人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

今年も我が家のクーラーが芽を出しました

2009-06-10 19:25:00 | 温暖化問題



これ、何だか分かりますか?
我が家のクーラーの芽です。
「クーラー?って、これアサガオでしょう」ってお思いですね。
でも、マンションのベランダをアサガオの緑のカーテンで覆うと、
夏でも結構涼しいんです。

植物の葉は、日光を遮ってくれますし、
葉は水蒸気を発生して気温を幾分下げてくれます。

第一、窓一面を覆う葉陰は、見ているだけで涼しくなります。
おまけに、朝は色とりどりの花まで楽しめます。

実は、我が家はクーラーがありません。
夏は、アサガオの天然クーラーと、
扇風機と、後は気合で凌ぎます。

体は不思議なもので、
暑さに順応すると、クーラーが苦手になります。
電車の中や、映画館や、オフィスが寒く感じられるようになります。

さらに、炎天下でジョギングをすると、
さらに耐暑性が高まります。

良く家族が、私の趣味に付き合ってくれると感心しますが、
クーラーを止めてから、夏ばて知らずで、ビールが旨い!!

超人ロック・・・帝国の盛衰

2009-06-10 14:52:00 | マンガ



このブログはアニメネタやマンガネタを書くと、
途端に読む方が減る傾向にあるので、
もしかすると、あまり若い方は読まれていないのではと
勝手に推測しています。

AOLブログ終了以降
長らく、私の日記状態であった「人力でGO」も
最近、皆さんが読んでくださるおかげで
500アクセスを超える事が出来ました。

そこで、以前の様に、アニメネタ、マンガネタを書くとアクセスが減るのか
ちょっと試してみたいという興味が、ムクムクと頭をもたげてきました。

■ 今時はやらない超能力マンガ ■

かつて隆盛を極めたSFマンガも衰退著しく、
ましては聴能力ものなどというと、化石に等しいジャンルです。
アメリカのドラマ、「ヒーローズ」(未見ですが)が超能力ものの様で、
この時代に何故?という疑問符が頭の中で点滅しています。

超能力もので印象に深いのは、やはりバビル二世。
私達の世代は、横山光輝のマンガでは無く、
アニメ世代です。
あの時代のアニメ特有のダークな閉塞感が、
子供心にもグッっとくるものがあって、
私はバビル二世に影の様によりそう黒ヒョウのロデムの大ファンでした。

■ 超人ロックっていまだに連載が続いているの? ■

高校時代の憧れは、「超人ロック」でした。
松本零士のブームが一段落して、
時代は大友克洋の「AKIRA」を迎えようとする直前、
「少年KING」に突如登場した「超人ロック」は多くの人を驚かせたと思います。

少少女漫画そのものの絵柄。
少女漫画以上に美しい女性キャラ、
主人公はサイボーグ009ばりのヘアスタイルの時代錯誤キャラ。
本格的なメカの描写・・・。
性別不明の作者、「聖 悠紀」。

しかし、このとてもアンバランスな漫画は
極限までにエッジの立った作品でした。

この「超人ロック」は、連載誌を変えながら、
現在も連載が続いています。
なにせ、主人公が「不老不死」の銀河最強の超能力者(エスパー)ですから、
物語は永遠に続くのです。

■ 優れた歴史書であり、経済書である ■

私は仕事が暇になると、押入れの奥から、
文庫版の「超人ロック」、全27巻を取り出してきて、
1巻からじっくり読み返します。

超能力者のロックは、甦生能力で若返りを繰り返し、
ほぼ永遠の命を生きています。
人類が太陽系から外に旅立つ以前から存在し、
殖民惑星がたった数個の頃から、銀河に広がる大帝国を築くまで、
何千年にも渡って、人々の苦しみや悲しみ、
国や企業の栄華盛衰を見続けています。
ある時は、人類を救い、
ある時は私情に流されて、失敗もします。

最初の頃こそ、超能力を軸にしたスペースファンタジーでしたが、
だんだんと物語は変質していきます。
およそ不可能は無い主人公は、
しかし、歴史の主役には決してなりません。
彼は永遠の命を生きながら、
歴史の観察者であり、
記録者として機能し始めます。

作者の「聖 悠紀」は賢い方です。
ロックという語り部を据えて、
彼は銀河を舞台に歴史書を編纂し始めます。
人口爆発の解決策としての宇宙移民が、
やがては経済拡大の開発に発展し、
巨大な星間企業が暴利を貪る為に、暗躍し、
幾百億の人々の命は、社会システムの保全や、
星間企業の活動の前には、あまりにも軽んぜられている世界。

一見、未来を舞台にしたローマの興亡史のようでもあり、
しかし、これは明らかに私達が生きる今の世界のあり方でもあります。

■ 成長の限界と破壊者 ■

SFはスペースファンタジーやサイエンス・フィクションと訳されますが、
一方、仮想の時空でシミュレーションを行う、”speculated fiction”
すなわち「思索的想像世界」でもあります。

超人ロックの世界の中で作者は色々なシュミレートを試みます。
そして、何度か登場するシチュエーションが
「成長の限界」と「破壊者の登場」です。

幾百もの星を開拓し、科学技術が頂点を極めた「地球連邦」は、
成長を止め、緩慢な崩壊の兆しが見え始めます。
行き着く先は、連邦秩序の崩壊と、留まる所を知らない戦乱。
その人類の窮地を救うのは守護者たる「超人ロック」では無く、
狂信的科学者であり思想家の「ライガー教授」です。
彼は幾つもの主要な惑星を、星ごと破壊し、
地球連邦を根本的に崩壊させます。

しかし「ライガー」は、再生の種も蒔いています。
巨大なコンピューターに人類の英知を詰め込み、
新しい世界の再興に役立てます。
混乱を極めた人類は、銀河コンピューターに操られるように、
銀河帝国を築き上げていきます。

しかし、銀河帝国も成長の限界に突き当たり、
技術は100年もに渡り停滞し、帝国は内部から腐り始めます。
銀河コンピューターの選んだ方法は、
自分と同等以上に性能のコンピューターの製作と、それとの死闘。
人類の存在など全く無視をしたコンピューター同士の死闘は、
相打ちに終わり、銀河連邦の息吹が生まれます。

しかし、銀河連邦の行き着く先は、
麻薬の蔓延する、荒廃した社会でした。

この様に、作者は「成長の限界」と「破壊による再生」をひたすら書き続けます。

■ 現在の世界情勢は、正に成長の限界 ■

現在の世界情勢はアメリカ帝国の「成長の限界」以外の何ものでもありません。
あらゆる対策は、砂にしみこむ水のよういに効果無く終わり、
「アメリカ帝国」を中心にすえた世界秩序は、
非効率さゆえに、緩慢な死を迎えようとしています。

さて、それでは現実の社会に「破壊者」は居るのでしょうか?

田中宇氏は、アメリカ内部に「破壊者」の姿を求めます。
「ネオコンが自滅的戦略によて、アメリカを崩壊させ、
 BRICSという新たなエンジンで世界を更なる発展に導く」という考え方です。

これはとても魅力的なストーリーです。
ブッシュ政権が採ってきた、あるいはオバマ政権が今採っている政策が、
結局はアメリカを自滅させる事を説明出来る、唯一のストーリーです。

さらなる発展をもたらす為の「アメリカ帝国の崩壊」ははたして現実となるのか、
超人ROCKを読みながら、ふと考を巡らせてしまいます。


<追記>
1980年代の漫画は、今読むと「なる程」と思わされるものが多いです。

最近の漫画の悪役達は、心のネジレみたいな「オレ的な小さな」動機で
世界を危機に陥れますが、
当時の悪役は、欲望に対して純粋でした。
金が欲しい。世界の覇権を手に入れたい・・・など。

「聖 悠紀」と双璧をなす少女漫画出身の少年誌の漫画家と言えば
「新谷 かおる」でしょう。
彼の代表作「エリア88」は、今読んでこそ、
恐ろしいまでの現実味を持って迫ってきます。

中東の小国アスランの内戦を利用して、
巨大軍事産業が「終わることの無い戦争」を世界に仕掛けます。
中東やアフリカの内戦を武器を通してコントロールして、
暴利を貪ろうとする男と、アスラン空軍の傭兵部隊の戦いの話ですが、
武器商人の姿は、アメリカを始めとする軍産複合体の姿そのものです。
そして、内戦に疲弊する中東とアフリカの姿は、
まさに現在の世界の姿と、「うりふたつ」です。

結局、いろいろと粉飾はされていますが、
世界の姿は、昔も今もたいして変わらないのかもしれません。
80年代の「少年サンデー」や「少年KING」は、子供には勿体無い雑誌でした。