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さよならだけが人生だ(1) 浄土真宗親鸞会講師のブログ

2009-04-20 | 無常
出会いと別れの季節、春。

桜散り行くころ、どこから湧き出てくるのやら、
毎年心の耳に響く言葉があります。

それは、

「さよならだけが人生だ」


これは晩唐の詩人、于武陵(うぶりょう)の
「勧酒(酒を勧む)」の結びの句を
井伏鱒二が訳したものです。

まずは原文から見てみましょう。


「勧酒(酒を勧む)」(于武陵)

  勧君金屈巵

  満酌不須辞

  花発多風雨

  人生足別離


(書き下し文)

  君に勧む 金屈巵(きんくつし)

  満酌 辞するを須(もち)いず

  花発(ひら)いて風雨多し

  人生 別離足る


※金屈卮:曲がった取っ手の附いた黄金の杯
※足  :満ち足りる。多いということ。

  ○『全唐詩』卷六百、収録。 五言絶句



次に井伏鱒二の名訳です。


  この盃を受けてくれ
  どうぞなみなみつがしておくれ
  花に嵐のたとえもあるぞ
  「さよなら」だけが人生だ


※花に嵐のたとえ:「月に叢雲(むらくも)、花に風(=嵐)」



この言葉を教えてくれたのは父でした。
記憶によれば、当時中学生。
とても心に残っています。

特にインパクトがあったのは何といっても

「『さよなら』だけが人生だ」の結句。


さて、
「本当にさよならだけが人生なのだろうか、出会いだってあるし」と
当時考えたものです。

そして

「これはただ、人生を投げ出し、“どうせサヨナラするんじゃねえか”と
 いうような冷たさ、虚無感は感じさせない。
 ここで言いたいことは、もっと奥にあるのでは」

というところまでいきましたが、胸につっかえを残したまま数年が過ぎました。
その後、出会った言葉が

「一期一会」



「この出会いは一生において最初で最後、そう思って人に接してごらん。
 きっと優しくなれるから」


哲学好きな高校の先生はそう教えてくれました。
なんだか目のあたりがジーンとしたのを思い出します。
そしてスグに井伏鱒二の言葉を思い出しました。

「『さよなら』だけが人生だ」

この言葉はきっと一期一会の心なんだ。
だから、切なさと温かさが同居しているんだ。
一人、ああそうだそうだ、そうに違いないと感動していたものです。


  人生 別離足る

  『さよなら』だけが人生だ

今また思い出し、胸熱し。 


 つづく

関連:

さよならだけが人生だ(2)浄土真宗 親鸞会 講師のブログ・人生の目的と生きる手段
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花も嵐も|どブログ(浄土真宗親鸞会講師)
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