模停電の危険性がかなり高かったのです。
実際に8月3日の電力需要は2682万kWで
関西電力管内の原発以外の総発電量を上回っています。

朝日新聞は、近隣電力会社からの融通で賄えたと報道していますが、
気温がこれより高ければ、近隣の電力会社とて余剰電力は底を尽きます。
朝日新聞の記者は、電力インフルラは決して停電を起さないように、
常に余剰の発電力を2割程度保持するという
社会インフラの鉄則を全く理解出来ていない様です。
これで、「大新聞」の1面なのですから、全く持ってレベルが低過ぎます。

それでも、反原発派は、今年は関西電力以外で、
原発を再稼動しないでも乗り切れたと主張するでしょう。

しかし、今年の夏が例年よりも涼しい事に皆さんはお気づきでしょうか。
気象庁はエルニーニョの発生を発表しましたが、
エルニーニョの年は日本の夏は低温傾向になります。

今年はエルニーニョが発生したばかりですから、
低温といってもい「冷夏」には至りませんせんが、
1983,1993,2003年と、日本は記録的な「冷夏」でした。
「米の緊急輸入」をご記憶の方も多いでしょう。
記録的な冷夏が10年周期で発生している事と、
エルニーニョが発生した事により、
来年の日本は「冷夏」に警戒が必要かもしれません。

一方、エルニーニョの発生は「冷夏」「暖冬」を齎します。
これは、電力需給が逼迫した日本にとっては救いの神かもしれません。

■ 楽観的気象予測で大失敗したアメリカの穀物備蓄 ■

日本の場合は「涼しい夏」が結果オーライでしたが、
アメリカはこの夏の気象予測を楽観的に行った為、
干ばつに対する警戒を怠り、
トウモロコシや大豆を中心に、穀物備蓄に影響が出ています。

今年の冬は雪が少なく、干ばつの可能性があったにも関わらず、
それを甘く見た生産量予測が穀物市場を混乱させています。

この様に、気象の予測は難しく、
今年の日本の電力需給は、たまたま幸運に救われたと言えます。


■ シェールガス革命が再生可能エネルギーブームを終焉させる ■

再生可能エネルギーブームにトドメを刺したのは、
アメリカを始めとするシェールガスの増産です。

本来採掘不可能と言われていた、硬い地層の中の天然ガスを
岩盤を砕いてガスを採掘する技術を確立した為に、
採掘可能天然ガスの埋蔵量が飛躍的に増大し、
それによって、天然ガスの相場が大幅に下落しました。

安価なシェールガスの普及と、
財政難による再生可能エネルギーへの補助金カットが
世界の再生可能エネルギーブームを終焉へと導いています。

確かにシェールガスによる火力発電は二酸化炭素を排出しますが、
最新のガスタービン発電器は、廃熱も回収すれば、
エネルギー効率が85%という圧倒的な高効率発電です。

地球温暖化があまり経済的なメリットを生み出さない一方で、
経済的にメリットの大きいシェールガス発電が普及しだし、
結局、経済原理によって再生可能エネルギーブームは終焉に向います。

■ ガスタービン発電機は、航空機のエンジンだった ■

ここで注目すべきは、シェールガスのタービン発電機が
実は航空機のエンジンを流用したものであるということです。

日本で導入されている発電機も
GE製であたり、ロールスロイス製だったりします。
これらの会社は、民間航空会社にも航空エンジンを供給していますが、
軍事用のエンジンも開発する大企業です。

隙間産業的な風力発電や太陽光発電会社が、
「緑の党」などの、市民運動に支援されて成長したのに対して、
ガスタービン発電機は、政治家にも影響力を振るう軍事産業が支配しています。

■ 原発を新たに建設出来ない日本に、発電機とシェールガスを売り込むアメリカ ■

福島原発事故により、日本では将来に渡り、
新規の原発は建設不可能になりました。

GEやウエスティンハウスなどのアメリカ(日本と合弁ですが)の原発メーカーは
今後、日本で新規の原発建設の受注は不可能です。

しかし、原発の再稼動が出来なければ、
日本にガスタービン発電機とシェールガスを売り込む事が可能です。

その結果、使用出来ない原発の維持コストと廃炉コスト、
さらには、核燃料は廃棄物の保管コストが電力料金に圧し掛かります。

そして、天然ガスの輸入量の拡大あ、日本の貿易収支を赤字にしました。
これは、必ず国民の生活の負担と、日本経済の衰退という形で、
私達を苦しめるはずです。


■ 菅首相を初め市民引導の残党と、情緒的判断しか出来ない反原発が日本を衰退させる ■



私は反原発活動家達と、民主党の左翼活動家達の成れの果てが会談する
上の映像を見て、唖然としてしまいました。

こんな、正式な場で帽子も取らず、
論理的な理論展開も一切出来ない「にわか反原発活動家」と、
かつての反原発の夢を再び追い始めた、
賞味期限切れの左翼政治家達が、
日本のエネルギー行政を歪めようとする姿に怒りを抑えられません。



確かに菅首相の福島原発事故時の行動力を私は高く買います。
しかし、反原発を政治的に利用しようとする、
今の菅元首相を私は全く支持出来ません。

■ 中東有事一発で高騰するシェールガス ■

国家のエネルギー政策は、常に有事を想定して行うべきです。

もし中東で戦争が始まれば、
世界のエネルギー価格は急騰します。

シェールガスでさえ、例外では無いのです。

もし、その時原発の再稼動がまま成らなければ、
日本の発電コストは跳ね上がり、
さらには貿易赤字が瞬く間に積み上がってゆきます。

国内の製造業は、高い電力コストを嫌気して、
工場を海外に次々に移転する事でしょう。

この様な不安定でエネルギー政策で経済が破綻した時、
官邸の周りを取り巻く人達は何と言うのでしょうか?

「政府の無策が原因だ」と言うに決まっています。
このような「無責任な市民」に翻弄される「議会制民主主義」には
根本的な欠点があり、それが、先の戦争を招いた事を日本人は自覚すべきです。


根本的な問題は、危険でないレベルの放射線を危険とプロパガンダする
世界を支配する人々ではありますが・・・・。


<追記>

石油や天然ガスのコストが高騰したら、
再生可能エネルギーの採算性が向上するという意見もあるでしょう。

しかし、石油の高騰は、物価に反映されますから、
太陽電池パネルや風力発電機の製造、設置コストも同様に高騰します。
ですから、現在設置されている再生可能エネルギー以外は、
従来エネルギーとのコスト差が逆転するとは思えません。

そして、現在、再生可能エネルギーの発電シェアーは1%程度です。
こんな物に国のエネルギーの未来を託す事自体がナンセンスと言えます。

無駄の生産こそが経済成長の原動力と言うのならば、
再生可能エネルギーこそが、その最たる物なのかも知れませんが、
日本各地に取り残された風力発電機が、
経済大国日本の墓標とならない事を切に祈ります。



・・・最近マジメな記事が多いので、
本日は思い切りベタなアニメ記事でも書こうと思ったのですが、
上の映像にあまりのショックを受けたので、
マタマタ、煽り気味の記事になってしまいました。

明日は絶対に、「アニメ・ネタ!」

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5 コメント

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Unknown (ファーベル)
2012-08-23 17:12:14
たいへんすばらしい記事ありがとうございました。胸がスカーッとしました。今日を限りに原発推進派に鞍替えしようかと思います。
返信する
Unknown (人力)
2012-08-23 18:04:27
ファーベル さん

実は、私はガッチガッチの「反原発派」なんです。今となっては誰も信じてくれませんが。(エアコンもTVも無い生活です。PCはあるけど・・・)

反原発の手法は、経済性に劣る再生可能エネルギーや、エネルギー供給に不安定性が伴う化石燃料に頼るのでは無く、一人ひとりが、節電を心掛ける事で達成できると考えています。

バブルのピークの時の電力消費量になれば、原発を稼働させなんくても、電力は賄えるのです。それを、原発稼働を前提にしたオール電化や夜間電力利用の給湯器を普及させた為に、電力需要を下げられなくなってしまったのです。

一部屋に一台クーラーを備えて、それで、原発反対と主張する人達の欺瞞を私は問題にしています。快適に生活する事と、エコロジーは両立しません。普段、自然は大切だとか、ロハスだとは言っている人を、山の中に一日放置したら、きっと気も狂わんばかりになるでしょう。やれ、蚊に刺された、やれ、ムカデが出たと半泣き必至です。これがファッションとしてのエコロジーや流行としての反原発の実体です。

暑さを楽しむくらいでなければ、エコロジーだの、環境に優しい生活なんて実現しません。問題は、これでは経済が停滞してしまう事。

ここに、工業化社会と資本主義の限界があります。日本人は福島原発事故や、日本財政の破綻危機で、この限界をブレークスルーできるかも知れない、世界で最初の国の国民になるかも知れません。

ですから、安易で短絡的は反原発では無く、反原発を足掛かりに、消費に依存しない経済発展、あるいは豊かさの確立を模索して欲しいと思います。

はたして、金曜の晩に官邸を取り巻く人々に、どれだけの覚悟があるのか・・・。家でクーラー使ってたら噴飯ものですね。TV局の人でいいから、一人ひとり、インタビューしてくれないかな・・・。
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Unknown (ファーベル)
2012-08-24 07:15:51
たしかに反原発やエコロジーは「ファッション」ですね。しかも反原発派の人たちはLNT教の狂信的な信者が多い。

私も脱原発派ですが放射能については閾値説が正しいと思っています。しかし、世の中では、閾値説が正しいと思っている人は原発推進派に分類されてしまいます。反原発派で閾値説を採っている方は極めてめずらしいので、以前から貴ブログに注目していました。

これからも楽しみに読ませていただきます。コメントへの丁寧なご返事ありがとうございました

返信する
Unknown (人力)
2012-08-24 13:56:12
ファーベル さん

LNT仮説が覆ればそれこそ原発周辺5Kmを、居住規制地域にしてしまえば、この世から危険な原発などは無くなってしまって、「反原発」や「脱原発」自体が、無意味になってしまうのですが、宇宙戦艦ヤマトで洗脳された私達の世代には、「反原発」は一つのロマンなのかもしれません。
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Unknown (人力)
2012-08-24 14:01:50
yutakarlson さん

エネルギーは戦略物資なので、価格は任意に操作されてしまします。第4次中東戦争によるオイルショックの原油高騰が、実はドル防衛の手段であったりします。

ですから、産油国やガス輸出国は安泰ですが、輸入国はエネルギー輸出国に従わざるを得ないのが現状です。ですから、エネルギー資源の入手先と種類を分散しておく事は、国家の安全保障として当然の事だと思います。

その「当然」すら理解していない事に、日本国民の悲劇があると思います。

ブログ、拝見いたしました。
資料も多く、大変参考になりました。
ありがとうございます。
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