人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

不安定化する市場・・・予測不能の動きを見せ始めた

2016-03-03 06:27:00 | 時事/金融危機
本日も雑感的メモ。


一昨日のアメリカ、昨日の日本と、低下し続けていた国債金利が急激に反発しています。まあ、これが危機に直結する訳では無いのですが、国債を始めとする債権金利も下がり過ぎれしまうと市場参加者にとっては金利上昇時のリスクが増大します。

世界経済的には日本国債の金利などは余り眼中に無く、米国債金利の動向に神経を尖らせています。FRBの利上げは当然米国債の金利も押しあげる物で、本来はこの金利を目当てに海外から資金が流入する為にドル高と適度な金利上昇が起こるはずでした。

ところが、危機回避として米国債が選好され米国債金利が低下すると同時に、何故かドル安に振れてしまったので、為替差損を勘案すると米国債保有のメリットが薄れてしまう結果となっています。

年初来のリスク回避の動きで米国債に集まっていた資金がドル安を嫌気して流出し出すと米国債金利がジリジリと上昇し始めます。一昨日の米国債金利の上昇をアナリスト達は「米経済指標が好転」と説明するでしょうが、アメリカの経済指標は決して良く歯ありません。むしろ市場が米国債金利が下がり過ぎていると判断し、調整時期に入りたかったのでしょう。決して景気が回復して株式が買われた訳では無いと思います。日本国債もこれに連動した形となります。

日銀のサプライズ・マイナス金利は本来、円安ドル高によって日本の国内資金を米国債に向かわせる政策だと思われますが、図らずもこれが裏目に出て、何故か円キャリートレードのリワインドが起こってしまいました。

FRBはある程度市場と対話しながら金融政策を遂行していますが、日銀は「サプライズ」に頼っている為に、市場は日銀に対して良い印象を持たなくなっています。さらにマイナス金利は金融機関の収益を圧迫する為に、日銀の金融機関の足並みが乱れると、日本国債需給にも影響を与え始めます。

ヒラリーや欧州勢の日銀の為替操作懸念発言は、額面通りに受け取れる物では在りません。各中央銀行は緊密に連携していますので、日銀のマイナス金利導入は事前に通告され、あるいはダボス会議との日程を考えるとFRBからの要望で実施されたと思うので、選挙対策としてヒラリーは表面的に日銀を批判していますが、実際には円安ドル高、さらには米国債買いをもたらす日銀のマイナス金利を実力で阻止する事は無いと思います。

・・・だだ、市場が中央銀行の思惑通りに動かなくなっている事が今後どう影響して来るのか・・・。ジム・ロジャースや元ピムコのビル・グロスらが何やら不穏な発言をし始めています。

金融緩和やマイナス金利は財政負担を軽減しますが、一方で市場が過剰なリスクテイクをする事で、中長期的には経済を不安定化させます。マイナス金利にまで追いやられた各中銀は次の危機発生に際しては、打つ手が有るのか考えると不安です。