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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

タマゴが先かニワトリが先か・・・こんなに太っちゃタマゴも生めない

2012-03-01 05:22:00 | 時事/金融危機
 






父ちゃん、ウチのニワトリは最近タマゴを生まないねぇ・・。

そりゃ、オマエ、エサが少ないからだろう。

1ヶ月後

父ちゃん、ニワトリはデブデブに太ったけど、タマゴはやっぱり生まないや・・。

そうか、こんなに太っちゃ肉としても価値が無いなあ・・。

そろそろ潮時かな。








■ 金融資産が増えれば消費が拡大する? ■

FRBや日銀の緩和政策を好感して株式市場が上昇しています。
ダウに居たっては、13000ドルを超える勢いです。

アメリカ経済において以前から言われる定説に次に様な物があります。

1)アメリカ人は投資で資産運用する

2)金融資産が増えれば自然と消費が上向く

3)だからFRBの大量の資金供給で金融市場が活性化すればアメリカの景気は持ち直す

一見説得力のある三段論法です、


■ FRBの大量の資金供給で実体経済は上向いたのか? ■

リフレ派が主張する説が正しいかどうかは、結果を見れば明らかです。

FRBはQE1、QE2で市場に大量のドルを供給してきました。
さて、その結果米経済は持ち直したでしょうか?

1) 12月の住宅価格は中古、新築とも市場最低を更新した。

2) 米国シラー指数が12月は前年同月比で4.0%下落し。
   15ケ月連続。指数の水準は8年10ケ月振りの低水準

住宅市場が原因の米経済危機ですが、
原因の住宅価格の下落に歯止めが掛かりません。

将来に不安を抱いているのは日本人もアメリカ人も同じです。
リーマンショック後、アメリカ人は消費から預金に変化しています。
ですから、少しでも所得が増えれば、それは消費では無く預金に回されます。

勝ち組のはずの金融マン達もリストラに怯えている状況で、
大きな消費が生まれる下地が少ないのです。

自動車製造が復活したと言われますが、
極端に減らしていた在庫を再び積み上げているだけです。
その証拠に、日産の高級車インフィニティーは製造を大幅に減らしています。

金融市場を刺激しても、現実にはアメリカの実体経済は回復していません。

「回復」という言葉がおかしいのであって、
「崩壊を先延ばしする」という表現の方が正しいのでしょう。

■ 確実に値上がりする原油価格 ■





上のグラフはリーマンショック以後の原油価格推移と、
第一次石油ショック以降の原油価格の推移です。

リーマンショック直前に原油価格は大幅に高騰しており、
さらに、QE1、QE2によって原油価格が確実に上昇している事が分かります。
FRBのさらなる緩和によって、原油価格はリーマンショック前の
異常な水準に近づく事は確実です。

原油価格が1972年から2008年の36年間に
31倍になっている事に驚きますが、
FRBの発効する過剰なドルが、原油価格の高騰を引き起こしています。

産油国が原油によってドルを一旦吸収し、
ドルの運用として米国債を買い支える構造は、
日本が輸出によってドルを稼ぎ出して米国債を支える構造と同じです。

■ 経済を減速させる原油価格の高騰 ■

一方で原油価格の高騰は経済の足かせとなります。

中央銀行の量的緩和を、先週まで好感していたロイターの記事が、
今週は一変して過剰流動性による市場の過熱を警戒したり、
原油高による経済の減速を心配する論調に手の平返しです。

「空中戦」の日本株、円安と原油高ペアには警戒感
ロイター 2012.02.29

http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPTYE81S04T20120229

原油価格が利食いで下落したら、ダウも上昇しています。
現在の世界は、原油高にナーバスになっています。

ゴールドマンは原油は200ドルを突破すると原油高を煽っていました。
「利食いの売り」とはゴールドマンとその一派の行動では無いでしょうか?

■ ミニバブルという仇花は、すぐに枯れる ■

日本や世界の企業の業績が低迷する中で、
株価だけが値上がりしてゆくのは異常です。

これは中央銀行が作り出したバブルです。
大きなバブルは持続性がありますが、
バブル崩壊後のミにバブルは過剰流動性が生じている証拠でしか無く、
このバブルは直ぐに崩壊します。

この様なミニバブルが発生するのは、
経済の回復の兆しでは無く、
崩壊の前兆だと私は予測します。
大地震の前の余震みないなものでは無いでしょうか?

今後、何回かこんなミにバブルで個人資産が巣穴から誘い出されて、
その度にゴッソリ持っていかれるのでしょう。
そして、最後は金融市場という賭場事態が閉じられてしまう・・・。

■ タマゴが先か、ニワトリが先か? ■

世界は金融市場の回復が経済の回復をもたらすと信じて、
各中央銀行は大量の資金を市場に提供してきました。

これはタマゴが先か、ニワトリが先かという話と同じです。

「実体経済の回復というタマゴを有む為に
 金融市場というニワトリを回復させなけばならない」

多くの人がこう主張します。

ところが、当のニワトリが年老いてタマゴを生めないのならば、
金融市場に投下された資金は、いたずらにニワトリを太らせるだけで、
ニワトリの肉としての価値まで失わせている事にならないでしょうか?

本来は実体経済の成長が、金融市場の成長に繋がる事が健全な訳で、
この健全性の失われた段階で、ニワトリは締めて鍋の具にするしか無いのでしょう。