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ひそかに解禁される混合診療・・・命はお金で買う時代

2015-11-09 10:11:00 | 時事/金融危機
 

■ アメリカがTPPのISD条項で圧力を掛けなくても混合診療を解禁した日本 ■


「TPPが発効したら、アメリカの製薬会社や保険会社がISD条項を発動して、日本の国民皆保険制度が崩壊する」こんな意見が散見されます。

しかし、アメリカの企業が圧力を掛けずとも、日本は2016年4月から混合診療を自ら部分的に解禁します。

現在、日本の薬価は医療保険制度で決められていますが、自由診療で使われる薬価はこの範疇ではありません。同様に診療費も自由診療は自由に決める事が出来ます。従来は保険診療と自由診療は厳密に区分されていましたが、この枠組みが取り払われます。

2016年4月から規制改革会議の提案する「患者申出療養」という名称の混合診療を解禁されます。名目上は難病の患者の救済ですが、なし崩し的に混合診療が拡大するはずです。

■ 既に国民皆保険制度は維持不可能 ■

少子高齢化の進行によって、日本では医療保険の負担者は減り続けます。年金同様に現在のままでは国民皆保険制度は崩壊します。これを防ぐ唯一の方法は、「無駄な医療の廃止」ですが、「国民を見殺しにするのか」という反発を招く事から、厚生労働省も表立って無駄な医療を削減出来ません。

しかし、混合診療が解禁になれば、厚生労働省は、新薬や高度な治療を保険医療の適用範囲に組み入れる比率を下げる事が可能になります。結果的に国民皆保険が適用されない新薬や治療が増えます。

■ 病院の経営的にも必要になる混合診療 ■

単純に「無駄な医療を廃止」した場合、病院経営は危機に陥ります。医療保険の財務状態が逼迫している昨今、診察の保険点数は減らされる一方です。病院経営は医師や看護師などの人件費の塊りですから、保険点数が減らされると経営が成り立ちません。

病院側も「人工透析」など少しでも儲かる治療に力を入れて経営を安定化させようとしていますが、厚生労働省は「儲かる」診療の点数を下げてしまうので、結局病院経営は苦境に立たされます。結果的に、無駄な検査などで少しでも利益を上げようとして医療費が拡大します。

根本的な問題は「診察費」が安す過ぎる事にあります。混合診療では自由診療分の診療費は自由に設定できますから、病院経営はいくらか楽になりはずです。

■ 医療現場の本音と建て前 ■

混合診療の導入は病院や医師の間でも賛否が分かれます。高度な治療や新薬が保険から外される事で、一般庶民が高度医療を受けにくくなると懸念されるからです。

ただ、現状の医療現場を見た場合、80歳を超える様な高齢者に抗がん剤治療を施したり、胃瘻(いろう)など虐待に近い「治療?」が継続されたりと、医療保険が無題に使われている事は事実です。

結局現在の病院の多くが「無駄な診療」によって経営を維持している事は見逃せません。

■ 二極化する医療 ■

混合診療がなし崩し的に広る結果、個人の負担する医療費は増大します。現在でも大学病院など「ブランド医療」に固執する日本人ですから、医療費の実質負担が増えれば技術のあるブランド病院に掛りたいという患者も増えると思われます。

一方で、技術の低い小さな病院や、地方の公立病院などは、「安い保険診療」を希望する患者しか来ない様になり、経営がますます逼迫します。将来的には人件費を減らすしか存続出来なくなり、「外国人看護師の受け入れ」要望が医療現場から出て来ると思われます。これは建設業で外国人労働者の受け入れの要望が高まっている事と同じです。

結局、高額所得者は高額な民間の医療保険に加入してブランド病院で高度な医療を受け、一般庶民は健康保健でカバーされる「そこそこの医療」で満足せざるを得なくなります。

ただ、それでも、国民皆保険が府整備であったアメリカよりは恵まれています。(オバマケアーは結局、民間保険会社を利する内容にすり替わってしまいました)

■ アメリカの保険会社が腕まくりして日本に進出して来る ■

保険適用外の薬や治療が増えた場合、民間の医療保険でそれをカバーする事になります。

アメリカの製薬会社や保険会社はISD条項を行使せずとも、棚からボタモチ状態で、日本の医療保険制度に都合良く参入できるはずです。当然、裏では圧力を掛けて、新薬や新しい治療が保険適用になる事を阻止するでしょう。

■ 「生きる」という意味を問われる日本人 ■

国民全てが高度な医療を安価に享受できる時代は終わりつつあります。財政状況を考慮すれば当然の選択と言えます。

アメリカの医療費が高い事は周知の事実ですが、日本もこれから癌の最新治療などは安くは無い時代になるかと思います。

ただ、世界的には延命治療は「虐待」と解釈され始めており、無駄な治療を行わずに余命のライフクオリティーを充実させる方向に医療は変化しています。混合診療の導入を機会に、日本人も「生きる意味」を問い直す時期が来ているのかも知れません。

■ 健康ポイント還元制度が有っても良いのでは? ■

私などは病院がキライですから、健康保健は払えども一年に一度も病院に行かない年も結構あります。自転車で転んで怪我をした時も、肋骨のひびや、指先の末端骨が折れたか・・・なんて怪我は病院に行かずに放置します。病院に行っても痛み止めを処方されて終わりですから。

こんなに医療費を節約している私ですから、自動車保険の割引制度みたいな「健康優良割引ポイント」が有れば良いのにと心底思います。

不摂生な生活をして病気になる人の医療費を、スポーツジムなどにお金を掛けて健康を維持している人達が負担するのは、ちょっとナンセンスな感じもします。

例えば、欧米の様にスポーツジムの料金の一部が健康保険で支払われる様になれば、この不公平感は緩和されるのでしょう。

・・・・出来れば・・・・スポーツ自転車も保険適用にして欲しい・・・・・。