アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

頭から鹿の角 せんとくんが逆転

2009年06月11日 | Weblog
 圧倒的に不利であっても、気がついたら逆転ということ結構あるもので…。最近の逆転劇の典型的なケースは、「せんとくん」です。

 「せんとくん」を、はじめて見たとき、年の功で、怖いものに免疫ができている私ですら驚きましたよ。マルコメ味噌の「マルコメ君」のようなお坊さん…早い話が小坊主の頭から、鹿の角が生えているのですから。
 「気持ち悪い」の声が上がり、マスコミも煽るようにとり上げた。仏教界からは、仏に鹿の角を生やしたような姿は「仏様を侮辱している」と異議が唱えられた。
 このように問題にならなければ、「せんとくん」をデザインした人への謝礼の多寡など問題にならなかったのでしょうが…作品から得られる著作権収入の譲渡も含めた制作料として500万円支払っていたことも問題になった。「坊主に角を生やして500万円」これはないでしょう。私に依頼してくれたら、坊主に角のほかヒゲも生やして、5万円でやってあげたのに。
 「せんとくん」は、2010年に奈良市で開催予定の「平城遷都1300年記念事業」の公式マスコットキャラクター。それなのに、一般公募しなかった(広告代理店を通したコンペにした)。このような不正も、奇異なデザインでなかったなら明るみに出ることがなかったはず。全ては、坊主に鹿の角を生やしたところから始まっています。

 せんとくんのデザイナーは、「匿名で人を攻撃する現在の社会の病を感じた」と述べています。そうなんです。デザイナー氏に同情します。デザイナー氏は、頼まれたからデザインしただけ。作品がたまたま、「小坊主に鹿の角」…だった。デザイナーが責められるいわれなどありません。
 今の日本、一部の人なのですが、顔が見えない、身元を特定されないとなると、もうめちゃくちゃ責め立てます。無責任などという生やさしいものではありません。気の弱い人なら生きていられないほどやられてしまう。新型インフルの時もそうでした。デザイナー氏には強く生きていただきたいです。次回があるとしたら、人間の頭から鹿の角を生やすのはやめたほうが良いと思うが。

 なにしろ私は、祖先が植村藩(現在の奈良県高市郡高取町)江戸留守居役ですから、奈良県は故郷のようなものです。曾祖父が関連した天誅組の乱など語らせると、2~3時間語りっぱなしです。もっとも、半分は司馬遼太郎の受け売りですがね。家系図に関して高取町の地域振興室からいただいたお手紙など、今も大切に保管しています。「せんとくん問題」は他人事ではないのです。

 そんなこんなで、せんとくんは四面楚歌に。反対派は、対案を出した。これは大切なことです。批判だけで対案を出さない人よりいい。対案を出さずに批判する奴は誰だって?それは、話が逸れるので割愛します。
 一つの団体が、「まんとくん」を発表。まんとくんは、鹿…ですね。角が生えています。せんとくんといい、まんとくんといい、鹿の角は欠かせなかった。ヤレヤレ…。奈良は鹿ですよね…私は、鹿があまりにも執拗に「鹿せんべい」をねだるので…せんべいをズボンの尻ポケットへ隠した。そうしたら、ポケットごと尻を噛まれましたよ。尻もズボンも無事だったけど、「鹿のやろう、ぶっ叩くぞ!」と興奮しました。全然可愛くないです。
 「まんとくん」…時を超えて旅するさすらいのタイム・トラベラーなのだそうで。タイムトラベルできる魔法のマントを羽織っている。「まんと」は、「マント」らしいです。私は、「千」の上をいくから、「万」なのかと思いましたよ。

 別の団体が、「なーむくん」を発表。命名の由来は…これはすぐに分かります。仏教の帰依を意味する「南無(なむ)」。なーむくんには、角が生えていない。小坊主でも鹿でもなく、聖徳太子の生まれ変わりなのだそうで…。基本的ななーむくんは、まゆ毛と軽く閉じた目が十七条憲法の「一七」に見立ててあります。笑えるのは、なーむくんの苦手なものは、「角のあるもの」だということ、完全にせんとくん、まんとくんに対抗しています。好きな言葉は、「和を以って貴しとなす」…だったら対案として登場するなよなあー。

 「まんとくん」が現れ、「なーむくん」が現れた!「せんとくん」危うし!のはずが…ライバルの出現が、「せんとくん」を有名にしてしまった。ここではたらいた世論の心理は、「判官贔屓」「怖いもの見たさ」「有名なものが好き」。
 「可愛くない、気持ち悪い、せんとくん」の支持率は、66%。断然トップに躍り出た。
 今年に入ると、奈良県内4カ所に、「せんとくんオフィシャルショップ」がオープン。前月比の50%増…売り上げ絶好調。インターネットでもせんとくんグッズの販売が行われている。せんとくんの大逆転勝利…この状況、予測した人はいないでしょう。

 現在、せんとくんのデビュー当時の立場にあるのが、「西川善文日本郵政社長」でしょう。野党議員だけでなく、鳩山邦夫総務大臣からも経営責任を問われています。さて、このあと大逆転で、一躍人気者になるか?草なぎくんも、総務大臣に、悪人呼ばわりされましたが、今はむしろ事件前よりファンを増やしています。
 どちらも鳩山邦夫総務大臣がらみ。鳩山邦夫さんが、せんとくんのデビュー当時の状態になる怖れもあるぞ。
 兄貴の鳩山由紀夫民主党代表が、「永田町には(麻生さんを襲う)2羽の鳩がいる」と言っていました。せんとくん問題は、落ち着きましたが、それにかわって、鳩山ブラザーズから目が離せません。楽しみは、「鹿の角から2羽の鳩へ」。「楽しみとは不謹慎」だろうって?だったらあの党首討論は、国民に対して不謹慎じゃないのか?