おじたん。的ぶろぐ生活。

おじたん。である。語るんである。

ポラロイドSX-70 その8。

2005-07-02 14:42:54 | ポラロイドーシス。
最近、全然撮ってない…。

ここ「とある高原の元別荘」は、知人が終の棲家として親から譲り受けた物で、それなりに古い。が、環境は全くの大自然の中なので、蚊の襲撃さえクリア出来れば快適極まる。ベランダの手摺りから向こうは「自然」そのもので、ちょっと歩けば観光地…って雰囲気もあるのだが、その道中だって、おじたん。宅の近所にうっそうと繁る雑木林と変わらない。まぁ、ちゃんと整備されている所が単なる雑木林とは違うわけで、散歩していても受ける感じは全然違う。

そんな別荘地ではあってもADSLは割かし速いスピードで届いているので、ネットワークを組んで仕事に使っていても不便な事は見あたらない。私は退役してしまったが、主人は現役のカメラマンなので、高速な回線は大きなデータのやりとりに必須なワケで、都内に居を構えていた時は有線LANであったそうだが、業者に頼んで一切を任せていたので、自分でどうこういじるのはPCだけって事になる。

まぁ、引っ越しが落ち着いて、新居披露も兼ねて呼ばれたのであるが、PCは手つかずで奥さんと揉めていた。ケーブルが這い回るのがイヤだの、物理的に這い回らないだの…って事なのだが、そんな物は無線LANにしちゃえば解決できるワケで…。

今後の事もあるので、メンテナンスやらについて授業も行う。おいそれと業者に来て貰うってワケには行かない場所だし、案外と落雷も多いので、出来うる対処と復旧の仕方についてみっちりとスパルタで。PCだけいじっていれば何とかなる…ってぬるい環境から脱却しなけりゃいけないのも別荘暮らしの生活の知恵の1つかも。

んで、まぁ、ここにいる3人が3人共に、何らかの形で「カメラ」に携わった仕事をしている…していたワケで、写真の話には終わりが見えない。デジカメやらはもちろんだけれど、銀塩についても話は止めどもなく盛り上がり、現役を除いて奥さんと私でポラの話に花が咲く。

奥さんがポラにハマっていたのである。しかも相当重傷な感じで。私がSX-70を使っている事をブログを通して見せてあげると…

「あー! これよコレ! やっぱりコレなのよっ!」

巷ではブームになっているラシイ事は知っていたが、知人にハマっている人がいるとは知らなんだ…。
どうも、奥さんが欲しかったカメラはSX-70だったのだが、旦那が探して買ってきたのは「ROSSO」だったので、離婚の危機とまでは行かないものの、紛争は勃発していたらしい…。

でも、ROSSOが悪いわけでは無く、現在とこれからを考えたらとても良い選択だと言う話をしてあげた。フィルムの入手が楽なのは、ポラを楽しむ上で当たり前なんだけれど、SX-70使いからみれば羨ましい事でもある。ディスカウントショップでカメラごと買っても¥980なんて値段でフィルムが買えるワケだし、ちょいとした写真屋さんでも置いてある。SX-70専用フィルムはかなり大きな所でも、常時在庫が豊富にあるなんて聞いたこと無いからね。

そこから来る、1枚のコストにしたって大きな違いが出て来るので、カメラ本体のギミックの差はあっても、これから始めるなら600フィルムが使えるポラの方が楽しめるチャンスは大きいだろう。

「えーっ! これフィルム違うの?」

違うが、使えない事も無い。だが使うには知恵と勇気が必要な場合も出て来る。そもそもの露出を変更してしまうとか、減光させるとかの方法を取らなければ、適正な露出にならないのだけれど、それを含めて「使うことも出来る…」と言うのであって、違いは残ったままである。って言うか、アンタも元カメラマンなんだからちょっとは調べとけよ…。

「ブローニーの方がまだ安上がりなんだよなぁ…。」

これは旦那の意見。言い得て妙ではあるが、出来上がりを見れば何となく判るご意見なんである。35mmのフィルムよりも先に生まれていたロールフィルムを使ったカメラでも、ポラの出来上がりと同じ様な四角い写真が撮れる。35mmとは違った切り方で空間を写し込むので、見た目の目新しさは大きいかも知れない。

2眼レフ…って上から覗き込んで撮るカメラが多いんだけれど、製品が廃れて久しい。トイカメラで復権を果たしている感じもあるんだけれど、それはそれで「別の世界」でもある。ひっぺがしタイプのポラフィルムを使った「ホルガ」の世界や、「ピンホール」の世界が「アート」として再び登場している事もあるが、踏み込むにはちょっと敷居が高いかもしれない。

「パッと向けてパシャッと撮ってべろぉ~…」

ってワケには行かないからだ。それだけにチャレンジのしがいがある「アート」なので、いずれは…と思うのだけれど。ROSSOを含めて、現行のポラカメラに勝る手軽さは見られないって事も確かな事だし。

「出来上がりが直ぐに見られるってのに、何だか緊張しない?」

奥さん、イイ事言う。あれは何だろうと…、心のどこかに引っかかる物が他人と共有できた瞬間の喜びって物かも知れないが、SX-70はともかくとして、失敗のほとんど無い現行のポラで撮っても、何だか「不安」な気持ちでフィルムが発色を終えるのを待っている自分がいる。パタパタ…したって発色とは関係ないのに、パタパタやってしまう深層心理にも関わるんだろうと思うが、緊張というか不安というか、そんな心配をしなくてもいいのにしてしまう「楽しみ」がそこにあるのがポラロイドかもしれない。

「そうした1枚々の不安とか緊張がたまらなく快感に感じる病気なんだよ…きっと。」

だから「ポラロイドーシス」って症候群みたいなサブタイトルを自分でも付けたんだと思う。単にレトロなカメラをいじくっているオッサン趣味みたいなものじゃなく、ちゃんと写ると判っていても、何かそこに妙な物を期待しながら撮ってしまう、あるいは自分の手で撮りながらも自分の手の遠く及ばない力がそこに現れるのを期待すると言う、変な病気に冒された患者なのかもしれない。そして、デジカメと比べようもない程の鮮明度を持たない写真であっても「芸術だ…!」と言い聞かせて満足に浸る…。

「んじゃ、オマエらビョーキじゃん…。」

仕事でストレスの貯まる写真ばかり撮っている現役には判らない、もしくは忘れてしまった症状なのかもしれない。自分で撮ったフィルムを現像して、フィルムをかざして像を見た時の感動とか、暗室で露光した印画紙を現像しながら、像がじわじわ…じわーーー!って出て来る時の感激をオマエは忘れたのか! っと。

確かに、手軽になったデジカメにはこれらは無いし、もう必要も無いのかもしれない。だけれど、それを知っているからこそ、患者が生まれているのかもしれないって点では奥さんも同意見だった。またそれの近い体感が得られるのもポラぐらいしか残っていない。

「患者同士連携を図るべきよ! そうでしょ? そうなのよ!」

奥さんが静岡の山奥で声を大にして総決起大会を開くまでもなく、ネット上には沢山の患者が連携を図っている。そんなこんなを香り高いコーヒーと、ちょっと焦げてる自家製のクッキーで楽しみながら、ベランダでネット検索しながら楽しめる…ってのは、いいねぇ…。

「帰ったら、フィルム探すかな…」

何の鳥だかしらないが、しとしとと降る雨の中、きれいな声のさえずりを聞きながら、重傷患者はそう思うのである…。



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