行列が嫌いです。数年前に、銀座の靴専門店のお正月バーゲンに並んだくらいの記憶しかありません。
そんなわたしが今回は並びました。
上野の東京都美術館で開催中の若冲展です。
NHKや民放で様々な特集をやっているので、ご存知の方も多いでしょう。
それに煽られた面もあるのでしょうがわたしが行ったときは堂々の70分待ち。
その場でチケットを買う場合は、チケット売り場の行列に並んだ後に、70分の行列に並ばなければなりません。
みんな話題の若冲の現物が見たいんですね。
そんな大行列の末、終始おしくらまんじゅう状態で見た若冲は本当に素晴らしかった。
絵の評価などはできませんが、絵の具の盛り上がり、まるで最近塗ったかのような赤色や白色の発色の良さはやはり現物ならでは。
大行列とおしくらまんじゅうに参戦する価値ありです。
まちがいなく一番人気だった動植綵絵の群鶏図も、方眼の世界に極彩色のノアの箱舟のような世界を描いた鳥獣花木図屏風もすばらしかったが、今回目を奪われたのは糸瓜群虫図。
糸瓜群虫図は、淡い彩色の瓜の葉と虫の世界。
瓜の葉には丸く大きく穿たれた虫食いのあと。
若冲は、穴が開いたり病気で黄変したような葉っぱまでこの世に生あるものとして愛した、という解説がありますが、自分にはこれがなんともポップでモダンなデザインに見えます。
イエスなどロックのレコードジャケットで有名なロジャー・ディーンは案外この辺りを下敷きにしたんじゃないかと思えます。
あと、切れ長の目を持つ白い象、かわいかったですね。