※ 続・ローマとナポリにバロックの奇才を訪ねる旅 (11)
ボルゲーゼ美術館のカラヴァッジョ(1573-1610)を追っている。
前回、彼自身を描いたとされる 「<バッカスとしての自画像>」(1593-94年頃)を挙げたが、そのモチーフを再び採り上げた 「果物籠を持つ少年」、別名 「果物売り(1593-94年頃)が今回の作品。
本作も、自身をモデルにしたのでは、とされているらしいが、前作とは随分とその印象は異なる。
とは言え、やや陰鬱で虚ろ気な表情などから、“ 少年は果物だけでなく、自分自身を観る者に提供している ” ようにも取れる。
それは、“ 肩から太い首にかけての肉体的な誇張とは相容れないが、けだるそうな目を陰に隠した詩的な設定がそれを補っている ” (カラヴァッジョ/西村書房刊)のだという。
画面に戻れば、後に光の魔術師とも称される彼の大きな特徴ともなっていく、斜め上から指す光を用い、無地の背景から浮かび上がる少年の存在感を効果的に示している。
また、熟した桃や蒲萄や無花果などの果物、そして籠の見事な描写は、やがて彼の 「<果物籠>」(1601年/ミラノ/アンブルジアーナ絵画館蔵)へと昇華するのである。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1253
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