■ 「野党はだらしない」のでは無く、自公の安定多数が「最強」なのだ ■
ネトウヨに限らず、良識的な有権者も口にする「野党はだらしない」という言葉。確かに、これだけの疑惑を証明するネタを突きつけながら、安倍政権を打倒出来ない野党を不甲斐なく感じる人は多いでしょう。しかし、国会で安定多数を占める自公連立政権が「開き直る」限り、野党がこれに対抗する手段を持ちえません。
国会が多数決を基本とする限り、現在の自公を倒す事が出来ない。
1) 内閣不信任案を提出しても「否決」される
2) 安倍夫人や加計氏の証人喚問を要求しても与党が受け入れない
3) 安倍首相や麻生財務大臣のふざけた答弁を指摘しても、議決に何ら影響を与えない
■ 「勝馬に乗る」優越感が安倍政権を支えている ■
冷静な目で現在の国会の質疑を見ると「これが民主主義国家で、先進国の国会なのか?」と驚きを隠せません。政府側に誠実に答弁する姿勢が全く無いからです。
1)関係の無い答弁で時間を稼ぐ
2)質問者をバカにした様な言動で「はぐらかす」
3)「国会がお決めになる事」と逃げる
4)「詳細が明らかになるまで」「膿を出しきるまで」といいつつ隠蔽を繰り返す
本来ならば、こんな誠意の欠片も無い答弁には嫌悪感しか覚えないのですが、少なからぬ国民が安倍首相や麻生財務大臣に敵わない野党議員を見て「優越感」を感じている。
これ「勝馬に乗る」という表現が相応しいと思うのですが、社会で「成功」や「優越」と無縁の人間は、自分より下の人間を見下す事で「安易な優越感」に浸る傾向が強い。これは「劣等感」の裏返しです。
社会的成功者は劣等感を自らの向上心の糧にしますが、社会的弱者は劣等感を安易な方法で誤魔化そうとします。実はこれは「学力」や「知性」にはあまり関係無く、その人の性格によるものが大きい。「向上心」の強い人は成功する確率が高くなり、弱い人は成功する確率も低くなります。
しかし、いくら向上心が高くとも、成長力の低下した社会での「成功」は「限定的」で、成功の確立も低くなります。現在の日本がその状況で、人々は多くを望む事で失望するよりも、「ささやかな満足」をチマチマと集める事を好みます。この「ささやかな満足」の中に「相手を見下す事で得られる優越感」が含まれていると私は感じています。
これが今の自民党政権を支えている「時代の空気」の正体です。
■ 「嫌中嫌韓」で誘導された国民 ■
ネトウヨに限らず現在の日本の多くの人が、中国人や韓国人を嫌っています。電車の中で大声で話す彼らの姿は日常的な光景になりましたし、都心や観光地ではしゃぐ彼らの姿も良く目にします。
私などはガラスの割れたスマホを操作しているキレイな日本人のお姉ちゃんを見ているよりも、元気な彼らを眺めている方が、日本が元気だった時代を思い出してパワーを貰えるのですが、一般的にはそうでは無い様です。
「嫌中嫌韓」の源は「SAPIO」などの保守系雑誌や、「ゴマニズム宣言」のブームに端を発しますが、そのルーツは「修正史観」にあります。戦後日本の「自虐史観」の反動としてニュートラル戦前戦中のアジアと日本の関係を捉えなおそうという思想そのものは悪くは有りませんが、それに中国や韓国が反発した事で、双方がお互いを挑発し合う様になります。
始めは歴史家や保守論壇と中韓の応酬でしたが、だんだんとそれが一般市民にまで広がり始めます。中韓は国策として「反日教育」をエスカレートさせ、そんな中韓を援助する政府の姿勢に国民が反感を持つ様になります。
この反感の根底には、日本の援助によって経済発展する中間への捻じれた羨望があった様に漢字ます。バブル崩壊以降の日本の閉塞的な空気の捌け口として、「嫌中嫌韓」がマッチしたのでしょう。
これに目を付けたのが自民党の世耕氏らです。ネトサポと呼ばれる集団を組織して、「中国や韓国はケシカラン」という情報を盛んに発信します。日常に不満を持つ若者達が、先ずコレに飛び付きます。そして、彼ら自ら、ネットに情報を発信し始めます。
世耕氏らはさらに、「中国・韓国・北朝鮮に妥協しない安倍晋三と自民党」というイメージを拡散します。安倍氏らも、そのシナリオに沿った言動を繰り返しました。
「現実に不満」を持つ人々は、いつしか安倍氏に自分達の希望を見出す様になっていきます。
■ 「民主党の失敗」の反動 ■
第一次安倍内閣は一部の人達の熱狂とは裏腹に、国民の人気は尻すぼみとなります。中国、韓国、北朝鮮に強気の姿勢を示す一方で、拉致被害者の奪還という実績を挙げられず、さらに景気回復の決定打も欠いた政権に人々は失望しはじめます。
「若いリーダー」と期待された安倍首相ですが、オトモダチ中心で構成された重量感の無い内閣は、「消えた年金問題」がエスカレートする中で立ち往生します。最後は北朝鮮問題でアメリカに梯子を外された(米国が対話路線に切り替えた)形で、安倍首相は健康を理由に政権を放棄します。
自民党は麻生内閣の時に民主党に政権を奪われます。その原因は麻生氏が漢字を読み違えたからでは無く、単にリーマンショックで日本国内の景気も低迷し、円高によって輸出企業の業績も不振に陥ったからです。多くの企業がリストラを進め、若者の就職率は急激に低下します。
国民は安倍内閣崩壊以降の自民党政権を「不甲斐ない」と感じていました。そして「政権交代」を望み、民主党に希望を託します。
しかし、民主党は「沖縄問題」で鳩山内閣が躓き、その後を継いだ菅内閣の時に東日本大震災という「天災」に足元をすくわれます。「原発事故」という不運も重なって、民主党の支持率は大きく下がり、野田内閣は最初から負けると分かっていながら解散総選挙を選択します。
現在の自民党支持者の多くが「民主党政権は酷すぎた」と当時を振り返り、それに比べて安倍政権はマシだと評価します。しかし、リーマンショックと大震災のダブルパンチを受けたら、どんな政権とて、まともな政権運営は不可能です。
リーマンショックの回復期で、行き過ぎた円高の是正時期に政権に返り咲いた安倍首相はラッキーなのですが、安倍支持者の多くが「環境」を無視して「結果」のみを評価します。尤も、政治家の評価は「結果」に付いて来るのですから当然ではありますが。
結局、今の安倍政権を支えているのは「民主党政治への失望」なのでしょう。
■ 自己暗示を解いて今の国家を見てみよう ■
私は安倍首相を未だに支持する方達にこう提案したい。
「自己暗示を解いて、国会中継を冷静に眺めてみよう」
1)「勝馬に乗る」という優越意識を捨てて安倍首相の答弁を眺める
2)「野党はだらしない」「野党は中韓の手下」という先入観を捨てて野党の質問を眺める
さて、どんな景色が見えて来るでしょうか?
■ 昨日の共産党の小池議員の質疑だけでも普通の政権は倒れる ■
昨日の予算委員会の集中審議で、共産党の小池議員が、「理財局と航空局の密談」の内容を暴露していましたが、この内容だけでも普通の政権は簡単に崩壊します。
普通に考えればモリカケ問題発覚以降、安倍政権は数回は政権崩壊を起こしてもおかしく無い状況ですが、国会での自公の安定多数によって、政権は見え透いたウソや、隠蔽を繰り返しながら現在まで永らえています。
これをして「国民をバカにしている」と思わない国民は頭のネジが相当外れている事を自覚するべきでは無いか?
「誰あ首相をやっても安倍首相程は上手く行かない」という意見は確かに正しいのかも知れませんが、それでも「国会や国民を舐め切った安倍首相」の答弁を見る事に私は限界を感じています。
昨日の「委員が作られたストーリー」という発言、たまたまネットで中継を見ている時に飛び出しましたが、一国の首相が国会の場で口にすべき言葉では無いですよね。これが見事な論理やディベートで相手議員を言い負かすならば、拍手の一つも送りたくなりますが、小学生並みの答弁ですから・・・・日本人として・・・萎える。
■ 「飲食の供与」で贈収賄を狙うのは、事を矮小化する悪手 ■
尤も、私は野党の攻め方も問題が有ると思います。ゴルフや食事の場での「飲食代の供与」で買収される政治家も秘書官も居る訳が有りませんから。
確かに国家公務員の倫理規定には抵触するでしょうが、国民は「なんんてチンケな問題で追及しているんだ」、「モリカケ問題って、食事の供与程度の不正しかしてないじゃん」って誤解してしまいます。
野党はあくまでも、加計学園の工事費水増しによる補助金詐欺を追及するべきであって、こちらの方が立証が容易です。設計図で再見積もりすれば済む話ですから。
そうすれば、不適切な教育機関を無理筋で特区に押し込み、今治市や愛媛県、そして地方交付金を通じて国民の税金を加計学園に投入した怒りが、国民に共有されるハズです。
確実に加計学園の不正を立証できる一手を敢えて使わない野党は、安倍政権と同じ穴のムジナなのだと陰謀論者の私などは妄想してしまいます。