ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

「沖で待つ」を読んで・・

2006年02月10日 | 本の事
相変わらず暇な木馬の午後のカウンター。
今日の話題は、今週のサンデー毎日の記事から、昭和30年代の人なら知っているであろうフランク永井の「西銀座駅前」の歌詞の中で、「ABC、XYZ これがおいらの口癖さ」のと言う一説で、「ABC,XYZ」これが口癖なんて凄い。と中野翠のエッセイに書いてあったのを読み、皆で納得したり、笑ったりした。

子供の頃は、歌詞まで気にせずに、やたらかっこつけて歌ったりしてたけど、ほんと言われて見ると、確かに可笑しいよね。会話の何処で口癖のABC,XYZなどと言うんだろうね。
でもあの歌が流行(はやる)った頃は、やっと日本の未来が見えて、立ち直って頑張って生きていた時代で、あの低音の都会的なムード音楽にカッコイイ、しびれると思ったんだけど、(コートの襟を立てて大都会の群衆の中に消えていく、スマートな男性をイメージして)よくよく考えてみるとホント可笑しい。(犬も歩けばどうして棒に当たるのかに匹敵するくらい・・)

昭和32年、33年のころ、2年続けて浜田地方は夏休みに大雨が降り、浜田川が氾濫して、ほとんど街中が水の被害にあった。(その時、例のオール5の成績表も流れてなくなり、証拠隠滅の目に会うのだが・・)
その時の、街中泥だらけで、汗だらけで、復興作業している中、フランク永井のムード歌謡「有楽町で会いましょう」「夜霧の第二国道」「西銀座駅前」とかが何処からともなく流れるのだ。

木馬の連中も年齢的に初老に指しかかっていて、真に新しいものえの反応に鈍くなっているのか、こういう話には盛り上がる。
相変わらずのんびりとした空気が流れている木馬ですねぇ・・(大丈夫かいな?)

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さて、私はと言えば暇に任せて、今日発売の文芸春秋で第134回下半期芥川賞 絲山秋子の「沖で待つ」を読んだ。
素直に面白かった。好きなタイプの文章と、短編でありながら、物語のストーリーがしっかりしていて、深みがあったように思えた。

名は体を現すという"太っちゃん"と呼ばれる牧原太と、“私”との職場の同僚の話で、男でもなし女でもないいわば戦友のような関係の二人の友情物語だ。
二人が入社した住宅設備機器メーカーで福岡支店に配属になったところから本筋は始まるのだけど、その間に"太っちゃん"は結婚したり、“私”は転勤したり、でも次に東京で二人は出会う。その時、どちらかが先に死んだらお互いの家に忍び込んで、パソコンのハードディスクを壊し、中の記憶を消すと言う約束をする。
ところが、私がこの小説でユーモアを感じたのは、たたいても何しても是絶対に死なないと思っていた、"太っちゃん"が、交通事故でもなく、病気でもなく、自分のマンションから自殺しようとして、上から落ちてきた人が、直撃して頭を打って死んでしまう。この設定に感心したし、短編なればこその、後を引かない悲しさだなぁと思った。

約束を守る為、パソコンを壊す描写が続くのだけど、(犯罪者のように手袋をして)しかし本当に本に書いてあるようにハードデスクのところは、星型ドライバーじゃないと開かないのか、(プラスでもマイナスでもダメ)私は調べる事は出来ないが、フィクションなのか、事実なのか、誰か教えてほしい。
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