■ 両方の肺が同時に肺炎を起こして重症化する新型コロナウイルス ■
新型コロナウイルスによって少数ですが若い方も重症化します。若年層の重症化で特徴的なのは「両方の肺が同時に肺炎を起こして呼吸困難に陥る」ケースが多いという点です。
一般的や風邪やインフルエンザなどで起こる肺炎は片肺のケースが多い様で、肺炎を起こしていないもう片方の肺で酸素の取り込むが出来るので呼吸困難が重症化する事は在りません。しかし、新型コロナウイルスでは両方の肺が同時に肺炎になるので、酸素吸入が必要になる。
従来のインフルエンザなどでも、両方の肺が同時に肺炎になるるケース稀に発生し、免疫系の疾患を持つ患者に多いそうです。
■ 新型コロナウイルスの重症者に多い糖尿病 ■
新型コロナウイルスの重症者の多くが高齢者と糖尿病などの基礎疾患を持つ方々です。
1) 高齢者など免疫機能の低下した高齢者
2) 糖尿病・高血圧・心疾患、脳血管疾患のある方
高齢者など免疫機能の低下した方は、新型コロナウイルス以外の様々な感染症で重症化するので、検討から除外します。
では、糖尿病・高血圧・心疾患・脳血管疾患を持つ方は何故重症化し易いのか。ここで注目すべきは「糖尿病患者には高血圧や心疾患や脳血管疾患を併発する患者が多い」という点です。
実は糖尿病は循環器系の疾患の原因になっており、高血圧や心疾患(環状動脈系)や脳血管疾患を引き起こしているのです。
■ 自己免疫の暴走(サイトカインストーム)を起こしやすい新型コロナウイルス ■
実は新型コロナウイルスによる肺炎で特徴的なのは、肺の組織が線維化して起こる間質性肺炎が見られる事で、これは新型コロナウイルスに限らずインフルエンザなどウイルス性肺炎でも発生します。間質性肺炎は過剰免疫反応の一種で、肺の細胞を自分の免疫が攻撃する事で発生します。
インフルエンザで若い方が重症化する場合特徴的なのは、自己免疫の暴走による「サイトカインストーム」です。人体はウイルスなどの侵入を検知するとサイトカインというタンパク質を生産します。サイトカインは受容体の一種で、これにより免疫反応が高まります。しかし、稀にサイトカインが過剰に生産され、自分の細胞を攻撃する事が有ります。これを「サイトカイン・ストーム」と呼びます。体の様々な器官の細胞が攻撃され、最悪死に至ります。
実は先に取り上げた糖尿病ですがⅠ型とⅡ型に分類されます。
Ⅰ型・・・自己免疫の異常によりインスリンを分泌する膵臓の細胞が攻撃される
糖尿病患者の5%程度。
Ⅱ型・・・長年の飲酒や過剰な糖分摂取によってインスリンの分泌低下が起こる
Ⅰ型糖尿病は自己免疫疾患の一種ですが、遺伝性の疾患なので若い方でも発症します。この様に自分の細胞を免疫系が攻撃して発症する病気を「自己免疫疾患」と呼びます。
新型コロナウイルスでは自己免疫疾患が患者は重症化する可能性が指摘されていますが、自己免疫疾患の方の重症化の原因は二つ推測されます。
1) 自己免疫疾患を発生させる因子が新型コロナウイルスと相互作用して
サイトカインストームを誘発する
2) 免疫抑制剤の服用によろ、新型コロナウイルスへの免疫を低下させる
ごく少数ではありますが、健康な若い方が新型コロナウイルスで重症化するケースでは1)の遺伝的因子によるサイトカインストームの発生を私は疑っています。これは新型コロナウイルスに限らず、一般の季節性インフルエンザウイルスでも発生しますが、新型コロナウイルスでは、その発生確率が高いのかも知れません。
■ 一般の若い人は、インフルエンザよりも軽症の気がする ■
新型コロナウイルスで高齢者が重症化し易いのは、新しいウイルスで免疫を持っていない為で、この事が新型コロナウイルスの致死率を高めています。これはワクチンの開発により来年以降は抑制されます。
一方、免疫系が正常に働く若い方では、先に挙げたサイトカインストームを除けば、軽症者が多いと言うか、ほとんどの方が微熱や軽い咳などの症状か、症状すら出ない不顕性感染だと思われます。
新型コロナウイルスの感染力がインフルエンザ並みだとすると、日本国内で既に「それなりの数の感染者」が居るハズですが、身近で罹った人の話を聞きません。「検査をしてくれない」というのも一因では有りますが、少なくとも武漢の様に重症者が大量発生している印象は受けません。
まだまだ謎の多いウイルスですが、毒性に関して過度な警戒は必要無いと私は考えます。ハイリスクと思われる心疾患や自己免疫系の疾患を持つ人以外は。