■ ゴールマンサックスの毎月分配型債権ファンド「妖精物語」の分配金が下がった ■
昨年秋頃から毎月分配型のファンドの分配金が下がっている所が増えている様ですが、私が定点観測しているゴールドマンサックスの毎月分配型債権ファンド「妖精物語」の分配金も今年の1月に45円から25円に減っています。
毎月分配型のファンドの危険性を私は以前より私的しています。
1)ファンドの運用利益を再投資では無く分配金に充てるのでトータルの利益が少ない
2)ファンドの運用が悪くなると元金を分配に回す様になる
3)分配金の金額が下がったらファンドの運用が悪化しているので要注意
「妖精物語」はリーマンショック後こそ運用が落ち込みましたが、その後は比較的安定した運用をしていました。しかし、運用内容を長期的に観察していると、かつてはAAA格、AA格などを主体にしていましたが、現在はBBB格の債権を相当抱えており、利益を出す為にリスクを拡大していた事は明らかでした。
■ 金利上昇に弱い低格付けの債権 ■
昨年秋頃から金利がジリジリと上昇していますが、格付けの低い債権はこの様な環境下では大きく値を下げます(金利は上昇)。
金利上昇の原因はFRBの利上げです。リーマンショック後の大規模な金融緩和で金利は下がり過ぎていましたから、それが正常に戻っているだけとも言えますが、金利上昇はジャンク債や格付けの低い債権市場をパニックに陥れます。
■ 株価上昇の裏側で起きている事 ■
ゴールドマンサックスの四半期決算が悲惨な状況と報じられています。
1) コモディテー部門が大きな損失を出した
2) 債権部門が振るわない
3) 複雑なデリバティブ取引の利益が縮小している
4) GSが出資するマイクロ・ヘッジファンドの利益が縮小している
要は株価が上昇する裏側で、コモディテーと債権から資金が流出しているのです。いえ、これは原因と結果が逆かも知れません。コモディテーと債権市場から逃げ出した資金が株式市場に流入しているのです。
ゴールドマンサックス以外の大手銀行はコモディテー部門を縮小し、大胆なリストラも進めていましたが、GSはこのタイミングを逸した。
さらにGSは複雑な債権デリバティブなどを得意としていますが、市場の流れはシンプルな債権ETFに移行しつつあります。
■ ボラティリティの減少が利益を圧迫する ■
最近の市場の特徴はボラティリティの減少でしょう。
リーマンショック後からFRBの利上げ決定頃までは市場はテーパリングや利上げ予測に敏感に反応していました。結果、債権→株式→コモデティーの様な資金のグランドローテーションが起きたり、あ或いは新興国や日本の株価が大きく動いたりしていました。
しかし、FRBの利上げが規定事実となり、市場はだんだんと利上げ自体にはそれ程敏感に反応しなくなります。ボラティリティが減少し始めたのです。
ヘッジファンドなどはボラティリティーの大きい時は利益を上げますが、値動きの少ない市場では利益を上げる事が難しい。複雑なデリバティブ商品も同様の傾向が在るでしょう。
こうして、市場からボラティリティが減少する事で、GSが得意としていた分野の利益が減って行きます。
■ そろそろジャンク債バブルも弾けるだろう ■
一方で金利は確実に上昇しています。金利が下がり過ぎていた債権市場は資金が流出して金利がジリジリと上昇し始めます。
これはボディーブローの様に経済に悪影響を与えます。
特にシェール企業を中心としたジャンク債市場は崩壊前夜だと言えます。シェールビジネスの背後にはジャンク債市場で利益を上げたいウォール街の影が常にちらついています。目先の利くトレーダーはジャンク債の空売りのポジションを組んでいるはずです。
ジャンク債市場はFRBのテーパリングや利上げの度に崩壊すると予想されながらも、大きな崩壊を免れて来ました。これは世界に資金が溢れている為で、危機が後退すると資金が再び戻って来る事を繰り返しています。
しかし、長期金利の緩やかな上昇は、社債金利も上昇させますから、どこかの時点でジャンク債市場は崩壊します。恐らく、2017年後半とか2018年前半では無いかと・・・。
■ 債権市場の暴落は株価の暴落より怖い ■
多分、ジャンク債市場の暴落を引き金として、債権市場の金利が急激に上昇すると予想されます。南欧諸国の国債の金利も急激に上昇するでしょう。
この影響は米国債や日本国債にも及びます。日本国債は日銀が金利を管理しているので大丈夫と考える人も大勢居ますが、きっと日銀は指値オペの連続に追い込まれるでしょう。
米国債金利はトランプ政権発足直後に急上昇していますが、今度は10年債金利が3%を超えるかどうかがヤマとなるでしょう。これにFRBがどう対処するか・・・金利を引き上げてバランスを取るのか・・・それとも利下げで対抗するのか・・・。
いずれにしても株式市場よりも規模の大きい債権市場の混乱は、株式市場にも大きな影響を与えるはずです。
米国株価の史上最高値に目を奪われがちな昨今ですが・・・危機は債権市場で既に始まりつつある。それが現在の状況であり、GSを始めとする大手銀行の冴えない業績がそれを表しているのでは無いでしょうか。
・・・そしていつも個人が逃げ遅れる。
でも債権と言うものを買ったことがない
株も同じく…ちょっと貯めては不動産賃貸業に邁進する毎
日です
賃貸業界でもそれなりに流行というものが有るのです(笑)
債権は老人達が買わされている投資ファンドにたんまりと仕込まれています。意外に個人にも身近なんですよ。
森長官など「毎月分配型投信の撲滅」に尽力しているそうです。
おかげで「毎月分配型投信は1~6月に202億円の資金流出」
になり、これは2010年以降初めて、と日経にも出ていました。
しかしなぜ金融庁は、毎月分配型をこれほど敵視するのか。
やはり、バブル崩壊につながるから、という理由?
しかし、すぐさま撲滅しないといけないほど、危険な商品なんですかね。
金融庁は中小の金融機関の国債依存脱却を進めたり、地銀の統廃合を促進したり、はたまた、毎月分配型の投資信託の問題点を指摘したりと、一見まともな政策を推進している様に見えます。
ただ、中小の地方銀行の統廃合はアメリカでかつて行われた政策で、結果的にバンカメがこれらを統合して巨大銀行に成長しました。
これにより、地方企業に分散投資されていた資金がダイナミックに金融市場や都市部の融資に振る剥けられる様になります。金利が得難い地方投資から金利の得やすい都市部や新興国に資金が動きやすくなるのです。
毎月分配型ファンドは収益率の低い金融機関の「シノギ」になっており、その手数料収入はこれらの金融機関には無くてはならない物になっていますが、金融庁は中小金融機関をメガバンクや大手地方銀行に系列化させ、その資金力を日本の銀行の国際競争力向上に結び付けようとしているのでは無いか・・・。
ちょっと悪意を持って金融庁の政策を眺めると、こんな景色も見えて来るような・・・・。