盛期ルネサンスの功績を<ダ・ヴィンチ>と二分するミケランジェロ・ブオナローティ。
彼は、絵画より彫刻こそルネサンスを象徴するに相応しいものと考え、彫刻家として、「<ピエタ>」や 「<ダヴィデ>」などに、その傑出した才能を如何なく?発揮、素晴らしい作品を残している。
また、画業でもシスティーナ礼拝堂の天井画 「天地創造」と祭壇画 「最後の審判」で、他に類をみない偉大な業績を残している。
そして、この絵、彼がフィレンツェ滞在時に、当地の織物商人アニョロ・ドーニから依頼され制作、トンド(円形)形式で描かれていることから、「トンド・ドーニ」とも呼ばれる 「聖家族と幼児洗礼者聖ヨハネ」。
壁画などに対して、カンバスや板に描かれ額縁に入った完成した絵、つまり、タブロー形式の絵は、後にも先にもこれ一点のみとされていて、ここウフィツィに架かるのも彼のパトロン、メディチ家あってこそのこと?
彼は、養父?ヨゼフと母マリア、愛息のイエスの三人に、親戚筋?にあたるヨハネを加えたホーリー・ファミリ一を、如何にも彼らしくマッチョに描いている。
イエスをマリアの肩に乗せる構図を採ることで、三人の顔を一点に集め、円形の中で視線が分散するのを避けたとされる。
それは同時に、幼子が神の子としてマリアより聖なる存在であることを示し、背後に描かれている異邦人と聖家族の間に描かれた洗礼者聖ヨハネを、異教とキリスト教の仲介を為す存在として解釈しているのだそうだ。
異邦人は当然として、幼児洗礼者聖ヨハネを少しぼけた輪郭で表現しているのも、ミケランジェロが、救世主イエスの聖性を何よりも重んじるドミニコ 派に属するがゆえのこととされている。
この絵が、とにかく健康的で温かい印象を与えるのは、マリアを大地に直に座らせたこと。
三人の頭上に聖性の象徴である円光、彼のダ・ヴィンチでさえ 「<受胎告知>でマリアの頭上に描いている。を、描かなかったこと、などによってもたらされているらしい。
カタリナ 、ダ・ヴィンチよりもミケランジェロ、特に、彼の彫刻が 「好きなの」と言う。
さりながらも、ここウフィツィ美術館で、ラファエロを加えたルネッサンスの三巨人の絵に出会えたことを喜ぶ。
そして、彼唯一のタブロー画を前に 「なんと大らかで明るいの!」と、感嘆するのである。
Peter & Catherine’s Travel Tour No.339
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