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介護保険は既に破綻している・・・増えすぎた老人問題

2019-09-02 06:09:00 | 時事/金融危機
 

本日は少々不謹慎な内容も有るので、不快に思われた方は読むのを止めて下さい。



■ 「増えすぎた老人」問題 ■

「少子高齢化」とか「超高齢化社会」という言葉を聞くようになって久しいが、これは問題の本質を見え難くする言葉です。

私は「過剰老人社会」とか「増えすぎた老人問題」と言った方が問題の本質が見え易くなると考えます。例えば、自然界で鹿が増え過ぎて山林を荒廃させれば「鹿が増え過ぎた」と表現されます。同様に、今日本の社会を脅かしているのは「増えすぎた老人」だという認識を国民は共有すべきです。


■ 高齢者への過剰な医療サービスが「増えすぎた老人」問題の元凶 ■

では何故日本で老人が増え過ぎたのか、その原因は高齢者に対する手厚い保険医療です。

欧米の先進国では高齢者が癌になっても内服薬の処方程度に留め、癌が進行すれば緩和ケアーが治療の中心になります。

痴呆の高齢者が自分で食べ物を食べられなくなっても胃ろうなどの強制的な栄養供給はせずに、徐々に衰弱死する事を「天寿」と捉えています。胃ろうは「老人虐待」と考えられています。

高齢者の肺炎も同様に、抗菌剤による治療は控えられます。自己免疫が低下しているので、抗菌剤で一時的に回復しても、又直ぐに肺炎を起こすからです。一方、抗菌剤の投与は高齢者に苦痛を与えます。

この様に「天寿」という概念が確立している先進国の多くで、過剰な高齢者医療は控えられています。ところが、日本においては高齢者は保健医療で手厚く保護され、天寿を越えて生かされるケースが多い。

■ 「負の連鎖」を加速させる「増え過ぎた老人」 ■

年金や介護保険に限らず、高齢者の増加は若者の生活や、日本の成長力の重しになっている事は高齢者も理解しています。

一方で「増えすぎた老人」が高齢者自身の生活を脅かしている事には気づいていません。実は介護保険制度は年金制度よりも先に破綻し始めています。

1) 介護保険料の自己負担は2015年の改定で1割から2割に増えた
2) 特別養護老人ホームの入所資格は2015年の改定で要介護1以上から3以上になった

高齢者も負担する介護保険ですが、受給者の増加によって自己負担が増え、一方で受けられるサービスが制約され始めています。

寝たきりの要介護4や要介護5の方の介護は手間が掛かります。これはお金が掛かるのと同義です。結果的に寝た切りの老人が増えれば増えるだけ、介護を必要とする軽い痴呆や、歩行困難な高齢者へのサービスが減らされて行きます。

介護保険の自己負担率は今後3割になるでしょうし、要支援や要介護1や2の高齢者への介護サービスの質は低下する事は確実視されています。

福祉先進国と言われる国々では、ほとんど寝たきりの高齢者が居ません。寝たきりになる前に老人が亡くなるからです。これは、高齢者への無駄な医療を控えた結果です。結果的に、寝たきりになる前の高齢者のライフクオリティーが向上します。

日本の医療介護制度は、この逆です。寝たきりや、回復の見込みの無い患者への医療介護負担が、普通の高齢者の生活を脅かしています。

■ 「医者の使命は患者を救う事」という錯覚 ■

「病院は急性期の治療が済むと追い出される」・・・最近、同年代の知り合いと話していて良く会話の登る話題です。

高齢者医療の財源もキビシクなっていますから、病院経営も当然キビシクなっています。急性期の治療は高額な医療が期待出来ますが、回復期の治療は割りが合わない。それならば、急性期の治療が終わった患者は、さっさと退院させたい・・・これが病院の本音です。経営の問題ですから私はこれが悪いとは思いません。

問題は、後期高齢者が入院して来ても「治療」してしまう点に有ります。経営的に「治療=利益」になるからです。倫理的にも「医者は患者の命を救う存在」というナイーブな通念に日本の医者は未だに縛られています。

■ 「痴呆」と「寝たきり老人」を量産する日本の高齢者医療 ■

医療保険の制約によって、中途半端に治療された高齢者が介護施設に押し付けられるケースが増加しています。

1)自力で歩行出来ない高齢者が介護施設に入所する
2)個室で一人で生活する時間が多いので痴呆が進行する

こうして、介護施設に寝たきりの痴呆の老人が溜まって行きます。


■ 個人に「選択肢」は無かった・・・ ■

日頃、「老人が増え過ぎた」と考えている私ですが、先日父が骨折した際に「患者側には選択肢が無い」事を痛感しました。

6月の末に、道で転んで腰の骨を二か所骨折しま父ですが、男性には珍しいのですが、骨粗鬆症が進行していた。

近くの整形外科に救急車で運ばれ入院する事となりましたが、直ぐにソーシャルワーカーの方に「自宅で介護出来なれば直ぐに介護施設を捜して下さい」と言われました。

病院の治療計画は、入院治療の機関は2か月でした。点滴により骨粗鬆症の治療(多分、破骨細胞の働きを抑制する薬?)と、簡単なリハビリで退院となります。「84歳では回復期のリハビリ無理でしょう」と言われました。要は「車いすの生活になります」宣言。

実家は外出には階段移動を伴うので、歩行が困難になるとデイケアなどの利用が出来ません。仕方なく、有料老人ホームを捜す事となりました。

「寝たきり」の原因は突然訪れますが、家族に選択肢は殆ど有りません。在宅介護が不可能な場合は、短期間で介護施設を捜す事に忙殺されます。

本質的には老人が減れば問題は解決すると分かっていながらも、個人の問題としては「治療しないで下さい」とは言えないし、「自宅でオムツを当てて寝かしておきます」とも言えない・・・。

そして「老人ホームに入れるならば、同じ金額ならば少しでも環境やサービスの充実した施設を選びたい」と考えるのも人間の性。自宅で介護してあげられないという負い目も有ります。


■ 驚異的な回復力で老人ホーム生活を満喫する父・・・ ■

ところで父ですが、2か月経って退院する時には、杖も突かずにトコトコ歩いてました。これには病院も老人ホームもビックリです。一人で勝手にトイレに行くので、ホームは手を焼いている様です。


入所して1週間が経つので老人ホームに様子を見に行くと、楽しそうに麻雀をやってました・・・。「ああ、もったいな、このハイを捨てなければ役だったのに!!」なんて楽しそうにしています。

入院前まではボケていたのに、入院後はすっかり頭もシャッキリしています。「車椅子、レンタルと購入のどっちが良いかな」って聞いたら・・・「オレは歯も全部自分の歯だし、胃腸も丈夫だからあと10年は生きると思うんだ。レンタルだと結果的に高くなるから購入の方が良いかも知れない。」と言い出した・・・・。どこがボケているんだろう・・・。

自分でスタスタと杖も無く歩いているから、車椅子は不要になりましたが・・・・オヤジ、オレよりも長生きしそうだ・・・。


これが究極の「高齢者問題」かも知れない。