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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

大人が忘れてしまったもの・・・『マギ』に見るマンガ(アニメ)の力

2013-01-14 03:01:00 | アニメ
 




■ 「少年ジャンプ」の斜陽 ■

少年誌と言えば、ジャンプの一人勝の時代が長く続きました。
『ONE PEACE』 『BREECH』 『NARUTO』という鉄壁の布陣で、
揺るぐ事の無いと思われたジャンプ王国。
しかし、「盛者必衰」の理の如く、これら3作品も既にかつての勢いは有りません。

『ONE PEACE』はマンネリ化していますが、マスコミ操作でテコ入れ。
安っぽい「友情」の押し付けを、大人相手に大宣伝とは、大人をバカにしています。

『BREECH』は、最終章がイマイチですね。
基本的にこの作品は引っ張り過ぎました・・・。
「死神代行消失篇」が完全に余分でしたね。
グリムジョーやウルキオラといった魅力的な敵キャラが描けなくなった事もイタイ。

一番奮戦しているのが『NARUTO』ではないでしょうか?
終盤を迎え、死んだ登場人物が再登場というのはイササカ強引ですが、
そもそも、作品自体が持っている「因果」というテーマが、
終盤に向けて見事に収束して行くのは、エキサイティングです。
細かい伏線を拾いながら、どういう結末に向うのか興味深々です。

・・・実は、この他の作品は『バクマン』くらいしか知りません。
ジャンプ本誌を買う年齢でも無いので、単行本を子供をダシに買う程度ですから・・・。

何れにしても、看板3作品の次が全く続かない現状を考えると、
「ジャンプ王国」の終焉も近いのでは無いでしょうか?


■ 「少年サンデー(小学館)」の本気(マジ)、『マギ』 ■

退潮の「ジャンプ」を尻目に、最近存在感を発揮しているのは「少年サンデー」では無いでしょうか?

そもそも『ジャンプ』VS『サンデー』というのは、、昔からあるファンの対立で、
「夢と希望と友情」の熱血派の「ジャンプ」に対して、「サンデー」は通好みの漫画で対抗してきました。

『うる星やつら』の高橋留美子を初め、『タッチ』のあだち充など、
比較的年齢層の高いファンに人気の作品を揃え、女性の人気も獲得して来ました。
そんなサンデーも『犬夜叉』以降、大ヒットには恵まれていません。

しかし、サンデーの良い所は、地味な作品でもコツコツと育てる所。
『バクマン』で明らかにされたジャンプの人気投票システムでは、地味な作品は生き残れません。

『銀の匙』などという少年誌には珍しい作品掲載できるのもサンデーならでは。

そして、現在アニメを放送している『マギ』は小学館の本気を感じます。
小学館創業90周年記念事業の気合の入ったアニメ化です。

そもそもアカデミック指向の強いサンデーの漫画らしく、
少年向けの単なる冒険譚では無く、民主主義の本質を問う内容には驚きを禁じ得ません。
(原作を読んでいないので、アニメでの感想ですが・・)

■ 王を創し者「マギ」 ■

ここからはネタバレ御免!!

物語の概要は「千夜一夜物語」を題材にしています。

世界にいくつも存在する「ダンジョン」と呼ばれる塔。
その塔に入り、数々の難関を突破した者は、「ダンジョン攻略者」と呼ばれ、
「金属器」を得ます。

「金属器」はダンジョンの精霊が宿る器の様な物で、
ダンジョン攻略者は、金属器それぞれに宿る不思議な力を得る事で、
「王」になる可能性を獲得します。

その人物が「王の器」たるかどうかを判断するのは「マギ」の使命です。
「マギ」はこの世の根源たる力、「ルフ」を駆使する「魔法遣い」です。

少年の姿をしたアラジンは、自分のマギとしての使命を知りません。
ただ、彼は偶然知り合い、一緒にダンジョンをクリアーしたアリババと友情を結びます。

一介の下っ端行商人のアリババは、実はバルバット王国の王子。
但し、母親の身分が卑しいので、王室を出て放浪の旅に出ています。

そんなアラジンとアリババは、ダンジョン攻略の途中に奴隷のモルジアナを開放します。
彼女は南の大陸の勇猛な戦闘民族の出身で、強靭な肉体の持ち主です。

この3人を軸に物語は進行します。
はっきり言って、アニメの5話くらいまでは、子供向けのツマラナイ内容です。

『かみちゅ』の舛成孝二が監督で無ければ、私も1話で切っていたでしょう。

ところが、驚いた事に5話くらいから物語はどんどん深みを増して行きます。

■ 現代の世界の縮図 ■

マギの世界では、煌帝国(こうていこく)という新興巨大国家が勢力を伸ばしています。

好戦的な煌帝国は、周辺国を武力や策謀で従えて行きます。

ある時は、敵を挑発して戦いを仕掛けさせ、
ある時は、通貨政策によって相手国の経済を支配します。

アリババの故国、バルバットも煌帝国の経済支配に屈しようとしていました。

煌帝国は金本位制度であったバルバットに、煌帝国の紙幣を大量に貸し出します。
煌帝国の紙幣は、帝国の支配下の国々で流通し、貿易決済に使われています。
バルバットは煌帝国の紙幣を安い金利で借りる事で、経済が活性化します。
しかし、金利が上昇した途端、国庫は底を突きます。
そして、煌帝国はバルバット国民を担保に要求してきます。

王位に付いているアリババ兄、アブマドは国民に重税を課すことで難局を乗り切ろうとしますが、
国民の不満は募り、国家は貧困の中で混乱します。
「霧の団」なる盗賊集団は、金持から金品を奪い貧乏人に分け与えています。


■ アリババの決意 ■

ダンジョン攻略後、ちりじりになったアラジンとアリババとモルジアナですが、
バルバットの地で、再会を果たします。

アリババは「霧の団」の頭領として、王族に抵抗しています。
しかし、煌帝国(こうていこく)の傀儡となったアブマドはアリババや国民の声を無視します。

アリババは自分の無力さを思い知りますが、
そんな彼を「七海の王」と呼ばれるシンドバットが導きます。
シンドバットの国、シンドリアはかつてよりバルバットと友好関係にあります。
しかし、バルバットの窮状を知るに至って、シンドバットはアリババに期待を寄せます。
仮に金属器の力の使い方を教え、挫けそうになるアリババを叱咤激励します。

そうして、金属器の力を使いこなす術を身につけたアリババは、
単身、王宮に乗り込んで行きます。
そして、終にはアブマドの退位を勝ち取ります。

しかし、アリババは自分が王になる事を固辞します。
彼はバルバットの王政を廃止し、共和国国家の樹立を宣言します。

政略結婚と引き換えに、バルバットの領民を所有する条約を締結する為に城に居た煌帝国の王女に
アリババはこう宣言します。

「バルバット王国は存在しなくなったのだから、条約は無効だ。」
「借金は今は返せないが、海運の要衝にバルバットが将来的に生み出す富が、
ひいては煌帝国の利益になるであろう」・・・と。

これには、シンドバットも驚きを禁じ得ませんでした。
まだ、若造とばかり思っていたアリババが、煌帝国と対等に渡り合って、そして勝ったのです。

そしてアリババは王政廃止に躊躇する国民にこう問います。
「国王の圧制から家族の生活を守ってきた皆は、既に小さな共和制を守って来たのではないか?」

■ 子供番組と侮るなかれ ■

最近の日本に漫画やアニメは、子供達に必死に何かを伝えようとしています。
それが、表面的な民主主義の押し売りであったとしても、
現実の世界の矛盾を、子供達にも分かるように工夫しています。

「面白ければイイ」と割り切るジャンプに対して、
サンデーの編集者は、漫画の持つ別の力に面に注目し、
そしてそれを作品作りに生かしています。

それは、「分かり易く何かを伝える力」という漫画やアニメの最大の力です。
(洗脳にも便利ですが)

大人が「当然」と受け入れている「世界情勢」を、
子供に分かる形で提示する事で、
「世界が抱える問題」に一歩深く、踏み込む事に成功しています。

■ 少年マンガとしての、ワクワク、ドキドキも忘れてはいない ■

主人公達が、「脳内筋肉」で思考しない事は、ジャンプとの大きな違いですが、
「マギ」が少年マンガとしての魅力を欠く事はありません。

キャラ立ちも良く、女性キャラクター達も魅力的で、
そして、敵キャラもミステリアスです。

物語はまだまだ序盤ですが、これからどんな人達が登場し、
アリババがどう成長していうのか、興味深い作品です。

小学館の本気がヒシヒシと伝わる良作です。
尤も私は、毎週モルジアナの健康的なフトモモ目当てで見ているだけですが・・・。


こんな表情もカワイイ・・・。




ところで、原作組は、アニメは飛ばし過ぎだと批判的です。
しかし「バルバット編」は大人が見ても見ごたえ充分で、
これに注力する為に、前段は飛ばし気味であった事が伺えます。
これを許す当たりも、小学館的とも言えます・・・。


■ 2013年、春アニメは全滅?! ■

2013年春アニメは、ほとんど全滅状態です。

『僕は友達が少ない』は、劣化が著しい・・・。
『ささみさん@がんばらない』と『ビビット・オペレーション』もオジサンにはキツイ・・。

前期から継続の『マギ』と、
盛り上がるかと思えば、盛下がる『ロボティクス・ノーツ ROBOTICS;NOTES』が、楽しみとも言えます。

ROBOTICS;NOTESも「三百人委員会」などという言葉が飛び出すなど、
「陰謀論」的に、いささか物騒な作品です・・・・


『PSYCHO-PASS 』は?と聞かれそうですが、普通に面白い。
ただ、普通を超えない・・・・。
あの手の「管理社会」ものは、いささか古臭さを感じます。


まあ、正月早々『ココロコネクト』と『猫物語』という2大プレゼントを頂いたので、
多少の事は我慢出来ますが・・・・。

『傷物語』の劇場公開を楽しみに待つとしましょう・・・。

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5 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (まる暴3)
2013-01-15 05:49:14
こんにちは、遊びに来ました。

うーん、意外性のある人なんですね・・・(^^)

面白いものを見つけたので見てください!
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0557.pdf
返信する
Unknown (人力)
2013-01-15 09:22:29
まる暴3 さん

ようこそ、陰謀論の世界へ!!
今後とも宜しくお願いします。

紹介いただいた資料、後でじっくり見てみますが、冒頭からこんな文章が目に付ました。

「想定金利を18 年度の2%から2.3%に引き上げ、利払費を18 年度より8,662 億円多い9 兆5,143 億円計上している。1%の金利上昇が国債費を1.6 兆円増加させることを考えると2、今後の金利動向には十分注意を払う必要があ 」

景気回復による税収増加と、国債金利の上昇を両方をにらんだ経済運営が必要になりという事ですね。現状は対確か、借換債が確か160兆円、新規発行が40兆円になるとすれば、1%の金利上昇による利払い費の増加は、2兆円。この程度ならば、税収増によるプラス効果が上回りますね。ここらへんは「ひろさん」もかねてから主張されている事ですね。

問題は日本社会そのものが持つ生産性や成長力がどのくらい維持されているかどうかだと思います。2006年から12年が経過しています。多少為替が円安に振れた所で、韓国や中国も輸出競争力を付けて来ていますから、外需が大幅に増加する事は無いのではないでしょうか?この間にむしろ製造業は海外移転を続けているので、携帯電話に限らず、製品輸入は増えています。ここ等へんの円安による好まざるインフレ圧力が経済にどの程度のブレーキになるかも心配です。

さらに、国内の雇用がどれだけ回復するかが大きなポイントになるかと思われます。増え続ける老人世帯の支出はそれほど増加しませんので、労働者の収入がどれだけ財政出動の波及効果で増やせるかがポイントですね。

アベノミクスは色々と興味深い経済実験ですが、陰謀論的には「日銀の外債購入」あたりに注目しています。今年あたり、日本に先だってアメリカが景気回復にチャレンジしそうですが、はたして金利上昇を上手く抑制できるかFRBのお手並み拝見といった所でしょうか?
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Unknown (人力)
2013-01-15 11:48:07
算数を間違えました。

2006年(平成18年)からは未だ7年しか経っていませんね。
返信する
Unknown (まかり通る)
2013-01-17 15:52:54
しかし人力さんという人間は非常に天の邪鬼な人だ(笑)

円高だった時は日本の経済環境において通貨高は致命的だと言ってませんでしたっけ?w
グッチさんが円高信奉者で、それについて人力SUMMERは否定的な意見を述べてた印象がありますが。

よーするに常に野党的な批判精神に溢れておられる方なんでしょうね。
まぁでも円安で景気回復とかありえないでしょう。
小泉の時のいざなみ景気と同じで仮に輸出企業は儲けが出ても庶民には下りてこないし。でもそれが資本主義の本質なんだよね。イス取りゲーム。
菅さんの「最小不幸社会」の方がよほど異質で。

でも仏のオランドは「最小不幸社会」を目指しているようにも思えなくもないですけどw
これも人力流でいえば欧州Empire建設の為にワザと、と言ったところですか?
返信する
Unknown (人力)
2013-01-17 17:07:05
まかり通る さん

お察しの通り、右と言われると、左を向く性分です。

私は現在のドル/円相場は60円代でもおかしくないと思っています。ドルはまだまだ過大評価されていると考えています。その意味において、GUCCIさん達の金融畑の人達の、海外投資を誘導する為の円高歓迎論には抵抗を覚えます。

一方、日本国債の継続性を犠牲にして、円安に誘導するアベノミクスにも危険性を感じます。一歩間違えば過度の円安によて、スタグフレーションに突入します。

その意味で、私は白川総裁のエレガントな不景気政策が、実は継続性が一番高いのでは無いかと邪推しています。生かしもせず、殺しもせず、ただ賃金低下と差し引いた実質のインフレ率を1%程度に上手く乗せていtがのではないかと思います。これが、給与所得者と、年金生活者の両者に、適度に優しい状態であったのでは?

この微妙なバランスが崩れると、円高では外需産業が総崩れとなり、円安ではスタグフレーションで国民の生活はむしろ苦しくなる。輸出企業の収益は回復しますが、増収の多くは配当と内部保留、そして早期退職の様なリストラ費用に消えてゆき、現役労働世代の所得増加は後回しとなると思われます。

当然、内需の回復は微増程度で、財政拡大のデメリットに見合いません。ただ、上手くバブルを形成した場合は、株式市場と不動産市場が一時活気付くかと思います。しかし、プチバブルの崩壊で、その後の景気にむしろ悪影響を及ぼすと思えます。

私個人としては、バブル崩壊以降、ずっと低迷する建設業界の末席に居ますので、そろそろ不況にも辟易しています。回復が困難であるのなら、崩壊は早い方が日本の為かとも思っています。だから、ネジレタ安倍政権支持者です。歴史の変換点を目の当たりにしたいという好奇心に購えません。

ただ、「王様は裸だ」と叫ぶ役も嫌いでは無い、単なる世間知らずなガキだと判断して下さい。
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