■ 米軍再編(トランスフォーメーション) ■
トランプのメキシコの壁建設費用に国防総省の予算を振り返る代りに、在外米軍の予算の一部を駐留国に負担させるという話が持ち上がっています。
沖縄の嘉手納基地の施設建設費や、グアムの海兵隊施設の建設費の一部を日本に負担させるというものです。尤も、日本は海兵隊のグアム移転の費用の一部(学校やインフラなど)を元々負担していますので、さらなる負担を求めて来た事になります。
ところで、「海兵隊のグアムへの移転」という話は新聞などにも載っていますが、何故移転するのかという事を知らない人が多い。
◆ 米軍の再編計画 ◆
1) 東西冷戦の終結により米軍は中露の近くに大兵力を駐留させる必要が薄らぐ
2) 冷戦の終結は地域の均衡を失わせ、地域紛争が世界に拡散した
3) アジアから中東に至る「不安定な弧」と呼ばれる地域への即応力が求められる
4) テロなど「不均衡な戦争」にも対応しなければならない
5) 1980年代から始まった兵器の更新によって米軍の展開能力が高まった
6) 地上兵器の軽量化によって航空輸送による展開が可能になった
7) 沖縄の海兵隊の一部はグアムとオーストラリアに移転させ中東への即応力を高める
東西冷戦の終結によって始まった「米軍再編」ですが、当初は在韓米軍は2014年までに撤退、沖縄海兵隊19000人の内、9000人が2014年までにグアムとオーストラリアに移転予定でした。
■ 中国の軍事近代化と移転計画の変化 ■
国防総省のシンクタンクであるランド研究所は2015年に「米中軍事スコアカード/1996~2017年にかけて変化する戦力、地理および力の均衡」という報告書を発表します。
中国軍の近代化によって、アジアにおける米中の軍事的パワーバランスがどう変化したかを、具体的な戦闘シミュレーションによって分析したものです。
1) 中国軍の兵器の近代化は目覚ましいものがある
2) 中国軍は中国の直近において既に米軍と拮抗する兵力を持ちつつある
3) 中国軍の初期攻撃能力(ミサイルなど)の向上は米軍への充分な脅威となる
4) 2017年時点で日本・フィリピンに数百発、グアムに数10発のミサイルが到達する
5) 中国が嘉手納基地に108又は274発のミサイルを集中発射すれば
滑走路に50mの穴を2か所開けられる
6) 上記攻撃により、嘉手納基地は16~43日、飛行機の離着陸が出来なくなる
■ 遅れる米軍再編 ■
当初2014年に計画していた沖縄の海兵隊9000人の移転と、在韓米軍の撤退ですが、計画は遅れています。
東アジア情勢の変化も原因ですが、グアムの基地建設が遅延している事も原因とされています。トランプ大統領が外国人の就労ビザの発行を規制した為に、フィリピン人労働者がグアムで確保し難くなった為です。
一方、米議会も厳しい予算状況の中で、グアム移転の予算膨張を懸念して予算の執行を止めたりしていました。さらには地元グアムの住民の移転反対運動も盛り上がります。
米軍はグアム議会に対して、移転は2025年の会計年度に実施されると説明しています。
■ 海兵隊を米国本土に移転しても問題無いとするランド研究所の報告書 ■
米国防省のシンクタンクであるランド研究所は2019年に、次の様な報告書を提出しています。
沖縄海兵隊19000人の内、第31海兵遠征部隊2000人を除く人員を米本土に移転しても戦力に問題は無い
グアムどころかアメリカ本土です・・・。
中国の弾道ミサイルはグアムにも数十発到達します。仮に米中が衝突した場合、中国の初期攻撃によってグアムの基地機能も重大な影響を受ける可能性を考慮したのかも知れません。巨額の予算を割いて海兵隊をグアムに移転させても意味が無いと・・・。
ランド研究所の報告書が、即米軍再編に変更を促すものでは有りませんが、長期的には何等かの影響を与えます。
ちなみに第31海兵遠征部隊とは強襲揚陸停で適地の沿岸部の一部を占拠する部隊で、米中が戦闘状態になった場合に、中国や韓国のアメリカ人を救出する役目などを負います。
■ 韓国や日本は既に米軍では守れない ■
ランド研究所の報告を見る限り、米軍は中国の近接地域での軍事的優位性を既に失っています。米軍再編計画では2014年に在韓米軍が撤退する予定でしたから、韓国は既に「見捨てられた」とも言えます。実際に、北朝鮮国境から中国軍が大挙して押し寄せた場合、在韓米軍は撤退を余儀なくされます。
未だ実行されていない在韓米軍の撤退ですが、韓国国内ではソウルなど国境に近い基地が閉鎖され、国境から南に離れた基地に戦力を集結しています。これは、いつ戦争になっても直ぐに撤退出来る準備とも受け取れます。
在日米軍基地は在韓米軍程は直接的な脅威に晒されていませんが、ミサイルによる初期攻撃によって無力化されてしまうので、抑止力は相当に弱まっています。
■ 「人質」として米軍の駐留を切望する日本政府 ■
「在日米軍は不要」と考えている日本人は多いと思いますが、米軍の駐留を切望しているのは日本政府です。
仮に在日米軍が撤退してしまえば、将来的に中国が日本を攻撃するハードルが大きく下がります。しかし、在日米軍が居る限り、中国とて、おいそれとは米軍と戦闘を開始する訳には行きません。
ですから、現在の東アジア情勢において、在日米軍は「人質」とも言える存在です。
米軍自身は海兵隊の空港が普天間に有ろうが、辺野古に有ろうが、中国のミサイル攻撃の脅威に晒される事に変わりは無く、辺野古基地が完成する頃には、海兵隊は沖縄から撤退している可能性が高い。
それでも日本政府は浮気亭主にしがみ付く古女房の様に、在日米軍にしがみ付くしか無い・・・。
お花畑左翼も、ネトウヨも直視していない現実なのです。
元々中華人民共和国と北朝鮮はアメリカが支援して作った国だし
朝鮮戦争は八百長戦争でわざわざ負けてやったし
そもそも中国が外国と戦って勝った事は一度も無いのですね:
秦の始皇帝が初の国家を作ってから、その領土を守っているだけで、対外戦争で勝った事はほぼない。
モンゴル帝国は強かったが、あれは「モンゴル」が植民地にしたので、中国は植民地側でした。
局地的には朝鮮半島で勝利を得たりしているが、必ず朝鮮の統治者に追い出されています。
ベトナムなどインドシナ半島には何度も侵攻しているが、やはりほとんど勝った事が無い。
台湾にすら負け、日本軍にはコテンパンに負け続け、何度も植民地になっています。
清国はイギリスとの戦争に負けて植民地化したが、その清国がそもそも中国を植民地化し征服した国です。
清国は女真族といい、いわゆる中国人とは別の人種で、満州人、満州民族とも言います。
だから辛亥革命で清国を倒したとき、中国人たちは異民族による植民地支配が終わったと言って喜んでいた。
さらにその前には、「中国人」とは北京周辺に住む黄河文明起源の人たちの事で、長江周辺の長江文明とは別な国だった。
今日「中国が発明した」と言っている文字とか火薬とか印刷とかは、ほとんどが長江文明の発明で長江こそ先進地域でした。
黄河文明はただの植民地、蛮族という位置づけで日本や半島と比べても先進地域ではなかった。
この黄河文明起源の「現在の中国人=漢民族」は粗野で教養が低く、戦争に弱いという特徴を持っています。
中国という国は無く、中国と呼ばれる地域の様々な王朝というのが正しいですよね。
中国が戦争に弱いというのは、国民が国家の為にどれだけ命を捧げる意思があるかによるのでしょう。清が弱かったのは、清が「近代国民国家」という枠組みを持っていなかった為で、徴兵された清の兵士達は、命に危険が及ぶと我先に戦線から逃げ出した。
では、現在の中国はどうかと言えば、巨大なイデオロギー国家ですから、強制的であれ国民の国家への忠誠心は高い。こういう国が調子に乗ると強い。まさに、戦前の日本みたいなものです。
尤も、米中の直接戦闘は中東で起きても、極東では起きないと思います。米中が部分的に戦闘状態になれば、中国に近すぎて戦闘拡大の要因となる在日米軍は撤退するでしょう。
一方、私は陰謀論者ですから、世界の緊張が「作られたリアリティー」の上の成り立っていると妄想します。
庶民が働いて国家に税金を納めるのは、国家が国民の生命と財産を守ると信じているから。近代国民国家を維持する為には「外敵」を常に用意する必要が在ります。
さらに、それによって軍事産業などが潤い、科学が進歩する。そして、時には経済を破壊し、又、時には経済発展を促す原動力ともなります。
ところで、仮に現在の中国が日本と戦争をしたらどうなるか・・。ミサイルなどの遠距離打撃力を持たない日本は、一瞬で軍事拠点を破壊されます。現在、ミサイルの飽和攻撃に対抗する手段は無く、故に在日米軍という人の盾が必要になります。
中国とアメリカとの戦争はどうかと言えば、中国にロシアが加勢すれば、米 VS 中ロは、ハワイ・グアムラインを境に拮抗する事となります。残念ながら日本は中ロの勢力圏に取り残されます。
まあ、裏ではズブズブの世界ですから、単純のパワーバランスが勢力圏を決定する訳では無いのですが、在日米軍を撤退するぞと脅せば、日本から幾らでもお金を貰う事が出来る米国は、この美味しい状況を簡単には崩しません。
警備員を雇ったら、警備員が強盗だった・・・。それでも、隣のヤクザからは守ってくれると我慢していますが、警備員も同じ組のヤクザだった・・・。