アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

神様はバランスをとる

2009年06月27日 | Weblog
「褒めて育てる」これ、日本の常識。家庭教育も、学校教育も、「褒めろ!褒めろ!」の大合唱。確かに、大人でも褒められると悪い気はしない。「褒める」は、特に今始まったことではない。江戸落語にも、上方落語にも、「子ほめ」というのがある。

 江戸落語の、「子ほめ」は…
 八五郎は、仲間の竹さんに赤ん坊が生まれたので、祝いに行けば酒をおごってもらえると考えた。八五郎は御隠居に、「赤ん坊のほめ方はどうすればいいか」質問した。
 御隠居は、「これはあなた様のお子さまでございますか。あなたのおじいさまに似て御長命の相でいらっしゃる。栴檀(せんだん)は双葉(ふたば)より芳し、蛇は寸にしてその気を表すと言います。私も早く、こんなお子さまにあやかりたい」と、言えば良いとアドヴァイスした。
 自信満々の八五郎は、竹さんを訪れた。しかし、いざ褒める段になって台詞が出てこない。
 「おじいさまに長命丸飲ませたそうですね。洗濯は二晩でも乾かず、ジャワスマトラは南方だ」
 この落語のオチは…
 パニックになった八五郎、年齢を尋ねて、「若い!」と褒めよう、最後の手段だ。 「で、お子さまは、おいくつですか?」竹さんが、「一つ(数え年)」と答えた。そこで八五郎、「一つにしちゃあ若い、どう見てもタダだ」

 悪気はないのであろうが、お産のお祝いに行って、「鼻がつぶれてる」「しわくちゃだね」「鼻の頭の黄色のブツブツは、なに?」「頭の形、おかしくない?」などと感想を述べる人がいる。生まれて間もない赤ん坊は、皆、鼻がつぶれて、しわくちゃで、鼻の頭にブツブツがあって、頭の形が長ひょろいのです。猿っ子のようでも親は、「可愛くて、可愛くてしょうがない」のです。猿っ子って、フィギュアスケートの技かって?それは、「サルコウ」、織田選手の得意技。織田選手がサルコウ(猿公)だなんて言ってません。

 私は、お産のお祝いで、赤ちゃんを褒める時には、親が気に障る表現をしないように心がけています。え?皆さん同じだって!無神経な人もいるんです…。
 し、しかし、BUT!ベトナムでは、1歳未満の赤ちゃんに対して、「カワイイ」「キレイダ」などと褒めるのはタブーになっている。
 ど、どうして?
 小さい頃、人から褒められていい思いをすると…
 「神様が、運・不運のバランスをとるために、将来その子に不運をもたらす」と、考えるためだという。私は、初耳のような…ともあれ、新鮮に驚きました。結構知られていることらしく、家人も興奮する私をいぶかしげに見て、「神のバランスでしょ」と、あっさり。神様って、バランスをとるんだあ!それなら、私の現状はバランスの結果のものなのか…子供の頃褒められすぎたからなあ…

 ともあれ、お産祝いに行って赤ちゃんを褒めてきた私は、とんでもないことをしてきたことになる。ベトナムへ行ったら、赤ちゃんを褒めないようにしなければ…。