出会いと別れの季節、春。
桜散り行くころ、どこから湧き出てくるのやら、
毎年心の耳に響く言葉があります。
それは、
「さよならだけが人生だ」
これは晩唐の詩人、于武陵(うぶりょう)の
「勧酒(酒を勧む)」の結びの句を
井伏鱒二が訳したものです。
まずは原文から見てみましょう。
「勧酒(酒を勧む)」(于武陵)
勧君金屈巵
満酌不須辞
花発多風雨
人生足別離
(書き下し文)
君に勧む 金屈巵(きんくつし)
満酌 辞するを須(もち)いず
花発(ひら)いて風雨多し
人生 別離足る
※金屈卮:曲がった取っ手の附いた黄金の杯
※足 :満ち足りる。多いということ。
○『全唐詩』卷六百、収録。 五言絶句
次に井伏鱒二の名訳です。
この盃を受けてくれ
どうぞなみなみつがしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
「さよなら」だけが人生だ
※花に嵐のたとえ:「月に叢雲(むらくも)、花に風(=嵐)」
この言葉を教えてくれたのは父でした。
記憶によれば、当時中学生。
とても心に残っています。
特にインパクトがあったのは何といっても
「『さよなら』だけが人生だ」の結句。
さて、
「本当にさよならだけが人生なのだろうか、出会いだってあるし」と
当時考えたものです。
そして
「これはただ、人生を投げ出し、“どうせサヨナラするんじゃねえか”と
いうような冷たさ、虚無感は感じさせない。
ここで言いたいことは、もっと奥にあるのでは」
というところまでいきましたが、胸につっかえを残したまま数年が過ぎました。
その後、出会った言葉が
「一期一会」
「この出会いは一生において最初で最後、そう思って人に接してごらん。
きっと優しくなれるから」
哲学好きな高校の先生はそう教えてくれました。
なんだか目のあたりがジーンとしたのを思い出します。
そしてスグに井伏鱒二の言葉を思い出しました。
「『さよなら』だけが人生だ」
この言葉はきっと一期一会の心なんだ。
だから、切なさと温かさが同居しているんだ。
一人、ああそうだそうだ、そうに違いないと感動していたものです。
人生 別離足る
『さよなら』だけが人生だ
今また思い出し、胸熱し。
つづく
関連:
さよならだけが人生だ(2)浄土真宗 親鸞会 講師のブログ・人生の目的と生きる手段
http://blog.goo.ne.jp/pandagananda16/e/8fcb5d93ffe4c9e0fdec83f23eb4b181
さよならだけが人生だ(3) 浄土真宗 親鸞会 講師のブログ・人生の目的と生きる手段
http://blog.goo.ne.jp/pandagananda16/e/765f7b9777451711969eb7e184768e90
花も嵐も|どブログ(浄土真宗親鸞会講師)
http://ameblo.jp/a-new-morning/entry-10223053915.html
桜散り行くころ、どこから湧き出てくるのやら、
毎年心の耳に響く言葉があります。
それは、
「さよならだけが人生だ」
これは晩唐の詩人、于武陵(うぶりょう)の
「勧酒(酒を勧む)」の結びの句を
井伏鱒二が訳したものです。
まずは原文から見てみましょう。
「勧酒(酒を勧む)」(于武陵)
勧君金屈巵
満酌不須辞
花発多風雨
人生足別離
(書き下し文)
君に勧む 金屈巵(きんくつし)
満酌 辞するを須(もち)いず
花発(ひら)いて風雨多し
人生 別離足る
※金屈卮:曲がった取っ手の附いた黄金の杯
※足 :満ち足りる。多いということ。
○『全唐詩』卷六百、収録。 五言絶句
次に井伏鱒二の名訳です。
この盃を受けてくれ
どうぞなみなみつがしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
「さよなら」だけが人生だ
※花に嵐のたとえ:「月に叢雲(むらくも)、花に風(=嵐)」
この言葉を教えてくれたのは父でした。
記憶によれば、当時中学生。
とても心に残っています。
特にインパクトがあったのは何といっても
「『さよなら』だけが人生だ」の結句。
さて、
「本当にさよならだけが人生なのだろうか、出会いだってあるし」と
当時考えたものです。
そして
「これはただ、人生を投げ出し、“どうせサヨナラするんじゃねえか”と
いうような冷たさ、虚無感は感じさせない。
ここで言いたいことは、もっと奥にあるのでは」
というところまでいきましたが、胸につっかえを残したまま数年が過ぎました。
その後、出会った言葉が
「一期一会」
「この出会いは一生において最初で最後、そう思って人に接してごらん。
きっと優しくなれるから」
哲学好きな高校の先生はそう教えてくれました。
なんだか目のあたりがジーンとしたのを思い出します。
そしてスグに井伏鱒二の言葉を思い出しました。
「『さよなら』だけが人生だ」
この言葉はきっと一期一会の心なんだ。
だから、切なさと温かさが同居しているんだ。
一人、ああそうだそうだ、そうに違いないと感動していたものです。
人生 別離足る
『さよなら』だけが人生だ
今また思い出し、胸熱し。
つづく
関連:
さよならだけが人生だ(2)浄土真宗 親鸞会 講師のブログ・人生の目的と生きる手段
http://blog.goo.ne.jp/pandagananda16/e/8fcb5d93ffe4c9e0fdec83f23eb4b181
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http://blog.goo.ne.jp/pandagananda16/e/765f7b9777451711969eb7e184768e90
花も嵐も|どブログ(浄土真宗親鸞会講師)
http://ameblo.jp/a-new-morning/entry-10223053915.html