人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

火力発電所のフル稼働で電力は賄える・・・ゼロリスクを求めてリスクを高める国民

2012-07-17 07:15:00 | 福島原発事故
 
■ 火力で電力を賄えるのに、何故、原発の稼動が必要なのか? ■

ご質問を頂きました。

<質問>

日本人の多くが、「反原発」と「消費税反対」に目がくらんで、結果的に現在の「ナマヌルイ」生活を決別する事になるのでしょう。
と人力さんは書いていますが、大飯再稼働で火力が6基止まり後2基止まるそうです。関電の火力に限ってトラブルが起こり、すぐに直せても手を付けない。コスト面も火力は7,8年前の3分の一になっているはず。←知人が電源開発関係です。
関電は電力が足りていても原発を全て動かすと言ってます。これでは放射能被害などに関わらず原発反対!の流れになるのではないでしょうか?

<質問終わり>

■ 低線量率の放射線の危険性の評価で大きく変わる原子力行政 ■


私の立場は、「低線量率の放射線の危険性を再評価しない限り、原発は段階的に廃止すべき」です。

ICRP(国際放射線防護委員会)の推奨する防護基準は

1) 平常時は1(mSv/年)を目標として管理する
2) 事故時は20~50(mSv/年)を目安にする

事故時に一時的に基準が緩和されるのは、
ICRP自身が1(mSv/年)という基準が
過大安全性である事に自覚的であるからです。

1(mSv/年)という防護基準は、
ICRPが1959年に「直線仮説(LNT仮説)」を採用して決められました。

H.J.Muller が「放射線は微量でも毒であり、有害性は直線的な比例関係にある」
とする「直線仮説」を提唱し、他の遺伝子学上の業績と併せ
ノーベル生理学・医学賞を受賞したのは1946年の事です。

さらにその元になるオスのショウジョウバエの精子の遺伝子が
放射線の影響を直線的に受けるとする実験結果が発表されたのが
1927年と1930年の事です。

オスのショウジョウバエの精子の細胞は、
DNAの修復機能を持たない、
動物では稀に見る特異な細胞である事は、
後にカルフォルニア大学のバークレー校の研究チームが明らかにしています。

1953年にジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックが
DNAの二重螺旋構造をX線解析の結果から提唱し、
1963年に彼らはこの業績によりノーベル賞を受賞しています。

この後、DNAの修復機能が次々に明らかになり、
DNAは1本鎖切断のみならず、
2本鎖切断も、巧みに修復する事が知られるようになりました。

現在では、細胞1個あたり1日に最大50万回切断されるという研究もあり
DNAは絶えず切断され、修復される事が普通の姿である事は判明しています。

■ ICRPも最新の研究を無視出来なくなった ■

最近ではMITの研究チームがマウスに自然放射線の400倍の外部被曝を与え、
マウスのDNAが損傷を受けても、全て修復し、
DNAに損傷が残らなかったと発表しています。

ICRPはDNAの修復はおろか、DNAすら発見しれていない
1930年のショウジョウバエの特異な実験を元に、
1946年に提唱された「直線仮説」を元に
1(mSv/年)も危険としてきました。

しかし、さすがにこの基準は最新の研究結果を無視しすぎていると自覚しています。
しかし、ICRPは多くの研究者の追及にもかかわらず、
この基準自体を緩和していません。

ところが、スリーマイルやチェルノブイリの結果、
ICRPの防護基準以上でも発癌などが増加しなかった事が明らかになりました。

逆にチェルノブイリでは厳しすぎる防護基準によって、
多くの強制非難の人々が発生し、
彼らが強制非難によるストレスや失業によって、
アル中になったり、精神を病んだり、ストレスによる疾患が増加しました。

さすがにICRPも1(mSv/年)を事故時に適用すると
厳しすぎる防護基準が被害を拡大する事を無視出来なくなりました。


そこで福島原発の事故後には、
日本政府に対して、防護基準を緩和する様に勧告しています。

<引用開始>

ICRP、放射線の防護基準緩和を提言
http://www.news24.jp/articles/2011/03/31/07179831.html

< 2011年3月31日 16:07 >(日テレ)

 ICRP(=国際放射線防護委員会)は31日、日本が定める放射線の防護基準について、福島第一原子力発電所の事故の事態の長期化も見据えて基準を緩和するなど、より現実的な対応を求める提言を行った。

 政府は、福島第一原発の事故を受けて、原子力関連施設での緊急作業従事者の被ばく線量限度をこれまでの100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げた。これに対して、ICRPは、国際的に見てもかなり厳しく設定した基準であるとして、現在の事故の重大性を考えると、緊急作業従事者については基準を緩和してより現実的な対応をすべきとの提言を行った。具体的には、ICRPの勧告に沿って、緊急作業従事者の被ばく線量限度を500~1000ミリシーベルトの範囲内で設定すれば、直ちに健康への影響はないとしている。

 また、一般住民についても、事態の長期化を考慮して、緊急時の被ばく線量の基準緩和を含めて協議すべきだとしている。

<引用終わり>

■ 防護基準は政治的意図で決められている ■

この様に、放射線防護の科学的常識は変化しつつあります、
1(mSv/年)という防護基準は、改定されません。

それは。「放射線はとても危険」とされる事こそが、
世界を平和に保っているからです。


あまりにも人類に対する被害が大きい核兵器は使う事が出来ません。
これこそが、「核の抑止力」を最大に発揮されるトリックであり、
その結果、人類は大規模な戦争を回避する事が出来ています。

ですから、ICRPの防護基準は、1000倍近い安全率があったとしても、
これが改定されることは、世界に戦争の火種がある限り絶対にありえないのです。

ただ、20年後、30年後に世界がもっと平和になった場合、
福島の研究結果を元に、防護基準が緩和される可能性はあります。

■ 危険な原発を再稼動する理由 ■

ICRPが防護基準を緩和しなければ、
事故時に放射線を撒き散らす原発の危険性は、
政治的に保障されています。

一度大規模な事故が起きれば、多くの強制非難を発生させ、
地域経済に壊滅的なダメージを与えます。


その危険な原発を何故再稼動するのか?

指摘の通り、日本の火力発電所を総動員し、
さらに送電分離や税制に優遇策で、
小型で高効率なガスタービン発電機を民間が導入すれば、
日本に原子力発電者は必要ありません。


ただし、これには当然リスクが伴います

1) ガスや原油の価格が将来的に現在の価格水準であるとは限らない
2) 中東から6割の原油を輸入する日本にとって、中東有事による原油供給の手痛いは致命的
3) アメリカのシェールガスへの依存が高まれば日本のエネルギー政策がアメリカに支配される
4) 新興国のエネルギー需要の高まりは、原油やガスのコストを高騰させる

これは、エネルギー供給側のリスクです。
この他に、原発の維持費の問題がります

1) 稼動していなくても原発の維持管理費が掛かる
2) エネルギー有事に備えて、いつでも稼動できる状態を維持するであろう
3) 核燃料や放射性廃棄物の管理コストは発生し続ける
4) 稼動しない原発によるコストによる電力会社は、電力料金を引き上げなければ各社破綻する

様は、原発を再稼動しなければ、電力料金が確実に値上がり、
かつ、エネルギーの安全保障体制に大きな綻びが生じます。

電力会社の破綻を防ぐ為には、
原発を全て国有化して管理する以外に方法はありませんが、
その場合、原発の維持管理コストは税金として国民が負担する事になります。

■ 電力料金の値上げは空洞化を加速する ■

円高で製造業の空洞化が加速する中で、
さらに電力料金が値上げされれば、
製造業は日本で生き残る事は不可能です。

電力使用の大きな業界から、
海外に流出します。
所謂、空洞化の加速です。

空洞化は雇用の喪失と同義です。
さらには、法人税、所得税、住民税なども減収となり、
国家や地方の財政破綻を加速させます。

■ 危険で無い放射線を恐れるあまり、自分達の生活を破壊する愚 ■

現在問題になっている様な、低線量率の放射線は、
人間に害を与えるようなものではありません。

むしろ適度な活性酸素の増加は、ジョギングと同様な効果があり、
活性酸素を除去する為に、眠っていた免疫系が活性化し、
健康を促進するという研究結果も多数あります。

低線率放射線治療は、安価な医療を実現する可能性を秘めています。
癌の放射線治療の前段階として、低線量率放射線の全身照射は実用され、
放射線治療の副作用や、放射線治療自体による癌の誘発を抑える事も明らかになっています。

さらには、自己免疫性疾患の改善効果なども確認されており、
低線量率放射線治療は次世代医療として注目されています。

その一方で低線量率放射線治療は安価な医療なので、
製薬会社の利益を圧迫する事から、
今後、この分野の研究には製薬会社の様々な妨害が加えられる事も予想されます。

安価な低線量率放射線治療で癌が改善するならば、
体を痛めつけるだけの高価な抗癌剤など不要になるからです。

この様に、低線量率放射線に関する科学的常識が大きく変化する中で、
一部の狂信的な科学者達と、放射線が危険でなければならない勢力が
低線量率放射線の安全性を否定し続けています。

この勢力の中に「原子力村」が含まれている事に注意が必要です。

原発は安全性を確保する為に、高い安全基準で建設されます。
この基準を満たすメーカーは限られてくるので、
一部のメーカーが利権を独占し、さらに割高な調達コストで潤っています。
これは、新興国のメーカーが原子力発電所ビジネスに参入する事をブロックしています。

さらには、低線量率の放射線も危険とする事で、
廃棄物の管理コストが莫大に発生します。
ただのゴミが、宝の山に変わるのです。



この様な事実があるにも関わらず、
多くの日本国民が原発の再稼動に反対しています。

これは、ほとんどギャグとしか言いようの無い状況ですが、
ゼロリスクを求める人々には、
私達の声は届くことは決してありません。