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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

「進化」するマクロス 「退化」するガンダム

2008-08-10 13:54:57 | アニメ


40過ぎの大人がアニメの話もなんですが、
でも、デビルマンやマジンガーZで育ち、
宇宙戦艦ヤマトや、ガンダムで思春期を過ごした世代としては、
アニメにはやはり格別な思い入れがあります。

結婚して子供が出来て、その子供が「男の子」ともなれば、
子供が5歳を過ぎる頃から、日曜日の朝は「特撮ヒーロー」で目覚め、
来週の予告を食い入るように見ている自分に気が付いたりします。

私の場合は、ちょうど放映され始めたのが、
「ウルトラマン・ティガ」であったり
「仮面ライダー・クゥガー」であったり、
「メガレンジャー」であったり、今思えば、
ちょっと幸せなお父さん世代でした。

そんな子供達と今ハマッテいるのが、「マクロスF]。
夜中のアニメなんて、絶対に見る機会が無いのに、
youtubeのおかげで、「見る機会」が出来るのは便利と言うか、何というか・・。

ファースト・ガンダム世代の私は、
「マクロス」は好きではありませんし、あまり見てもいません。
ハードSF設定に、リアルロボットアニメとラブコメと元祖萌えキャラを突っ込んで、
さらには、敵宇宙人は、アイドルの女の子の歌にマイってしまう・・・・。
そんな内容を許容出きる程、10代半ばの私は柔らかな頭をしていませんでした。
ファンタジーを楽しむ余裕を持っていなかったんですね。

一方、サンライズはガンダム以降、「ボトムス」や「イデオン」といった
かなりハードな路線をひた走っていましたから、
健全な男子としては、やはりマクロスは「ぬるい」し「オタク臭い」。

ところが、時代が20数年経った今、
マクロスはオタク文化と共に、飛躍的な「進化」を遂げ、
一方、ガンダムはオタクを取り込む事に必死なあまり、形骸化して「退化」してしまった。
ガンダムSEEDを子供と見た時のショックは今でも忘れません。

「・・・こんなのガンダムじゃない・・・。
 ・・・この、ピンクの髪の娘はいったい??
 ・・・戦争や政治は、エンタテーメントじゃないんだから、
    こんなに薄っぺらに扱うべき物じゃないんだよ・・・。」

結局、戦争を体験した事の無い世代が描く「戦争」に何のリアリティーも無く、
それをメインテーマに据えたガンダムは、
ひたすらガンダムを模倣・再生産しながら「退化」の道を歩むのでしょう。
「ガンダム00」に到っては、youtubeでも一話すら最後まで見れません。
・・・たのむから、モビルスーツが空を飛ばないでくれ・・・。
・・・コラァ!!ロン毛、髪切れ、髪染めるな!!


一方、知らない間に(と言っても、初代マクロスですらまともに見ていませんが)
驚く程の進化を遂げていたのが、「マクロス」でした。
「菅野よう子」が音楽担当だから、興味を持ったのですが、
「マクロスF」の1話、2話を見て、唖然としました。
日本のアニメのCGのレベルって、こんなに高いの!!
って、はじめは技術的な驚きでした。

宇宙空間でのバジュラとバルキリーの闘いの何というスピード感。
コロニー内に進入したバジュラの大きさと重量感は
平成ガメラを通過したカメラワークを駆使して
充分なリアリテーがあるし。(ちょっと、バジュラがレギオンだけれど)
菅野よう子の音楽は、ハリウッド映画のノリでグイグイ押し出してくるし。
日本のアニメの面目躍如といった感があります。(ハリウッドよ・見習え!)

しかし、2話、3話と見るうちに、
あれ、あれ、あれ・・・ハマッテいる自分がいたんです。
と言うか、シェリル・ノームが空港に降り立った瞬間、
そして、コンサートが始まった瞬間に、すっかり虜になってました。
とにかく、このライブの映像がスゴイ。
この映像を見せられると、エイベックス系のPVなんて・・・・。

そして、お約束の三角関係を中心としたラブストーリーが
感情が連続的に推移していくのが見ていて楽しいし安心。
現代のアニメや小説にある、「イキナリこうくるか」的飛躍が無い。

おまけに、SF的設定が実にそれらしい。
環境型のスペースコロニー。
死体さえも「資源」として循環するシステム。
「空気」も資源としての位置づけがされ、
これはこれで、充分な見所になっている。

そして、とにかく歌。
従来、マクロスはアイドル調のアニオタソングが嫌いで、
見ることすらしなかったんだけど、
シェリルがとても現代的なアイドルで、
マドンナや浜崎あゆみを進化させてようなキャラクター。
これが幸いして、とても自然にストーリーを受け入れられるし、
むしろ、コンサートのシーンが楽しみでもある。
勿論「菅野よう子」の手にゆよる、王道アイドル歌謡は、
仕掛けもイッパイで、アレンジもちょっとカッコイイ。

そして、普通、ストーリーから浮いてしまう「歌」や「アイドル」という要素を
なんと巧みにストーリに取り込んでいる事か・・。
先日の病院での、「恋のつばぜり合い」の様なデュエット(what's bout my star)
の演出のなんとドキドキする事か。
これだけを取っても、マクロスが「歌」によって魅力が深まっている事を実感します。

いい年こいて、「マクロス」も無いですが、
意識的な元祖オタクアニメである「マクロス」が、
20数年の時を経て手に入れたものは、
甘美で濃厚な、「オタク文化の進化の果実」でした。

「進化するマクロス」と「退化するガンダム」が
アニメ文化の未来を予見しているうようでもあります。


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