副題に「文学者が愛した机と文具たち」とあるように、明治、大正、昭和の作家、批評家、翻訳家が机、文具、書斎などについて書いたエッセイを集めたアンソロジーです。
作者は、有名どころだけでも室生犀星、里見、川端康成、壷井栄、内田百、吉行淳之介など作家だけでもそうそうたる顔ぶれです。
集められたエッセイは、Ⅰ私の机たち、Ⅱ机上風景、Ⅲ原稿用紙と筆記具、Ⅳ机の周辺、Ⅴわたしの書斎、という5つの章に分けられています。
机や筆記具などの「モノ」を通して作者の創作の癖などが垣間見えてどれも興味深いです。
意外性があったのが小檜木山博(こひやま・はく)氏が原稿用紙について書いた「追っかけ」、その後日談「原稿用紙、その後」です。まだ売れていなかった作家の原稿用紙を介した1軒の文具店との交流が描かれています。
対象の原稿用紙がどうのという話ではありませんが、多くの人に読んでもらいたい心温まる話です。
こういう細々したエッセイをすべて原典で読むのは困難、というより不可能です。
ですからこういうアンソロジーは本当にありがたいです。おすすめ。
図書館で借りて読んでしまいましたが、手元に置いておきたくなり買い直すことにしました。
きょう東京は雪に降りこめられました。
いつもすぐに溶けてしまうフワフワのやつではなく、かっちり引き締まった小粒の雪なのでしっかり積もりそうです