オレンジな日々

広島在住のシンガーソングライター&ピアニスト
三輪真理(マリ)のブログです。
音楽大好きな日常を綴っています。

映画『告白』(ネタバレあり)

2010-06-23 | おすすめ映画

松たか子主演の話題の映画『告白』を観ました。
『下妻物語』『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督作品。
うん・・なかなか重かった。深かった。
衝撃作だけど傑作。
始まりから終わりまで息つく暇も許さないあっという間の2時間でした。

ということで、ちょっと感想を書いてみたいと思います。
これから観る人はネタバレあるので注意してね。

物語は、とある中学の1年B組の終業式。担任の森口先生の告白から始まる。
原作を読んだY子ちゃんによれば、湊かなえ原作の『告白』も全て登場人物の一人称の告白で綴られているらしい。
娘の事故死は事故死ではなく、このクラスの生徒に殺されたという衝撃の告白。
物語は全て森口先生による娘の復讐劇。
ラストの森口先生の「なんてね・・」はいろんな意味に受け取れます。

この映画が扱ってる社会問題は、命の問題、学級崩壊、いじめ、HIV、親の離婚と再婚、単身赴任、少年犯罪、ブログ、薬品のネットでの売買、などなど多岐に渡ります。
これがある意味では現代の日本と言っても過言ではないほど。
この映画では、それをほんの少しボリュームを上げて見せてくれているだけな気もしました。

だから映画を観終わったあとも、しばらくは「ドキュメンタリー」を観たような感覚が拭えなかったですね。登場人物の「告白」を軸に進んでいくストーリー展開も相まって「こういうの、もしかしたらあるかも・・」と思わせてしまう内容でした。

少年A、少年B、そしてクラス委員の少女A。
少年AやBの母親。ウェルテルと呼ばれる新学期からクラスを受け持つことになった熱血先生。
キャスティングも良かった。
中でも、何と言っても森口先生演じる松たか子の迫真の演技が素晴らしい。
どのシーンもどの表情も見逃せない凄みがありました。
特にラストシーンの目。あれはスゴイ。
人ってホントに危うい生き物。
好きなもの守りたいものがあるほど、それが弱点になり誘惑にもなる。
「あなたはどうですか?」って問われている気もしました。

それからこの映画、とにかく映像がとても印象的。
全体的にモノトーンで色彩味を抑えた世界に真っ赤な血の色。
思い切ったカメラワークでありながらわざとらしくない画面作り。
黒澤明、ティム・バートン、レオス・カラックス、ウォン・カーウァイ、・・etc.
私は内容もさることながら映像の美しい映画が好きなんだけど、中島監督にも彼らに匹敵する力量とセンスを感じました。次回作も楽しみです。

最後にこの映画で印象的だったのは、劇中に何度も出てくる、
「○○のことは全部わかる」という他人(親も含め)の台詞。
「○○のことは全部わかる」という他人の言葉と本人の「告白」との対比が興味深かったです。
ほんとはわかってないよ、みたいな。
実際、自分のことを全部わかる他人なんてこの世にいるんでしょうか?
自分でさえ自分に嘘をつくのに。
だから、きっと「なんてね」なんでしょうね・・。

このブログを書いてる私でさえ、もしかしたら明日には違うことを考えるかもしれない。
たまに「きれいごと」を言ってるふうな自分に嫌気がさす日もある。
だけど「きれいごと」を言う人がこの世にいなくなったら、おしまいな気もしている。

こういう理不尽でドロドロした先の見えない時代だからこそ、
楽しいことや明るいこと、美しいこと面白いことを見つけては、
悲しみに負けず、笑いあって励ましあって、面白おかしく生きていきたいものです。

・・・なんてね(笑)。

ともあれ必見!!オススメの映画です。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿